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履修条件 |
履修条件は、特にありません。ミクロ／マクロ（「日常的な対人関係の機微」から、「国家・市民社会・世界社会にかかわる大きな問題」まで）を問わず、さまざまな社会現象への「知的好奇心」が旺盛な人に向いているかな、とは思います。
１．学問の性質上、いわゆる「法解釈学」に正面から取り組むことはいたしません。それゆえ実定法系科目が不得手な人でも問題はありませんが、「理詰めの思考」が不得手な人には不向きです。ゼミ討論の基調は、法学というよりも社会学／社会科学的議論になりますので、この点についても、あらかじめご了解下さい。
２．参考文献等がすぐに手に取れることを理由に、研究室で開講するため、登録人数をあまり増やすことができません。もしも希望者が多かった場合（たぶん杞憂でしょうが）には、ご希望に添いかねる可能性もあります。登録申請にあたっては、この点も十分にご考慮下さい。
３．例年、不定期のオブザーバー・飛び入り参加者（単位にはなりません）が出現します。来期についても、原則的にこれを歓迎いたします。 |
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授業の目的 |
議論の基本的スタンスは、みなさんが日常生活を送る中で「ふと疑問に思った出来事／現象」を手掛かりに、現代日本社会の「規範状況」（広義の法・ルール・制度・倫理をめぐる問題群）を、社会システム理論／社会学的方法論を用いて観察・分析・批判していくこと、にあります。
観察・分析・批判にあたっては、それを単なる「印象論」に終わらせないために、最低限の「データ」収集と、それを料理する「理論フレーム」の修得が必須となります。もちろん、いきなりそれを要求しても仕方ありませんので、ゼミでの議論を通じて、いわばオンザジョブ方式で徐々にトレーニングしていきましょう。
本ゼミの「基本的な目的（効用？）」は以下の３点です。
１．目先の「実用性」とはひと味違う次元で「知的基礎体力としての実践的思考法」を磨くこと、
２．参加者各自が、それぞれ自前の「具体的研究テーマ」を設定した上で、文献・資料・データを収集・分析していくノウハウを習得すること、
３．それを「論文」なり「リサーチペーパー」なりの形にまとめてプレゼンする技術と度胸を身につけること。
大学の（少なくとも社会科学系学部における）高年次ゼミナールの目的は、（ある種の「実用的目的」を度外視すれば）ほぼこの点に尽きるでしょう。 |
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授業の概要・計画 |
原則として前期／後期とも、第１回目のゼミの場で、参加者の合議によりその学期の大まかな方針を立てます。
研究テーマについては、例年通り、参加者各人の具体的な問題関心に応じて、現代日本社会や法システムのはらむ問題状況を、社会システム理論はもちろんのこと、社会哲学／社会理論／法理論、社会学、応用倫理学、社会心理学、公共選択論等の「学際的手法」を用いて観察・分析する思考実験に取り組んでいきます。この大枠の範囲内であれば、具体的にどんな対象／事象／現象を研究テーマとして選ぶかは、参加者各自の自由と自己決定にゆだねます。
その際に、
１．参加者各人（あるいは各チーム）が、適宜、自分たちの選んだ研究テーマに関する研究経過・進捗状況報告を行うこと、
２．文献資料のみに頼らず、できるだけフィールドワークを組み込んだ調査・研究を計画・実施すること、
３．１年間の研究をもとに、最終的に「ゼミ論文（リサーチ・ペーパー形式でも可）」を１本作成すること、
を目標とします。
なお、参考として、ここ数年のテーマを（ランダムに）列挙すれば、公共空間管理／Ｗｅｂのクラウド・システム管理とアーキテクチャー権力、近年の雇用形態の変動と保育制度の役割、構造不況と新卒者就職活動の構造転換、現代日本における集団的示威運動の可能性、市民的安全／治安管理システムの光と陰、ダイエット化する社会（美容・健康から規制緩和まで）と規律権力、商業系／エンタメ系メディアの現状と問題点（コミック／女性ファッション雑誌の言説戦略、不健全図書／ゲーム／webサイト規制問題、放送禁止用語問題など）、同人誌系コミュニティにおける著作権問題、消費行動にみる世代的／地域的傾向性に関する比較研究（消費行動の島宇宙化、ロードサイドショップ化する社会、「若者の＊＊離れ」レトリックにみるメディア戦略など）、初等中等学校における「公民教育」の可能性、ベーシックインカム論の射程など、きわめてバラエティに富んだ内容になっています。
卒業までにゼミ論を最低１本は執筆することが、必須ノルマですので、参加者各位にはそれなりに充実した１年間（２年間）をお約束いたします。 |
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授業の進め方 |
事前に準備された年間計画・進行表はありません。すべてはゼミ参加者の合議により、その都度の状況に応じて、フレキシブルに運営します。
年度の終わり（卒業まで）に「ゼミ論」を最低１本、執筆・提出することだけが「共通ノルマ」ですので、あとはそれに向けて各人が自分自身の「研究計画」を責任を持って立案し、それぞれがマイペース（必ずしも「遅い」という意味ではありませんぞ！）で準備を進めて下さい。もちろん必要に応じてお手伝いはしますが、最後に水を飲むのは「馬」本人であって、私ではありません。この点はくれぐれもご注意下さい。
以上の原則の下に、ゼミは参加者各人の研究の進捗度に即して自在に運営されます。
また、ゼミの時間は、研究発表者の報告を受けて、全員で徹底的に叩き合う「ディベート中心」の運営を目指します。自分のテーマをどこまで掘り下げて論じるかは、原則的に報告者各自の自己決定の問題ですが、安易な「手抜き」をすると「立ち往生」するハメに陥りますのでご注意下さい。
とはいえ、議論の「パス回し」そのものは、参加していて楽しいことを請け合います。先輩たちのコメントによれば、本ゼミでの議論の経験は、「思わぬところ（どこだろう？）」で「なにかと（どんなふうにだろう？）」役に立つ（ことがある）のだそうです。なるほど「学知（知的基礎体力）」というのは、そもそも、そういうものなのかもしれませんね。 |
| 教科書・参考書等 |
全員が購読すべき「共通テキスト」は特に指定しませんが、テキストを買わずにすんで安上がり、という意味ではありません。むしろ「逆」です。参加者各位には、自分自身の選んだテーマとの関係で関連文献・資料を、自己決定／自己責任の原則に基づき、まずは自助努力によってしっかりと収集していただきます。私もできるだけ資料集めには協力しますが、基本は「まずは自分の力でやれ」ですので、あらかじめ覚悟しておいてください。また、そう広くはありませんが、個人的な知り合いルートをたぐれば、ある程度は「実態調査」のお手伝いもできるかと思います。
もちろん参加者からの要請があれば、全員で１冊の本を読み合わせる機会があっても構いません。研究計画上、どうしてもゼミでの文献講読を必要とする場合には、その旨、申し出て下さい。ご希望には最大限添いたいと思います（あまり数が増えると、全員が購入すべき書籍が多数になって辛いかもしれませんが）。なお、ゼミは研究室で行いますので、必要な参考文献については、適宜、本棚を漁ることが可能です。
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| 成績評価の方法・基準 |
年度末までに、参加者全員に、１乃至２年間の研究成果となる「ゼミ論文」ないし「リサーチ・ペーパー」を提出していただきます（おおむね「２００字×５０枚」あたりを目処に執筆できれば「まずまず」といったところでしょうか）。言うまでもなく「論文」には、固有の作法（形式や文体）というものがあります。執筆をつうじて、そうした作法を習得することも、成績評価云々を越えた意義をもっています。
成績評価は、平素の議論への参加度／貢献度(50%)と、ゼミ論の頑張り度／出来映え(50%)の総合判断により判定いたします。時間が許せば、参加者全員による講評会（という名の叩き合い）を行うのもアリでしょう。 |
| その他（質問・相談方法等） |
いわゆる「真面目な人」でなくてもＯＫですが（「必要以上に真面目な人」は、水が合わない可能性大ですので、あらかじめご遠慮いただくのが安全かと思います）、最低限「やる気だけはある人」でないと困ります。ゼミの年間タイムスケジュールについては、参加者の合議により、自由自在に調整していただいて構いませんので、その都度、自分のやるべきことの「優先順位」を考慮に入れ、メリハリのある年間計画をお考え下さい。（以上の文章を「やりようによってはいくらでも楽ができる」と読んだ人は、絶対に登録申請しないで下さい、迷惑です！！）
また、研究計画の実施過程においては、基本的にいつでも相談に応じます。私に空き時間があまりないのが、お互いに不幸な状況ではありますが、ゼミの進行とともに、なんとなく双方のペースがわかってくるはずです。
ともかく、見た目はアバウトですが、いろいろな意味で「大学らしいゼミ」を目指して楽しく／しっかりやりましょう。
なお、年に数回（数十回!?）、ＯＢ／ＯＧも多数参加する「お遊び企画」が実施されています。このゼミの出身者は何故か（必然的に？）「濃い人たち」が多いので、それはそれで盛り上がっている模様です。ちなみに、「お遊び企画」の中身は、基本的に「場外論争」（当ゼミには「大学の壁」という概念が存在しないので、いつでも／どこでもゼミのような議論が始まってしまいます）・温泉・お酒・プチグルメ・サブカル系・そしてなぜか古墳です。原則としてリッチ企画は一切ありませんので、しみじみとワビサビのわかる人限定、ということで宜しくお願いいたします。 |
| 過去の授業評価アンケート |
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