●法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
●法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
近代日本の政党政治について考える
開講学期
前 期
担当教員
後藤啓倫  
単位数
2単位
教  室
303
科目区分
入門科目
履修条件
特にありません。
授業の目的
本演習の目的は以下の3点にあります。
(1)近代日本の政党政治に関する理解を深めること
(2)現代日本の政党政治について歴史的に考える思考を養うこと
(3)レジュメの作成方法、文献の読解能力、自分の考えを文章にまとめる能力を養うこと
授業の概要・計画
〈授業の概要〉
近年の日本の政治状況の混迷ぶりに由来して、最近、政治学では日本の政党政治、とりわけ二大政党制に対する批判的検討がなされています。こうした傾向は日本政治史の分野においてもみられ、現代日本の二大政党制を歴史的に検討する手掛かりとして、とりわけ近代日本の二大政党制期に関する議論が活発になってきています。そこでは、主として政友会と民政党の二大政党はどのように政策的に対立していたのか、当時の人々の政党政治に対する不信はどこから来たのか、そして、なぜ政党政治は崩壊したのか、といった問題が論点となっています。
そこで、本演習では、以下のテキストを読み進めるなかで、現代日本の政党政治の問題を考える手掛かりとして、近代日本政党政治の歴史的経過を、とりわけ政友会と民政党の二大政党制期を中心に検討していきます。以上を通じて、今の日本の政治状況について参加者の皆さんと議論し、考えていきたいと思います。
具体的には、筒井清忠『昭和戦前期の政党政治―二大政党制はなぜ挫折したのか―』(ちくま新書、2012年)と井上寿一『政友会と民政党―戦前の二大政党制に何を学ぶか―』(中公新書、2012年)の2冊を輪読します。その際、それぞれの著者の歴史事実の叙述にあらわれる著者の問題関心や意図を正確に読み取ることに努め、同じ対象を分析する際でも異なる論じ方があることを理解します。同時に、著者の依拠する資料や先行研究に当たることで、資料引用の適切さ、評価の妥当性についても検討し、著者の見解も多様な解釈のなかの一見解に過ぎないと理解することにも努めます。そして最後に、参加者の皆さんにはこの演習での議論を踏まえて、近代日本の政党政治に関するレポートを提出してもらいます。
本演習を通じて高年次専門科目を深く学ぶために必要な資料批判や論理的思考の技術をぜひ身につけてもらえればと思います。

〈授業の計画〉
下記の通り、『昭和戦前期の政党政治』(第2回から第7回)と『政友会と民政党』(第8回から第14回)を毎回一章程度読み進めていきます。第15回はそれまでの議論を踏まえて『昭和戦前期の政党政治』と『政友会と民政党』の総括を行います。

第1回:オリエンテーション
第2回:『昭和戦前期の政党政治』はじめに、第1章 大政友会分裂と護憲三派の形成
第3回:第2章 「劇場型政治」の開始
第4回:第3章 天皇・非政党勢力・メディア
第5回:第4章 ロンドン軍縮会議という岐路
第6回:第5章 満州事変と政党政治の危機
第7回:第6章 政党政治の終焉、まとめ
第8回: 『政友会と民政党』はじめに、T 政友会
第9回: U 民政党
第10回: V 二大政党制の展開
第11回: W 二大政党制下の政策争点
第12回: X 危機のなかの二大政党制
第13回: Y 新しい政党政治システムの模索
第14回: Z 二大政党の解党とその後、おわりに
第15回:『昭和戦前期の政党政治』と『政友会と民政党』の総括とレポートの書き方について
授業の進め方
初回の授業において報告担当者とコメンテーターを決めたいと思います。報告者にはレジュメを作成して担当個所の内容を報告してもらいます。その際、報告者には担当個所の内容に関するコメントを提示してもらいます。コメンテーターには報告者のコメントに対して考えを述べてもらいます。
演習は基本的に、(1)担当者による内容の報告、(2)内容に関する質疑応答、(3)報告者とコメンテーターの質疑応答、(4)報告者のコメントに対して皆で議論という流れで進めていきます。
また、初回の授業において、自己紹介の後、レジュメの作成方法、論点提示の仕方、文献の調査方法などについて説明します。第15回では、課題レポートの書き方について解説します。
教科書・参考書等
〈教科書〉
筒井清忠『昭和戦前期の政党政治―二大政党制はなぜ挫折したのか―』ちくま新書、2012年
井上寿一『政友会と民政党―戦前の二大政党制に何を学ぶか―』中公新書、2012年

〈参考文献〉
粟屋憲太郎『昭和の政党』岩波現代文庫、2007年、初版は1983年
季武嘉也・武田知己編『日本政党史』吉川弘文館、2011年
坂野潤治『日本近代史』ちくま新書、2012年

その他の参考文献は、演習時に適宜紹介します。

成績評価の方法・基準
試験は行いませんが、全演習終了後に2000字程度の近代日本の政党政治に関するレポートを課します。
成績については平素ならびに提出レポートから総合的に判断します。
その他(質問・相談方法等)
質問や相談はゼミ中でもゼミ終了後でもいつでも受け付けます。また、直接研究室(法学部第1研究室)にお越し頂いても構いませんが、不在の場合があるので、事前に下記のメールにて連絡頂けると助かります。
h_goto【アットマーク】law.kyushu-u.ac.jp
(*【アットマーク】を@に置き換えてください。)
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