●法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
刑事法入門一歩前
開講学期
前 期
担当教員
櫻庭 総  
単位数
2単位
教  室
403
科目区分
入門科目
履修条件
特にありません。
授業の目的
○刑事法領域におけるアクチュアルな諸問題を理解、検討する。

 ある問題を検討する際に最も重要なことは、「なぜ、いま」その問題を扱うのか、です。この視点を欠いたままでは、せっかくの学説や理論もただの暗記対象になりかねません。従って、これから皆さんが高年次で本格的に法学理論を学ばれる前に、それが現実社会とどのようなつながりを持ち、どのような社会問題と関連しているのか、といった点を刑事法の領域で確認します。
 このように刑事法の諸論点を身近な現実問題として把握したとき、皆さんは既に門の「一歩手前」から「一歩前へ」と進んでいることでしょう。


○法的検討に必要な基礎を身につける。

 以上のように問題を理解し、深めていくには、資料の精確な読解と論理の構築、並びにそれに基づいた議論を通じての展開が必要不可欠です。従って皆さんには一定量の文献を読み込み、自己の見解を報告というかたちでまとめ、それを基に議論を交わすことで、法学を学ぶ「作法」を身につけ、これらの能力を高めていただきます。
 このプロセスを通じて、論理と感性の両面を磨き、教員や仲間のサポートを受けつつ自己決定していく「自主性」を涵養していきましょう。
授業の概要・計画
○授業の概要
本演習では刑事法におけるアクチュアルなテーマを取り上げ、それを様々な立場から照射します。それは単に賛成、反対の立場に限らず、為政者の視点、一般市民の視点、被害者の視点、被告人の視点など多くのものが想定できるはずです。皆さんには想像の翼をはばたかせて種々の角度からこの問題にアプローチして頂きたいと思います。
従って、具体的なテーマについては、皆さんの意向を重視して決めていく予定です。検討してみたいテーマを予め考えておいてください。どんな素朴な疑問でも構いません。例えば、近時耳目を引いている話題をアト・ランダムに列挙するだけでも、
  ・日々メディアを賑わす犯罪報道
  ・厚労省局長の無罪事件に象徴される権力犯罪、冤罪問題
  ・児童虐待(両親の暴力、育児放棄による児童の死亡…)
  ・犯罪被害当事者の権利と被疑者被告人の権利との関係
  ・条例規制における法と道徳の問題(有害図書規制条例、路上喫煙規制条例…)
…など、検討の素材は豊富にあります。これら刑事法上の諸問題につき、各自の興味関心を引くテーマにつき丹念に調べ、議論することで、これまで知らなかった様々な「現実」の位相が確認でき、そこから「私たち」がなぜ刑事法を学ぶのかという問題に逢着するはずです。

○授業の計画
 最初の数回はオリエンテーションに充てます。演習の概要、報告および議論の具体的方法の説明、参加者の自己紹介などともに、とりわけ、今後、高年次で自ら文献を調査し、レポート、論文を執筆する際に必要な技法について確認します。
これを通じて報告のための基礎的な作業が確認でき、班分けやテーマ設定も無事終了したら、いよいよ本番、ゼミ形式で進めます。本演習で取り上げるテーマの数はせいぜい3つか4つ程度にして、一つのテーマにつき、ある程度じっくり取り組む方針を採る予定です。
最終的には皆さんと相談のうえ決定しますが、各班が自己のテーマにつき複数回報告できるような形式が望ましいと考えています。この作業を通じて、自身の報告に不足していた論点を自ら補足していき、自己の見解をより深める経験をして頂きたいと思います。
以上から、おおよそ以下のような進行を考えています。
・第1〜3回 ガイダンス、リサーチ方法の確認、テーマ設定など
・第4〜7回 各班報告第一週目
・第8〜11回 各班報告第二週目
・第12〜15回 各班報告第三週目 
授業の進め方
ゼミ形式での報告、議論は以下の流れで進めていきます。
まず、報告担当者が20分程度の報告を行います。その際、報告者は報告内容をまとめたレジュメを必ず用意してください。
次いで、残りの時間は、その報告で提示された論点や報告者の見解について全員で議論します。もちろん、報告内容についての意見、指摘に対しては、報告者以外も考え、応えていく姿勢が必要です。参加者による司会の有無、ディベート方式の採否等は議論状況に応じて決めますが、さしあたりはどちらも採用せず、皆さんの丁々発止の議論に期待したいと思います。
教科書・参考書等
○参考文献
内田博文・佐々木光明〔編〕『<市民>と刑事法 第2版』(日本評論社、2008年)
など。
※そのほか、皆さんと協議し絞り込んだテーマに応じて随時お知らせします。
※また、必要な雑誌論文等のコピーも適宜配布する予定です。
成績評価の方法・基準
出席状況、報告内容ならびに議論への参加度によって評価します。
その他(質問・相談方法等)
質問・相談に関しては、
sakuraba【アットマーク】law.kyushu-u.ac.jp
(※【アットマーク】を@に置き換えて下さい) 
また、法学府第8研究室まで直接訪ねて頂いても構いません。
過去の授業評価アンケート