履修条件 |
・政治と人間の問題を、「歴史・思想・哲学」の視点から、深く、地道に考えてみたい方。サブゼミ希望者やオブザーバーも歓迎します(ただし、近年ゼミ生が増えているため、人数が20名を超える場合は選抜を行います)。 |
授業の目的 |
・プラトンやアリストテレスをはじめとする過去の思想家のテクストは、現代の視点からは見えにくい「時代の背中」を映し出す、歴史の知恵の宝庫です。 本演習では、政治学の「古典」や「名著」との対話を通じて、移りゆく時代に流されず、現代社会で「善き生」を営むために必要とされる、以下のような「わざ」を磨くことを目的とします。
@「デモクラシー」「自由」「国家」「権力」「公共性」などの政治概念の系譜に関する学問的な知識と歴史的な洞察力 Aテクストの高度な読解能力、論理的な思考能力、論文作成能力などの、高年次に相応しい学問的な「型」や「わざ」。 B現代を生きる市民に必要とされる「教養」や「実践知」
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授業の概要・計画 |
【概要と計画】 ・2012年度は、昨年度に引き続き「<教養>とは何か」をテーマにして、日本と西洋との比較の観点から、その思想史的な意義を考えます。 政治学においては近年、とくに市民育成の観点から、その教育や教養のあり方が議論され始めています。とりわけ、震災後に見えてきた政治的諸問題の原因の一つは、ディーセントな市民社会の基盤となる、広い意味での「教養」や「想像力」の欠如にあるのかもしれません。 本演習では、「古典」や「名著」との対話を通じて、古代ギリシアやローマ、あるいは中国に由来する「教養」の実像を明らかにします。この作業を通じて、現代を生きる市民に必要とされる、政治的な知の所在が見えてくるはずです。
テクストとしては、現在のところ、日本の文献として丸山眞男『丸山眞男セレクション』、西洋の文献としてマキャヴェッリ『ディスコルシ−「ローマ史」論』を考えています。
※なお、教員の木村は、このゼミでの議論を参考にして、政治と教養に関する一般向けの本を書く予定です。
【ゼミ論文その他】 ・この演習ではまた、1年間の集大成としてのゼミ論文の執筆が求められます。夏休みの合宿での構想発表、年度末の最終報告と原稿の提出が課せられます。ただし、サブゼミの方は、書評などのゼミ論以外の選択も可能です。
【ゲストスピーカー】 ・2011年度は、杉田敦先生(法政大学教授・日本政治学会理事長)をお招きして、「3.11以後に見えてきたもの」と題するセミナーを開催しました。 |
授業の進め方 |
・毎回テクストの範囲を決め、担当者の報告をもとに参加者全員で討論します。
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教科書・参考書等 |
【テクスト】 ・丸山眞男『丸山眞男セレクション』平凡社ライブラリー、2010 ・マキャヴェッリ『ディスコルシ−「ローマ史」論』ちくま学芸文庫、2011
【参考書】 ・苅部直『移りゆく「教養」』NTT出版、2007
【その他】 ・木村俊道『文明の作法−初期近代イングランドにおける政治と社交』ミネルヴァ書房、2010 ・木村俊道「実践知としての政治思想史」(関口正司編『政治における「型」の研究』風行社、2009所収) ・岡崎晴輝・木村俊道編『はじめて学ぶ政治学−古典・名著への誘い』ミネルヴァ書房、2008 ・九州大学政治哲学リサーチコア編『名著から探るグローバル化時代の市民像』花書院、2007 ・古賀敬太編『政治概念の歴史的展開』全四巻、晃洋書房、2004-
【2011年度に読んだテクスト】 ・福沢諭吉『学問のすすめ』岩波文庫、改版1978 ・福沢諭吉『文明論之概略』岩波文庫、1995 ・オルテガ『大衆の反逆』ちくま学芸文庫、1995 ・杉田敦『デモクラシーの論じ方』ちくま新書、2001
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成績評価の方法・基準 |
@ゼミ論文(もしくは書評等)および、A通常のゼミに対する取り組み方(報告や討論への参加、ゼミ運営への貢献等)により総合的に評価します。 |
その他(質問・相談方法等) |
【ゼミ見学】 ・オープンゼミ期間以外でも随時見学可能です(第2研究会室)。 ・12月15日(木)は休講ですが、教員の研究内容や人となりを知りたい方は、当日の午後1時半から大会議室で開催されるシンポジウム「シヴィリティをめぐる東西の対話ー礼節、市民性、公共圏」を覗いてみて下さい。 ・1月13日(金)は、臨時ゼミとして、午後1時から6時頃までゼミ論報告会を開きます。先輩達の研究成果をぜひ見に来て下さい(第1研究会室)。
【その他】 ・政治学史(前期・展開)や政治理論入門(後期・基盤)、政治外国書講読(前後期)を併せて受講することが望まれます。 ・在室時は随時訪問可能です。なんでも、お気軽にご相談ください。 |
過去の授業評価アンケート |
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