政治動態分析 II ・発展【国際政治学】

最終更新日:2011年4月10日

授業科目名
政治動態分析 II ・発展【国際政治学】
標準年次
3・4
講義題目
国際社会の規範と動態
開講学期
前 期
担当教員
大賀 哲
単位数
4単位
教  室
102
科目区分
展開科目
履修条件
●履修条件はありません(他学部可)。教職科目でもあるので、基礎的なレベルから講義を始める予定でおります。なお毎年のことですが、他学部生であっても事前に履修許可を教員に照会する必要はありません。初回講義時にその旨お伝え頂ければ結構です。

●今年度から、講義内容を一部改定しています。ポイントとしては、特定の理論や思想をインテンシヴに取り上げることを避ける代わりに、関連文献をそれなりにカバーして、国際社会の全体像の把握につとめたいと思います。つまり、異なった議論が、それぞれ如何なる論理的前提から出発し、如何なる結論を導いているのかを相互に比較するという点を重視したいと思います。

●履修条件ではありませんが、前期開講の外国政治書講読(英語・大賀担当分)を併せて受講されると、国際政治学についての理解がより深まるのではないかと思います。

●09年度又は10年度に開講した「政治学原論(大賀担当分)」の受講者については「とくに」歓迎いたします。

*(4月10日追記)授業計画を一部改訂しました。
授業の目的
●世界は広く、歴史は長く、そして価値観は多様です。したがって、国際政治学と呼ばれる対象をすべてこの講義でカバーすることはできません。本講義では、国際社会についての私たちの思考を支配してきた国際法秩序と国際政治秩序の交錯を検討し、グローバル化の現代にも相通ずる国際社会の「規範」と「動態」を理解したいと思います。とくに、国際社会の思考に影響を与えた著作(および影響を与えて然るべきであるのに、それほど影響を与えていない著作)を扱い、国際社会の様態を多面的に捉えていきたいと思います。

●理論や思想を学ぶ意義は、どのような思考過程を経れば、かかる結論に辿り着くのかを検証/または反証すること、にあります。本講義では、なるべく多様な理論を取り上げ、(拙速にその良し悪しを判断するのではなく)国際社会についての「問い」の立て方、「答え」の出し方がどのように変わってきたのかを考えていきたいと思います。
授業の概要・計画
●第T部では国際政治学を学ぶことの意義を、国際政治を取り巻く環境の変化から捉えていきたいと思います。第U部と第V部では国際社会を規範的に捉える議論(ケルゼン)と、その動態を強調する議論(シュミット)をそれぞれ検討し、第W部では、それを受けて登場したリアリズムの諸理論について考察します。第X部と第Y部ではやや趣を変え、主として国内政治と国際政治の連関という視座から国際社会を捉えていきたいと思います。第X部では統治と国家理性の側面からフーコーの議論を、第Y部では近代日本における国際政治の位相に照射して、戦後日本における丸山の国際政治論を取り上げます。

第T部 イントロダクション
1.  国際法・国際関係の「国際」化
2.  国際社会における普遍主義と多元主義
3.  戦争違法化と国際法の革命
4.  憲法9条(非戦平和思想)の国際的文脈

第U部 ケルゼン―国際社会の規範構造
5.  法の概念―純粋法学と法実証主義
6.  国際法の本質―「正しい戦争」という考え方
7.  国際法と国家―国内社会と国際社会
8.  国際法の技術―集権化と分権化
9.  連邦国家と国家連合
10.  世界政府と国際裁判所

第V部 シュミット―国際社会の動態と具体的秩序思考
11.  近代主権国家の国際法上の意義
12.  政治的なものの概念
13.  戦争の意味変化
14.  現代的殲滅手段の戦争

第W部 国際政治学の形成―リアリズムの登場
15.  外交の起源と理論(ニコルソン@)
16.  旧外交と新外交(ニコルソンA)
17.  ヨーロッパ外交のモデル(ニコルソンB)
18.  外交の変容―或いは衰退(ニコルソンC)
19.  外交上の儀礼・慣例(ニコルソンD)
20.  危機の二十年とリアリズムの登場(E.H.カー)
21.  外交の復権(モーゲンソー)
22.  国際社会を法的に捉えることの限界(ケナン)

第X部 フーコー―国際社会における統治と国家理性
23.  殺す権力(主権)と生かす権力(生権力)
24.  国家理性とヨーロッパの多元秩序
25.  フーコーとヨーロッパ公法

第Y部 丸山眞男―戦後日本における国際社会の「再発見」
26.  日本の国際関係認識における丸山眞男
27.  日本政治思想史における国際社会論―朱子学と自然法
28.  丸山眞男とリアリズム―規範と現実の多層性
授業の進め方
●基本的には講義形式に拠りますが、これに並行してビデオ教材の視聴と高校教科書の検証の時間を設けます。詳しくは下記参照ください。

@ビデオ教材は、現代アメリカの戦争を題材としたものと、戦間期の各国情勢(米・英・独・日)を題材としたものを取り上げる予定です。講義では、やや理論的・抽象的・概念的な内容が中心となるので、ビデオ教材では歴史的文脈を追いながら、国際秩序の連続性(または非連続性)とその現代的論点を掴んで行きたいと思います。

A(これは今年から始める試みですが)本講義は教職科目でもあるので、講義の該当箇所について、高校レベルの教科書(とくに現代社会・倫理・政治経済など)では事実や概念をどのように説明し、そこにはどの程度の妥当性があるのか、という点を考えたいと思います。講義ではとくにNHK高校講座(http://www.nhk.or.jp/kokokoza/)を参照する予定です。
教科書・参考書等
ハンス・ケルゼン『法と国家』(UP選書)
ハロルド・ニコルソン『外交』(UP選書)
成績評価の方法・基準
出席(30%)と課題(70%)から評価します。課題は14点ずつ計5回課す予定です。詳細については初回講義で説明致します。

●何を求めているか
この講義では期末試験は行ないません。このことは、受講者全員が一定の知識水準に到達することは必ずしも要求していない、ということを意味しています。例年、受講開始時の皆さんの知識や興味には大きなばらつきがあります(教職の必修科目になっているため受講生の3割程度は他学部の方々です。法学部生についても低年次での政治系科目の履修状況によっては知識量に差があるので…)。したがって、前提知識や問題意識の如何を問わず―或いはそれぞれの知識量に応じたかたちで―、学説とか理論とか呼ばれるものを、客観的な基準や根拠に基づいて考察、または批判できているか、という点が評価の対象となります。
その他(質問・相談方法等)
ご質問・ご相談はメールにてお願いします(togaのあとに@law.kyushu-u.ac.jpです)。
過去の授業評価アンケート 2010年度前期