(1)いくつかの政治的価値概念が、近代日本においてどのように語られたのか理解を深める。政治社会において何を実現すべき価値と考え、それを所与の条件下で如何に追求したのか――歴史的文脈のなかで各時期の思想家の主張を理解する。 (2)歴史や思想家についての、研究史における評価変遷を考える。過去、つまり歴史理解には、価値中立的な理解などなく、常にある解釈が含まれている。歴史理解とは、絶えまざる解釈的な行為の繰り返しである。私たちの政治観、歴史観も、それらの上に成り立っていることを自覚する。 (3)私たちはどのような立場にあれ、ある歴史解釈とその上に成立する政治権力を、自ら自由に選択した任意の歴史解釈と思想評価に照らして識別し、判断していくことが求められるであろう。日本の政治的伝統に向き合う態度と、その際に立脚する思想的立場を考え続けることが、履修生各自にとって受講後の「目標」である。
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