行政法演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
行政法演習
標準年次
3・4
講義題目
都市法とまちづくり政策の最前線
開講学期
通 年
担当教員
村上・原田 (村上裕章・原田大樹)
単位数
4単位
教  室
303
科目区分
展開科目
履修条件
行政法T(行政過程論)を受講していること(単位取得の有無は問いません)。

この演習と並行して,前期に開講される行政法U(行政救済論)を履修することが望ましい。
授業の目的
「考える力」「書く力」「議論する力」を高めることがこの演習の目的です。

法律学を学ぶ上では,基礎的な概念や考え方を理解し,時には覚えることも重要なステップではあります。しかし,変化の激しい現代社会においては,大学で学んだ知識はすぐに古くなってしまいます。社会に出た後にみなさんが遭遇するさまざまな問題を解決するためには,いろいろな情報源から情報を収集し,分析し,自分の見解をまとめ,それを表現し,相手に対して説得的に説明し,議論する力を在学中に身につけておくことが重要と考えます。この演習では,行政法に関係する問題を素材に,こうした能力を伸ばすことを最大の目的としています。
授業の概要・計画
<前期>

行政法を真に身につける上では,個別法分野(参照領域)の法的なしくみを学ぶことが最も有効な方法であり,都市法には行政法の理論的課題を具体的に考えるための新鮮な素材が豊富です。そこで前期は,行政過程論の復習を行った後,都市法とまちづくり政策に関連する現代的なテーマをいくつか取り上げて議論したいと考えています。この作業を通してゼミ生ひとりひとりの「考える力」を高めることを目標とします。具体的な計画は以下の通りです(参加人数によっては変更の可能性があります)。

・第1回 オリエンテーション・報告グループの決定

・第2回〜第3回 行政過程論の復習

・第4回 都市法とまちづくり政策の基礎(教員等による説明)

・第5回〜第14回 ゼミ生による研究報告
5つのグループに分け,各グループが2回ずつ報告します。1回目はテーマ報告,2回目はそのテーマに関係する重要な判例を取り上げて報告します。研究報告のテーマ候補はさしあたり次の通りです(開講までに変更される可能性もあります)。

(1)土地利用計画・地区計画による都市空間形成,用途地域・地区計画の処分性(最判1982(昭和57)年4月22日民集36巻4号705頁,最判1994(平成6)年4月22日判時1499号63頁)
(2)都市施設の整備,小田急連続立体交差事件(最大判2005(平成17)年12月7日民集59巻10号2645頁,最判2006(平成18)年11月2日民集60巻9号3249頁)
(3)市街地開発と都市再生,浜松土地区画整理事業事件(最大判2008(平成20)年9月10日民集62巻8号2029頁)
(4)都市計画と住宅政策,志免町給水拒否事件(最判1999(平成11)年1月21日民集53巻1号13頁)
(5)建築物の安全性確保,たぬきの森事件(最判2009(平成21)年12月17日民集63巻10号2631頁)

・第15回 予備日


<後期>

後期はゼミ論文を執筆します。自分の興味・関心に応じて様々な情報源を利用して調査を行い,自分なりの解決策をまとめていく過程で,「考える力」「書く力」「相手を説得する力」の向上を図りたいと思います。テーマの選択については、行政法演習のホームページ(http://quris.law.kyushu-u.ac.jp/~ohashisemi/)が参考になります。
授業の進め方
担当者がテーマについて報告を行い,それを素材に参加者全員で議論します。前期はグループごとの報告,後期は個人での報告を予定しています。

その他,受講者の希望に応じて,ゼミ合宿・合同ゼミ・裁判の傍聴・行政機関の見学などを行うことも考えています。2011年度は九重でのゼミ合宿と学習院大学大橋ゼミとの合同ゼミを実施しました。
教科書・参考書等
ゼミの中で紹介します。さしあたり,現在出版されている都市法・まちづくり政策関連の基本書として以下のようなものがあります。

ヴィンフリート・ブローム=大橋洋一『都市計画法の比較法研究』(日本評論社・1995年)
安本典夫『都市法概説』(法律文化社・2008年)
生田長人『都市法入門講義』(信山社・2010年)
成績評価の方法・基準
演習における報告と,年度末に作成するゼミ論集に掲載する論文により評価します。無断欠席した場合には,以降の演習への出席は認めず,単位を認定しません。
その他(質問・相談方法等)
大学時代の4年間は人生の中で最も能力が伸びる時期の一つです。ゼミ論文を執筆するためにはそれなりの努力が必要ですが,書き上げることによって確実にパワー・アップすることができます。本演習の目的に共感し,大学生活で何かを達成したいと望んでいる意欲的な学生の参加を期待しています。
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