履修条件 |
特にありません。労働の世界とそのルールが大きな変革の時代を迎えているなか、それに興味があり、これからの自分の働き方、そして世の中の働き方について一緒に考えてみたい方を歓迎します。 |
授業の目的 |
この演習では、大きく以下の4点を目的としたいと思います。 @労働法を学ぶ楽しさを知ること A労働法における主な問題についての基礎知識を得て、労働判例の読み方を習得すること B労働をめぐる問題を多角的に理解するという「視点」を涵養すること 本演習は、広い視野から「働くこと」に関わる問題を考えていくことを目的としています。これは、今後皆さんが労働法を深く学ぶための素地を作ることとなるでしょう。 C今後必要とされる基本的な能力を養成すること 演習を通じて、情報収集・分析能力、自己表現能力、及びレポート・論文作成能力の向上を図ります。
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授業の概要・計画 |
【授業の概要】 皆さんは、法律は基本的に不変のもので、労働法もそうであって、しかも労働者を保護するために作られた単純な法律であろうと思ったりしていませんか。 実際には、労働法が対象とする問題は、複雑な歴史的・社会的背景をもつことが多い。人々の「働くこと」についての認識や「働き方」は不変のものではないし、同時に労働法も常にその基盤にある歴史や社会に規定されながら変化しているものである。 このように、労働法は決して単純な法律ではなく、それを理解することは決して簡単なことではない。そこで、本授業は、高年次で本格的に労働法の理論を勉強される一歩前の段階として機能することを目指しています。 具体的には、@労働法が現実社会とどのようなつながりを持ち、どのような意義を有するのかを、身近な事例を素材に考えていきます。内定の取消し、名ばかり管理職、過労死や過労自殺、有給休暇が取れない問題など、検討の素材は豊富にあります。 A「今、こうなっている」という労働法を覚えるのではなく、その背景や基盤にはどういった事情があるのか? これからどうすればいいのか? について、広い視野から柔軟に考えていきます。例えば、なぜ非正社員が増えたのか、賃金格差はなぜ生じるのか、望ましい解決策は何かなど、当事者となって意欲的に考える価値があります。 それぞれのテーマについて、現在の法状況を調べると同時に、その経緯や社会的背景を知り、場合には外国の状況も参考に、さらに労働者・企業・社会(国家)といった様々な角度から考えてみましょう。
【授業の計画】 <第一回> オリエンテーション 自己紹介、演習の目的及び進め方について説明し、報告担当者決めを行います。 <第二回> スキルについてレクチャー 文献・裁判例の調査方法、レジュメの作成方法や報告の仕方等について説明します。 <第三回以降> 個別報告 基本的に指定テキストからテーマを選定してもらいます。 ただし、受講生の希望により他のテーマも選定でき、初回の授業の時に受講生と相談しながら決めます。
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授業の進め方 |
第三回以降は、基本的に以下のような流れで授業を進めていきます。 →報告担当者(参加者人数によりグループ報告の形をとります)がレジュメを作成し、報告する 報告担当者が司会をする →報告担当者以外の参加者も自分なりの疑問点や意見について事前にメモして用意する →全員による質疑応答と議論 →担当教員によるコメント
※演習が終了した後、演習での議論を参考に各自でテーマを設定し、レポート(3000字程度)を作成してもらいます(最終回の演習において各自のテーマを発表してもらい、レポートの作成方法について説明します)。
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教科書・参考書等 |
<教科書> 大口伸哉=川口大司『法と経済で読みとく雇用の世界――働くことの不安と楽しみ』(有斐閣、2012年) 野田進(編)『判例労働法入門(第2版)』(有斐閣、2011年)
<参考図書> 野田進『事例判例労働法―「企業」視点で読み解く』(弘文堂、2011年) 村中孝史・荒木尚志(編)『労働判例百選〔第8版〕』(有斐閣、2009年) ロナルド・ド―ア(石塚雅彦訳)『働くということ――グローバル化と労働の新しい意味』(中央公論新社、2005年) その他、全員に読んでもらうことが必要な文献や裁判例を適宜事前に配布します。
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成績評価の方法・基準 |
試験は行いません。 成績評価は、出席状況、報告内容や議論への参加状況、及びレポートによって総合的に行います。 出席状況(20%)、報告内容(20%)、討論への参加状況(30%)、レポート(30%)。
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その他(質問・相談方法等) |
質問・相談は、随時受け付けます。演習日以外の場合には、前もってメール(suuteyiunn[アットマーク]hotmail.com)でアポイントをとってください。 |
過去の授業評価アンケート |
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