政治学演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
政治学演習
標準年次
3・4
講義題目
性愛・ジェンダー・家族の政治学
開講学期
通 年
担当教員
出水 薫
単位数
4単位
教  室
106
科目区分
展開科目
履修条件
※参加申込書の「志望理由」により、実質的な選抜をおこないます。参加希望者のみなさんは、以下のシラバス全体を細部まで読み込んだ上で、志望理由を書いてください。

(1)「問題」を欲している方、あるいは「問題」を適切に「かたち」にできるようになりたいという意欲をもっている方。

(2)言葉の力をたくましくしたいという意欲を持っている方。

(3)問題の「現場」を「楽し」める方(現場には厳しい現状と、どうしようもない無力感と、しかし魅力的な人々との出会いがあります)。

(4)ゼミ履修上の「義務」を果たそうと誠実に努力する方。
※私たちのゼミは、正規のゼミの時間以外の活動も、結構あります。

(5)サブ・ゼミ参加歓迎です。毎年、1〜2名はサブ・ゼミ参加者です。もちろん法律系ゼミとのかけもちも歓迎します。10年度は4名が法律系ゼミとのかけもちでした。

(6)過去3年間と同様に、月例で弁護士のみなさんと社会問題についての調査・討議・合宿などをおこないます。法曹志望の方、大歓迎です。
※昨年度もロースクール合格者がいます。

(7)2010 年度から、ゼミ論文に替えて、映像作品(ゼミ・ドキュメンタリー)でも、単位を認定することにしました。ゼミの保有するビデオ・カメラ、デジタル・カメラ、パソコンをなどを撮影や編集に貸与します。また合同ゼミで協力関係にある西南大の田村ゼミによる上映・講演会企画に参加します。その関係で、作家・評論家や映画監督と会うことができます。マスコミやアート系に興味のある方、大歓迎です。
※卒業生にはマスコミ・出版の就職者がいます。

(8)単位はいらないけれど参加したいという方、大歓迎です。例年1〜3名は単位のいらない参加者です。
※10年度後期には、医学部の方が参加していました。
授業の目的
(1)「恋愛」を経て「男女」のカップルが結婚する。生計を維持する賃労働を主に男性(夫・父)が担い、子どもをつくり、育てる。これが今日のわれわれの社会における「標準的」な家族像でしょう。

(2)しかしこのような家族像は、もはや実態と乖離し、諸条件の変化により、実現が困難になるだけでなく、実現すべき「規範」としても疑問が提起されつつあります。

(3)そもそも、このような家族像は、決して人類の歴史全期間において通用したものではありません。自由主義や資本主義の展開と並行して形成されたものです。そしてだからこそ、今日の社会科学の「基礎」とも密接に関係しています。

(4)例えば、フェミニストの有名なスローガン、「個人的なことは政治的である」が掲げられるのは、「公/私」の区分とジェンダーには密接な関係があり、そこには権力が介在していることを示しています。この領域に斬り込むことは、現代の社会科学が直面している、きわめて今日的な問題群を垣間見る機会を産み出してくれるでしょう。
授業の概要・計画
10年度に、私たちのゼミは10周年を迎え、記念の同窓会ゼミをおこないました。
書をもって街(現場)に出る、これがこの10年間続いた私たちのゼミの基本的なやり方です。

通常のゼミ(年間に10冊程度のテキストを読む)の他に、(1)毎月最初のゼミでの書評会(最低5冊の読書リストとお薦め1冊の紹介)、(2)1年間に3〜4回程度のゼミ論構想発表会などをおこない、さらに(3)月例の弁護士・福岡県下の他大学学生との学習会をやって、それらの合間に(4)現地調査・合宿や5大学合同ゼミなどをおこなうのが、私たちのゼミの「活動量」です。
※弁護士および福岡県下他大学との月例研究会と、12月の5大学合同ゼミは、「公式行事」ですので、出席が原則となります。

2011年度は、下記のような現地調査・合宿を計画しています。
(1)現地調査とゼミ論構想発表会をかねた合宿を1回。
(2)弁護士と社会調査をかねた合宿を1回。
(3)12月に恒例の5大学合同ゼミ(ホスト校、佐賀大)。
(4)3月にゼミ論合評合宿。
※上記の「公式」のゼミ現地調査・合宿とは別に、毎年、有志の企画による韓国旅行(すべて込みで2泊3日、3万円超の費用!)がおこなわれてきました。

また毎年10月の第4土曜日には、在学生と卒業生が共同でおこなう同窓会ゼミを開催しています。
授業の進め方
(1)授業の内容はテキストの輪読・討論と、現地調査の実施と討論の二つに大きく分けられます。

(2)通常の授業では、司会者の進行により、テキストを利用して報告者が報告(レジュメ準備)し、それにもとづいて討議します。

(3)現地調査・合宿は、その都度に幹事を決定し、幹事を中心に約束のとりつけ、宿所の確保などをおこない実施します。

(4)以上の活動に織り交ぜて、ゼミ論作成のための討議もおこないます。ゼミ活動の集大成は、全員が提出するゼミ論文(もしくはゼミ・ドキュメンタリー)です。
教科書・参考書等
水野愛也『LOVE理論』大和書房
山田昌弘・白河桃子『「婚活」時代』ディスカヴァー携書
福岡伸一『できそこないの男たち』光文社新書
斎藤環『関係する女 所有する男』講談社現代新書
加藤秀一『ジェンダー入門』朝日新聞社
米田・大日方・山科編『ジェンダー視点から戦後史を読む』大月書店
斎藤美奈子『モダンガール論』文春文庫
天野正子・桜井厚『「モノと女」の戦後史』有信堂高文社
加藤秀一『〈恋愛結婚〉は何をもたらしたか』ちくま新書
山田昌弘『少子社会日本』岩波新書
上野千鶴子『家父長制と資本制』岩波現代文庫
ドゥルシラ・コーネル著、石岡ほか訳『自由のハートで』状況出版
成績評価の方法・基準
(1)ゼミ論文(1万字以上):35点
年に3回ほどゼミ論文構想検討会をおこないます。また原則として10月締め切りの『学生法政論集』に応募してもらい、それを元にゼミ論を完成してもらいます。
※2010年度からゼミ論文に替えて、ゼミ・ドキュメンタリー(15分以上30分以内の映像作品)を提出することもできます。

(2)ゼミでの報告と質疑への参加:30点
ゼミでおこなった報告の内容を総合して判断します。

(3)書評会での発表:15点
毎月1回の書評会で、5冊以上の「ノルマ」が達成されているかを基準にします。

(4)ゼミおよび諸行事への参加状況:20点
ゼミおよび諸行事への出席状況を勘案して採点します。
※無断欠席と無断遅刻は、大幅に減点します。欠席や遅刻は、原則として前日までにメーリングリストで届けなければなりません。
その他(質問・相談方法等)
(1)ゼミの相談はメーリングリストでもおこないます。参加者は携帯以外のメールアドレスを持ってもらう必要があります。

(2)授業時間の「延長」が恒例になっていますので、ゼミの後の時間に授業やバイトがない方が良さそうです。
過去の授業評価アンケート