履修条件 |
独裁の政治史について、一年間議論していけるほどの関心と熱意のある方。 |
授業の目的 |
本演習の目的は、以下の4点です。 1.政治史関係の学術論文の読み方を習得する。 2.政治史を解釈する際に必要な用語や概念を十分に理解し、把握する。 3.自分の考えを的確にかつ論理的に、さらには説得的に相手に伝えるようになる。 4.ゼミ論文の執筆を通じて、調査能力と論文作成能力を育成・発展させる。 本演習では、特に4.のゼミ論文の作成に力を入れています。 以上です。
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授業の概要・計画 |
2008年秋に勃発した世界金融危機は、一部の経済学者によって、「平成大恐慌」と呼ばれています。その際、この「大恐慌」は段階的に深刻化してくるとみなされており、一過性のものとはみなされていません。ギリシャの財政危機に端を発するユーロ圏の金融・財政危機は、深刻の度を一段と強め、「平成大恐慌」を主張する論者からすれば、「大恐慌」は第二段階に突入したといえるかもしれません。 こうした金融・経済危機を背景としながら、日本では3・11以降、社会不安や閉塞感が日本中を支配しています。現状打破を求める空気が充満しているのも事実です。そのなかで、首長レベルにおいて、「独裁的な政治手法」を公然と主張する政治家が登場しています。彼らはメデイアを巧みに利用しながら、大衆的支持を動員し、大きな支持を得ています。こうした現象を政治学では、「ポピュリズム」と呼んでいます。その一方で、阿久根市のように、住民投票といった民主的正統性に依拠した独裁的政治手法や非合法的な行為もまた公然と展開されました。 以上のように、独裁的手法を大衆が支持をし、こうした民意を基礎に独裁的手法が正当化されており、日本の民主主義は今、大きな岐路に立っています。 こうした状況認識と問題意識を持って、本演習では、独裁に関する政治理論を読みながら、現在の日本の政治状況を考える手段として、独裁の政治史を取り上げ、これについて検討していきます。とりわけ、民意を動員しながら、民主体制を崩壊させ、独裁体制を確立したヒトラーと、戦時日本の総力戦体制において、「日本のヒトラー」とも称せられた東条英機について比較検討していきます。そのうえで、理論や歴史を踏まえたうえで、現在日本の政治状況の行方について皆で議論し、考えていきたいと思います。
【授業計画】 1.独裁の政治史に関する理論的な知識の習得(政治理論書の検討) 2.現代の政治状況に関する専門的知識の習得(ポピュリズムに関する最新の研究の批判的検討) 3.独裁の政治史に関する比較検討 4.ゼミ論文の構想発表会(後学期に2回開催予定) ゼミ論文合評会を兼ねたゼミ旅行(年度末) |
授業の進め方 |
毎回、報告者1名とコメンテーター1名を決め、資料やテキストに関する報告者のコメントを中心に、参加者全員が議論していきます。 |
教科書・参考書等 |
・マックス・ヴェーバー、脇圭平訳『職業としての政治』岩波書店、1980年。 ・カール・シュミット、田中浩・原田武雄訳『合法性と正当性』未来社、1983年。 ・古賀敬太・佐野誠編『カール・シュミット時事論文集』風行社、2000年。 ・有馬晋作『劇場型首長の戦略と功罪』ミネルヴァ書房、2011年。 ・イアン・カーショウ、石田勇次訳『ヒトラー権力の本質』白水社、1999年。 ・太田尚樹『東条英機』角川学芸出版、2009年。 |
成績評価の方法・基準 |
平素並びにゼミ論文。 夏休みには、3年生にE・H・カー『歴史とは何か』の書評を課します。
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その他(質問・相談方法等) |
本演習は、少人数ゼミをモットーとしており、定員は原則8名です。後学期は、ゼミ論文の作成に力を入れて取り組むために、ゼミ論文構想発表会を2回予定しています。 年度末には、ゼミ旅行を行います。年度末のゼミ旅行では、温泉地でゼミ論文の合評会を行います(2010年度、大分・鉄輪温泉)。 |
過去の授業評価アンケート |
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