●法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
韓国の行政・自治入門
開講学期
前 期
担当教員
姜 信一  
単位数
2単位
教  室
三会
科目区分
入門科目
履修条件
履修条件は特にありませんが、行政学(電子政府論を含む)や地方自治、そして韓国に興味関心を持った熱意のある方の受講を希望します。
授業の目的
本演習では、次の3点の取得を目標としたいと思います。
@行政学の概念について理解し、また韓国における行政・自治の特性と諸課題について理解すること。
A様々な論文講読を通して、各論者がどのような問題意識や分析視覚から議論を展開しているのか、それぞれの議論の弱点とは何かを確認し、批判的・論理的思考力を身につけること。
B大学生として重要なスキルである文献・資料を収集し、それらを整理・分析し、分析結果を分かりやすく説明するプレゼンテーション能力を身につけること。
授業の概要・計画
[授業の概要]
本演習は、「行政」「地方自治」「電子政府」「韓国」などをキーワードにしています。
韓国は、戦後の急速な経済成長を背景に、短期間で、政治・行政・文化的に飛躍的な発展を成し遂げてきました。このような発展の裏には、米国や日本をはじめとする諸外国からのさまざまな影響を受けてきたことがあります。しかし、韓国の発展過程には、多くの試行錯誤や激しい民主化運動の歴史などもあり、それらを通して現在は独特な韓国型行政体制を構築してきたといえます。
中でも、行政の観点からすると、@1980年代に民主化運動を通して軍事政権が崩壊し、強力な中央集権体制から地方分権体制に転換したこと、A1990年代には金融危機に晒されたが、これを政府のリーダーシップと高い市民意識(市民参加)を通して克服したことと、最終的には行政の諸分野における改革に成功したこと、B2000年代に入っては、積極的に電子政府を構築することにより、効率的で民主的な行政体制を構築するために努力したことなどは、特に注目すべきでしょう。
これらは、行政の効率性を高め、民主性を確保しようと努力してきた行政側の意志と、市民意識の向上を背景とする積極的な市民参加が調和された結果でもあります。しかし、まだまだ韓国の行政・自治には改善すべき課題も多いわけではありますが、このように韓国の行政・自治の発展過程と課題などを検討してみることで、日本の行政・自治を理解するにおいて参考とし、また日本への示唆を見つけてみたいと思います。
そのために、本演習では、様々な論文や書籍を講読し、各参加者から報告をしていただきたいです。この演習を通して、韓国の行政・自治についての知見を深めるだけでなく、参加者の皆さんのプレゼンテーション能力を伸ばしていただくことを願っています。

[授業計画](演習参加者数や参加者の希望により変更する場合もあります。)
1)初回はオリエンテーションを行います。演習担当者と参加者の自己紹介、そして参加者の皆さんの具体的な問題関心を語っていただきます。
2)第2回目は、演習活動に必要なスキルを習得します。「レジュメの作成方法」「文献調査方法」「プレゼンテーション方法」などについてレクチャーします。
3)第3回目は、行政学と地方自治の基礎概念などについてレクチャーします。また、各参加者に研究テーマなどについて考えていただき、報告分担などを行います。
4)第4回目以降は、テキストによる講義とともに、皆さんに研究報告をしていただき、全員で討議を行います。
※参加者の皆さんには、最低1回は文献報告を担当していただきます。
授業の進め方
@報告担当者による担当文献の内容紹介及び問題提起(合計20〜30分)
報告者には報告担当文献に述べられている内容を適切に要約し、それをレジュメにしてまとめて報告し、内容に関連する2〜3点の問題提起をしてもらいます。
A司会担当者による進行(合計50〜60分)
司会担当者は、最初に報告者の報告内容における曖昧な点を確認してください。参加者全員が発言できるように議論を進めてください。
B補足及び質疑応答
報告者の発表を受け、最後に担当教員が情報提供や補足を行います。また、参加者全員で議論や質疑応答を行います。
教科書・参考書等
[教科書]
申 龍徹(2006)『韓国行政・自治入門』公人社
[参考図書]
木宮正史(2003)『韓国−民主化と経済発展のダイナミズム』筑摩書房
小林良彰・任ヒョク伯(2004)『日本と韓国における政治とガバナンス:変化と持続』慶応義塾大学出版会
玄 武岩(2005)『韓国のデジタル・デモクラシー』集英社新書
岩崎正洋(2005)『eデモクラシー』日本経済評論社
阿部斉・新藤宗幸(2006)『概説日本の地方自治(第二版)』東京大学出版会
廉宗淳(2009)『行政改革を導く電子政府・電子自治体への戦略―住民視点のIT行政の実現に向けて“韓国と日本”』時事通信出版局
真渕 勝(2009)『行政学』有斐閣
など
※また、演習時に適宜、紹介したいと思います。また参考資料は適宜、配布いたします。
成績評価の方法・基準
@出席(40%)
A討論への参加状況(積極性・真摯性)(30%)
B個人プレゼンテーション(報告内容)(30%)

その他(質問・相談方法等)
演習に関するご質問、ご相談に関しては、Eメールで随時受け付けます。Eメールアドレスは、skang【あっとまーく】law.kyushu-u.ac.jpです(【あっとまーく】を@に置き換えてください)。また、本演習専用のメーリングリストなどを通して、演習時間外にも適宜、学習上の情報交換や行政学に関する話題を提供できるようにしたいと思います。
過去の授業評価アンケート