履修条件 |
戦間期の政治史について、一年間議論していけるほどの関心と熱意のある方。 |
授業の目的 |
本演習の目的は、以下の4点です。 1.政治史関係の学術論文の読み方を習得する。 2.政治史を解釈する際に必要な用語や概念を十分に理解し、把握する。 3.自分の考えを的確にかつ論理的に相手に伝えるようになる。 4.ゼミ論文の執筆を通じて、調査能力と論文作成能力を育成・発展させる。 本演習では、特に4.のゼミ論文の作成に力を入れています。 以上です。 |
授業の概要・計画 |
2008年秋に勃発した世界金融危機以降、現在、日米欧において経済不況がなおも進行中です。特に日本では、デフレ不況は深刻で、国内需要は依然として低く、若年層の就職率が極端に悪化しています。TPPをめぐる農業界と産業界、中央と地方の対立は熾烈で、国内の政治も内政・外政において混乱が続き、いわゆる政治危機の様相を呈し始めています。国際的には朝鮮半島において南北間の緊張が強まっています。こうした、経済、政治、外交、安全保障を始めとした危機が累積的に日本に生じています。こうした危機のなかで、政治が果たすべき役割は何か、政治指導とはいかにあるべきかが改めて問われています。こうした問題意識のもと、嘗て同じように経済危機を始め様々な累積的な危機を迎えた戦間期において、当時の政治家はいかに対処し、どのような政治指導を行ったのか、について考えていきます。その事例として、アメリカ、日本、ドイツを取り上げる予定です。 また、本演習では、専門家による政治家の伝記を取り上げ、危機における政治史について考えていきます。累積化する危機に対して、当時の政治家は具体的にいかなる政策を掲げ、実行したのか。彼らは、いかなる政治理念のもと政治指導を行ったのか、またそれらを今日どう評価すべきかを考えていきます。具体的には、アメリカのローズヴェルト、ドイツでは、ヒトラー、日本では、近衛文麿や東条英機を取り上げる予定です。 以上を通じて、危機における政治史について考えるとともに、現在の累積する危機における日本政治の在り方をも、ゼミ生の皆さんと議論し、考えていきます。
【授業計画】 1.危機における政治史に関する基礎的な知識の習得(最新の概説書の批判的検討) 2.危機における政治史に関する専門的知識の習得(政治家に関する専門研究の批判的検討) 3.危機における政治史の比較検討 4.ゼミ論文の構想発表会(後学期に2回開催予定) ゼミ論文合評会を兼ねたゼミ旅行(年度末) |
授業の進め方 |
毎回、報告者1名とコメンテーター1名を決め、資料やテキストに関する報告者のコメントを中心に、参加者全員が議論していきます。 |
教科書・参考書等 |
・筒井清忠編『解明・昭和史』朝日新聞出版社、2010年。 ・筒井清忠『近衛文麿』岩波書店、2009年。 ・古川隆久『東条英機』山川出版社、2009年。 ・A・M・シュレージンガー(中屋健一監修)『ローズヴェルトの時代Uニューディール登場』ぺりかん社、1962年。 ・秋元英一『世界大恐慌』講談社、2009年。 ・若尾祐司・井上茂子編『近代ドイツの歴史』ミネルヴァ書房、2005年。 ・I・カーショー(石田勇治訳)『ヒトラー―権力の本質』白水社、1999年。 |
成績評価の方法・基準 |
平素並びにゼミ論文。 夏休みには3年生にE・H・カー『歴史とは何か』の書評を課します。 |
その他(質問・相談方法等) |
本演習は、少人数をモットーとしており、定員は原則8名です。後学期は、ゼミ論文の作成に力を入れて取り組むために、ゼミ論文構想発表会を2回予定しています。 年度末には、ゼミ旅行を行います。年度末のゼミ旅行では、秘湯でゼミ論文の合評会を行います(09年度、熊本・扇温泉)。 |
過去の授業評価アンケート |
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