●法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
現代日本のポピュリズム
開講学期
前 期
担当教員
西 貴倫  
単位数
2単位
教  室
3研
科目区分
入門科目
履修条件
特に設けません。
授業の目的
 この演習では、現代日本の「ポピュリズム」を扱った二つの文献をとりあげます。これらの文献の精読を通じて、日本政治の問題状況(の一端)についての知識の獲得を目指します。
 さらに、「ポピュリズム」の概念を手がかりに、そうした問題状況を考えるための視点を養います。抽象的な理論を用いて現実を解釈するための思考訓練です。
 また、演習を通じて、文献の読解能力、プレゼンテーション能力、資料のリサーチ能力、および思考を文章にまとめる能力の向上をはかることを目的とします。
授業の概要・計画
《 授業の概要 》
 この演習では、現代日本の「ポピュリズム」を扱った二つの文献をとりあげます。これらの文献の精読を通じて、日本政治の問題状況(の一端)についての知識の獲得を目指します。さらに、「ポピュリズム」の概念を手がかりに、そうした問題状況を考えるための視点を養います。抽象的な理論を用いて現実を解釈するための思考訓練です。また、演習を通じて、文献の読解能力、プレゼンテーション能力、資料のリサーチ能力、および思考を文章にまとめる能力の向上をはかることを目的とします。

 具体的には、大嶽秀夫『日本型ポピュリズム――政治への期待と幻滅――』(中公新書(1708)、2003年)と、山口二郎『ポピュリズムへの反撃――現代民主主義復活の条件――』(角川oneテーマ21、2010年)を輪読します。この二つの本は、ともに政治学者による現代日本政治に関する臨床的な研究です。両者は、今日の日本政治の問題状況を「ポピュリズム」として捉えている点で共通しています。しかし、前者がポピュリズムに対する「解毒剤」(238頁)の調達困難を述べて本文を終えるのに対し、後者は(最終的には「解毒」(181頁)するにしても)「必要なポピュリズム」(132頁)の有用性を説きます。

 本演習では、まずこの二つの本で述べられる1990年代以降の日本政治の展開をおさえます。そうした知識を踏まえつつ、両者の差異の源泉として、若干の出版年の差、問題状況に対する診断に徹するのか積極的に処方箋を出すのかといった著者のスタイルの違い等にも目配りしながら、両者のポピュリズム概念とポピュリズムに対する評価を比較検討します。その上で、ポピュリズムの観点から日本政治を見るということの意義と限界について、議論したいと思います。そして最後に、参加者にはこの演習での議論を踏まえて、ポピュリズムに関するレポートを提出してもらいます。

《 授業の計画 》
 下記のとおり、『日本型ポピュリズム』(第2回〜第8回)と『ポピュリズムへの反撃』(第10回〜第14回)を毎回一章ずつ読み進めていきます。第1回はオリエンテーション、第9回は資料の調査方法、第15回はレポートの書き方について、担当教員が説明をおこないます。第8回はそれまでの議論を踏まえて『日本型ポピュリズム』全体について議論します。第14回は『ポピュリズムへの反撃』を中心に『日本型ポピュリズム』の議論を踏まえて、現代日本のポピュリズムについて討論します。

第1回:オリエンテーション
第2回:序章 「政治改革」とは何であったのか
第3回:第1章 派閥政治の終わりの始まり
第4回:第2章 国民投票的首相選出の実現
第5回:第3章 日本におけるネオ・リベラル型ポピュリズム
第6回:第4章 戦略なきポピュリスト政治家
第7回:第5章 テレビニュースの変容
第8回:『日本型ポピュリズム』のまとめ
第9回:資料の調査方法について
第10回:第1章 ポピュリズムの誕生と変容
第11回:第2章 本当の敵は誰なのか?
第12回:第3章 民主政治再建への道
第13回:第4章 私たちはどんな政治を作り出すべきか
第14回:『ポピュリズムへの反撃』まとめ
第15回:レポートの書き方について
授業の進め方
上記の計画に沿って、『日本型ポピュリズム』と『ポピュリズムへの反撃』を毎回1章ずつ(30〜50頁程度)読み進めていきます。
 初回のオリエンテーションの際に各章の担当者を決めます。担当者には、各章の内容をレジメにまとめ、担当する章の回に報告してもらいます。また、章の内容に関するコメントをあわせて用意してもらいます。演習は基本的に、@担当者による内容の報告、A内容に関する質疑応答、B報告者のコメントに沿っての議論、といった流れで進めます。
 また、オリエンテーションの際には、レジメの作成の仕方、論点提示の仕方などについても説明します。資料の調査方法(第9回)では、研究文献における脚注のルールや文献の検索方法といった点について解説します。レポートの書き方(第15回)では、本演習での課題レポートについての説明だけでなく、書評や論説といった学術論文のスタイルについても紹介します。
 文献の読解、プレゼンテーションの方法などについても、演習の中で適時アドバイスをおこないたいと思います。
教科書・参考書等

《 教科書 》
大嶽秀夫『日本型ポピュリズム――政治への期待と幻滅――』中公新書(1708)、2003年。
山口二郎『ポピュリズムへの反撃――現代民主主義復活の条件――』角川oneテーマ21、2010年。

《 参考図書 》
石川真澄、山口二郎『戦後政治史〔第三版〕』岩波新書(新赤版1281)、2010年。
大嶽秀夫『小泉純一郎ポピュリズムの研究――その戦略と手法――』東洋経済新報社、2006年。
(※これら以外の参考文献は必要に応じて適時紹介します。)
成績評価の方法・基準
試験はおこないませんが、全演習終了後に2,000字程度のレポートを課します。
 成績は、出席、報告、発言など演習への参加度およびレポートから総合的に判断します。テキストを熟読して演習に参加すること、議論に参加すること、が重要であると考えてください。
その他(質問・相談方法等)
質問・相談はnstknr【あっとまーく】yahoo.co.jpで受け付けます。
 (※【あっとまーく】を@に置き換えて下さい。)
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