履修条件 |
熱意と決意のある者であれば、現時点での学力は問わない。 この演習の毎回の予習量は少なくないかも知れないが、法学部の2年前期は全学教育のカリキュラム上かなり余裕があるため、十分乗り切れるはずである。この2年前期に精一杯努力しておくかどうかで、その後大きな差が出ることになると思うので、少々きつめの演習に参加しておいた方がよいと思う。 |
授業の目的 |
●法政基礎演習の共通目標 この授業科目は、少人数のゼミ形式により、2年後期から本格的に始まるより高度な学習へ向けての橋渡しの教育を行う目的で開講されるものである。具体的には、 (1)リサーチ・分析能力、 (2)ディスカッション・プレゼンテーション能力、 (3)レポート・論文作成能力、 という、将来どのような進路をとっても必ず要求される能力の伸張を目指す。
●この演習の目標 ジュリスト1400号(2010年4月)の特集「憲法訴訟と司法権」所収の論文や、このテーマに関連する憲法の重要判決を題材に、法律学の論文や判決の読み方など、これからの法学部での学習に最低限必要で、かつ今後の知的人生に必ず役立つであろう作法と能力を身につけることを目的とする。参加者自身の努力次第で、読む能力だけでなく、必要な文献・情報をリサーチ・分析する能力、それを報告・レポートとしてまとめる・書く能力、そしてそれらをふまえて議論する能力も大きく伸びるであろう。 法律(学)の専門家の書いた文章(論文や判決全文など)をじっくり時間をかけて読むチャンス(時間的・心理的余裕)は、(法学部やロースクールの)高年次になればなるほどなくなっていくだろう。担当教員は、比較的時間のある現時点で、たとえば論点箇条書きスタイルの「わかりやすい」予備校テキストなどではなく、きちんとした長い文章を読んでおくことが極めて重要であると考えている。そのような文章をインプットしていない人間は、決して良い文章(=答案)をアウトプットすることはできない。 検討の材料は憲法学の論点に限定されてしまうであろうが、判決と論文の精読を通じて、論理的思考力・批判的考察力といった能力を鍛え、「強い頭」を作ることがこの授業の主要な目的である。 |
授業の概要・計画 |
初回はオリエンテーションに充てる。 2回目以降に扱う論文・判決は、参加者の希望も踏まえて決定するが、ジュリスト1400号に所収の論文の主なテーマは次の通りである(全部で15本の論文が掲載されている)。このうちの5〜10程度のテーマを選んで検討することにしたい。 ○司法権の概念 ○司法の独立と裁判官の良心 ○訴訟と非訟 ○最高裁判所裁判官の任免 ○裁判員制度 ○行政訴訟の解釈と運用 ○違憲判断の方法 ○二重の基準論 ○三段階審査 ○思想・信条の自由 ○政教分離 ○平等原則 ○財産権 ○生存権
また、少なくとも次の判決を、上記のテーマと関連させて検討する予定である。 ○警察予備隊訴訟判決(憲法9条/違憲審査制の性質について) ○苫米地事件判決(衆議院の解散/統治行為の司法審査可能性) ○尊属殺重罰規定違憲判決(法の下の平等/違憲判決の効力) |
授業の進め方 |
毎回、@1つのテーマ・判決についての30分程度の報告(あらかじめ報告者は指定)、A報告に対する10分程度のコメント(コメンテーターは当日くじ引きで決める)、B参加者全員による議論(司会者は当日くじ引きで決める)、を行う。 参加者の人数にもよるが、例年、報告は3〜4名のグループによる報告、コメントは1〜2名である。 参加者が慣れるまでの当初の数回は、担当教員が相対的に優しく指導・フォローする予定であるので、あまり心配する必要はない。例年、この演習に参加した学生は、当初は戸惑っていても、後半以降はきちんと報告・議論ができるようになる。 |
教科書・参考書等 |
適宜指示する。 教材として、「ジュリスト」1400号を購入すること(南野が準備する)。また、2年前期で是非通読しておくべきものとして、「法学セミナー」2011年4月号の特集「法学入門2011」所収の各論考がある。 判決全文とその他関連論文のコピーは毎回配布する予定。憲法の理解に自信がない者は、春休み中に、または開講までに次の教科書のうち一冊程度を通読しておくと良いであろう。
○長谷部恭男『憲法〔第5版〕』(新世社、2011年) ○樋口陽一『憲法〔第3版〕』(創文社、2007年)
また、次のものも(もう一度)通読しておいてほしい。
○南野 森(編)『ブリッジブック法学入門』(信山社、2009年)はしがき及び第1章〜第6章まで。 |
成績評価の方法・基準 |
平常点による。 無断欠席は認めない(以降の本演習への参加を認めず、単位を認定しない)。 |
その他(質問・相談方法等) |
この演習に関する質問等は遠慮せずメールにて南野まで寄せること(アドレスは @law.kyushu-u.ac.jp の前に minamino を付加)。直接南野の研究室(3階)に来られても歓迎する。 担当教員は、この演習を楽ではないが楽しいものにしたいと思っている。コンパ等も希望があれば企画する。 なお、クラス分けの決定終了次第、直ちにこの演習のメーリングリストに登録するため、学生第三係に提出する「受講希望届」には必ず携帯のメールアドレスを記載すること。 |
過去の授業評価アンケート |
2011年度前期 |