刑事政策演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
刑事政策演習
標準年次
3・4
講義題目
少年法の理論と実際(仮)
開講学期
通 年
担当教員
武内 謙治
単位数
4単位
教  室
403
科目区分
展開科目
履修条件
(1)自分なりの目標・目的や問題意識を明確にもっていること(主観的要件)。
(2)毎回演習に参加できること(客観的要件)。
(3)現時点における刑事法(学)や刑事政策(学)に関する知識の多寡は全く問いません。

*受講の可否は「志望理由書」に基づき判断します。特に(1)がはっきりと伝わるように書いてください。
授業の目的
このゼミの目標は、次の通りです。
(1)自分で問題を発見する能力の獲得
(2)文献調査・社会調査の遂行能力(自分で身体を動かして、現実の社会の問題を確かめる技術と能力)の向上
(3)自己表現能力(口頭発表、文章作成を論理的・説得的に行う技術と能力)の向上
(4)犯罪学・刑事政策学・刑事法学に関する基本的な知識の獲得
(5)基本的な知識と自分の社会経験を「使う」技術と能力の獲得
授業の概要・計画
(1)授業のテーマ
 このゼミでは、例年、刑事政策学や犯罪学上の重要問題を取り上げて、勉強しています。参考までに、過去5年間のテーマを掲げておくと、次のようになります。

  2010年度:少年事件から考える
  2009年度:刑事制裁法の再検討
  2008年度:少年非行から見た福祉と司法
  2007年度:犯罪現象への対応と刑事司法・行刑制度のあり方
  2006年度:心神喪失者等医療観察法をめぐる諸問題

 2011年度は「少年法の理論と実際」として、前期は審判例を通じて少年法理論を比較的詳しく検討することを一応の「腹案」として考えています。しかしこれはあくまで武内の「腹案」ですので、最終的には受講者のみなさんの意見を聴いて話し合いで決定します。少年法以外の問題領域をテーマとすることももちろん可能です。「犯罪・非行」や「刑罰・制裁」に関連しそうな問題で踏み込んで検討したいものがあれば是非積極的に提案してください(むしろこうした提案を積極的にしてくれる学生さんの参加は大歓迎です)。

(2)検討の方法
 例年問題の検討にあたってこだわっているのは、「(法的)知識をいかに得るか」(だけ)ではなく、「(法的)知識をいかに使うか」、「その使い方がどのような社会的な意味をもつのか」ということです。そのため、このゼミでは、例年、「街に出る」ことも重視し、フィールド・ワークを活発に行っています。また、刑事法や刑事政策に関係しそうな学外の催し物・活動・勉強会などに関する情報も積極的に提供しています。
 正規の講義時間外でフィールド・ワークなどを行うことも多くありますので、これらの活動にも参加する意欲のある学生さんに参加してもらえればうれしいです。

(3)年間計画
 詳細については、第1回目の講義の際に受講者の方と相談して決定します。
 今年もできれば、夏休み期間中に調査旅行に出かけたいと思います(これまでの主要な調査結果は、ゼミ論集にまとめられていますので、学生情報サロンで読んでください。概略はhttp://www.law.kyushu-u.ac.jp/~takeuchi/semi/semi.htmlでもわかると思います)。
授業の進め方
 <調査→報告→議論>を繰り返しながら問題の発見と調査を発展させていくというのが、このゼミの基本的な進め方です。
 報告担当者には、文献・社会調査に基づいて(グルーピングを行った場合には、さらにサブ・ゼミを行った上で)、予め簡潔なハンドアウトを作成して頂き、プレゼンテーションを行ってもらいます。それを軸に、参加者全員で議論を行います。議論の中で新しく出てきた疑問や関連する問題については、さらに調査を進めてもらい、報告してもらいます。
 詳細については、第1回目の授業の際に、受講者の方と相談して決定します。
教科書・参考書等
(1)藤原正範『少年事件に取り組む』(岩波書店、2006年):購入の上、開講日まで全部読んでおいてください。
(2)廣瀬健二『少年事件重要判決50選』(立花書房、2010年):購入の上、「序章」を開講日まで読んでおいてください。
(3)法務総合研究所『平成22年版 犯罪白書』(佐伯印刷、2010年):購入の上、授業には六法とともに必ず持参してください。
(4)伊藤富士江『司法福祉入門』(上智大学出版、2010年):できれば購入の上、ざっくりとでも読んでおいてください。
(5)鮎川潤『再検証 犯罪被害者とその支援』(昭和堂、2010年):できれば購入して、しっかり読んでおいてください。
(6)鈴木伸元『加害者家族』(幻冬舎、2010年):余裕があれば是非読んでみてください。

*以上の図書は、上記「腹案」によった場合のものです。最終的には、参加者のみなさんの話し合いでテーマを決定した後に文献や資料は確定します。もっとも、専門的な(2)以外の文献は、一般的な読み物としても読む価値はあると思います。
成績評価の方法・基準
成績評価の要件と基準

(要件)
・授業への出席(無断・正当な理由のない欠席が1回でもあった場合には単位認定を行いません)

(基準)
・報告(調査活動も含む)(40%)
・授業の準備、議論での発言(40%)
・学年度末に予定している論文の内容(20%)
その他(質問・相談方法等)
(1)これまでゼミに参加してくれた学生さんの大体半数くらいは、国内外の大学院進学、法科大学院進学、国家公務員など刑事政策とかかわり深い進路をとっていますが、半数くらいは民間企業に就職しています。このゼミでの活動が、例えば法科大学院の試験の合格や特定の官庁・企業への就職と直結することはまずありません。その意味で、短期的な効用を狙うゼミでは全くありません。しかし、これまでこのゼミに参加してくれた学生をみていると、「急がば回れ」といわれるように、できるだけ多くの事柄を直に見聞きし、物事を自分で徹底的に調査し、自分のアタマで考え、それを文章でまとめるクセ・能力を学部段階から身に付けておくことが結局短期的な効用ももたらしているのではないかという気がしています(エビデンスはありませんが)。多様な問題関心・進路希望をもつ学生さんと、「犯罪・非行」だとか「刑罰・制裁」だとかその周辺の事柄だとかについて一緒に勉強できればうれしいです。サブゼミでの履修や4年生時からの新規受講ももちろん歓迎します。
(2)講義担当者から選考期間中・春休み期間中に連絡をとることがあります。「志望理由書」には、メールアドレスも記入しておいてください。
過去の授業評価アンケート