●法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
現代社会における民主主義・市民参加の条件を考える
開講学期
前 期
担当教員
兼重賢太郎  
単位数
2単位
教  室
1研
科目区分
入門科目
履修条件
 特に条件はありません。
 スパッとした「正解」を求める方よりも、あれこれ悩みつつ考え抜いていくタイプの方に、向いているかもしれません。
 
授業の目的
 近年、民主主義への不信が高まっているとも、民主主義が機能不全に陥っているとも、言われます。例えば、グローバル化する市場の求める迅速な決定と時間を要する民主的決定との齟齬の問題、ウォール街の占拠運動に象徴される代表制民主主義への異議申立てなどが、その例として挙げられるでしょう。これらは、現代社会において、民主主義が過渡期にある証拠なのでしょうか、それとも、一時的・表層的な現象に過ぎないのでしょうか。
 このような問題関心のもと、本演習は、民主主義のあり方を論じたテキストをもとに、現代社会における民主主義の課題や可能性、私たちが参加していくことの意味やそのための条件などについて、受講生の皆さんと担当教員とが一緒に考えていく(正しく悩んでいく)ことを、目的とします。
 あわせて、受講生の皆さんの、文献を読解する能力、他者の意見を聴いたうえで自らの意見を適切に表現する能力、自らの考えを文章に組み立てていく能力等の向上も、目指します。
 
授業の概要・計画
【授業の概要】
 本演習は、以下の3つの活動内容から構成されます。いずれも、受講生の皆さんの主体的な取り組みが必要となります。
(1)テキストを輪読する。
 現代社会における民主主義のあり方を論じたテキストとして、@東浩紀(2011年)『一般意志2.0:ルソー、フロイト、グーグル』、A宇野重規・田村哲樹・山崎望(2011年)『デモクラシーの擁護:再帰化する現代社会で』を取り上げ、いずれか、あるいは両方を、輪読していく予定です。@は、現代思想家が著した民主主義論で、情報技術の発達が新しい民主主義を創出する、と論じています。Aは3人の政治学者が著した民主主義論で、再帰性をキーワードに民主主義(デモクラシー)の可能性を論じています。できれば、@Aとも輪読した方が、より立体的な理解につながると思われますが、受講生の皆さんと相談した上で、決定したいと考えます。
(2)各回毎に、受講生の共通認識と相違点を確認する。
 テキストを題材に、毎回、議論をしていきます。議論は、一部の人の言いっ放しや多数の聞きっ放しに陥らないように、受講生全員がコメントする方式をとります。また、各回毎に、受講生の共通認識と相違点を確認し、各回のまとめを行います。具体的なやり方については、「授業の進め方」の欄を参照してください。
(3)自ら問い・課題をたてて、レポートを書く。
 全ての演習が終了した後、演習での議論等を参考に各自でテーマを設定し、レポート(2,000〜3,000字程度)を執筆してもらいます。レポートの書き方、各自のテーマ設定等については、第14回の演習で話し合う予定です。

【授業の計画】
 以下のように計画していますが、受講生の皆さんのニーズ・意見等も聞きながら、柔軟に対応していきます。
○第1回:オリエンテーション、自己紹介、演習の進め方の決定
○第2回:担当教員からの問題提起(朝日新聞連載記事「カオスの深淵」を題材に)
○第3回〜第12回:テキストの輪読と議論
○第14回:レポートの執筆について
○第15回:全体の総括
 
授業の進め方
 初回のオリエンテーションの際に、具体的な内容をお話し、受講生の皆さんと決定します。基本的には、以下のように進める予定です。
(1)司会進行役は、受講生の皆さんにお願いします。
(2)各回の報告の担当者が、テキストの担当部分に関してレジュメを作成し、その内容を報告します。
(3)報告担当者以外の受講生も、該当部分を予め読んだ上で、疑問点や意見をまとめたメモを作成します。
(4)報告者のレジュメと各自のメモをもとに、議論をしていきます。
(5)最後に、司会進行役が受講生全体の共通認識と相違点等をまとめて、確認します。その際に、合意形成(コンセンサス・ビルディング)のためのプロセス・テクニックを用います。
(6)司会進行役は、各回の演習終了後、(5)の内容をまとめた議事メモを作成し、次回に全員に配布・確認します。
 
教科書・参考書等
 下記のテキストのいずれか、ないしは、両方を輪読していく予定です。具体的には、受講者の皆さんと相談の上、決定します。
・東浩紀『一般意志2.0:ルソー、フロイト、グーグル』講談社、2011年。
・宇野重規・田村哲樹・山崎望『デモクラシーの擁護:再帰化する現代社会で』ナカニシヤ出版、2011年。
なお、参考図書については、演習の中で随時紹介していきます。
 
成績評価の方法・基準
 成績評価は、演習への出席状況、議論への参加状況、各回の議事メモ、レポート等を総合的に勘案して行います。
 
その他(質問・相談方法等)
 質問・相談は随時受け付けます。演習の前後だけではなく、メールを送って頂いても結構ですし、研究室(法学府第5研究室)を直接訪ねて頂いても結構です。
 
過去の授業評価アンケート