履修条件 |
演習開始前の予習等は特にありません。 ただし,開講後1か月程度で受講生が民法及び刑法の基本書を通読することを前提として演習を進めていく予定です。したがって,勉強をすること自体(基本書通読は当然の前提として,ゼミで取り扱う参考判例や参考論文等を自ら収集して読むこと)が苦ではない者が望ましいと思います。
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授業の目的 |
本演習では,さまざまな具体的な事例等を通じて,法律の世界においては,数学のようにいつも答えがあるわけではないことを学んでもらいたいと考えています。また,具体的な事例等を通して法律学自体に興味を持ってもらい,2年次後期以降本格的に始まる法律専門科目の講義に向けての準備期間として,十分に勉強してもらいたいと思っています。 さらに,本演習は,専らゼミ形式を想定していることから,受講生がこのゼミを通じて,@情報収集能力(判例探索能力,文献調査能力),A起案能力(@での結果を要約して端的にまとめる能力),Bプレゼンテーション能力,Cディスカッション能力(自身の考え方を相手に伝える能力),D集団行動能力等,さまざまな能力の向上を図ることを目的としています。
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授業の概要・計画 |
第1回 オリエンテーション 第2回 民事手続及び刑事手続の概要(主として講義形式を予定) 第3回 民法 不倫をした者からの離婚請求を認めるべきか? 最判昭和27・2・19民集6巻2号110頁 最大判昭和62・9・2民集41巻6号1423頁等を素材として −離婚原因をつくった者からの離婚請求− 第4回 刑法 殺意とは何か? 横浜地判平成10・4・16判タ985・300を素材として −人に包丁を投げると殺人か− 第5回 民法 子の氏名は親の自由につけられるか? 東京家審八王子支部平成6・1・31判タ844・75を素材として −「悪魔」ちゃん命名事件− 第6回 刑法 量刑とは何か? 大阪地判平成24・7・30を素材として −適正な量刑とは何か− 第7回 民法・知的財産法・憲法 パブリシティ権とは何か? 最一小判平成24・2・2民集66巻2号89頁を素材として −芸能人の氏名・肖像権の保護をどう考えるか− 第8回 刑法・刑事訴訟法 映画鑑賞 「十二人の怒れる男」(1954年,アメリカ)鑑賞
第9回目以降については,受講者と相談の上,決定する予定です。なお,都合が合えば,私や私の所属している法律事務所の他の弁護士の事件の期日に法廷傍聴に来てもらったり,比較的長い証人尋問が行われる事件の法廷傍聴に来てもらうことを企画しています(その意味で,上記日程はあくまでも予定であり,適宜変更される可能性があることに留意してください)。さらに,現在交渉中ですが,現役裁判官や現役検察官の方と話す機会を設けることも検討中です(これについては,講義自体ではなく,懇親会に来ていただくという形になるかもしれません)。 |
授業の進め方 |
第1回目はオリエンテーション,第2回目は講義形式の法学入門という形にします。 第3回目以降については,各回に扱う題材を選定し,数人単位で報告担当グループを作ってもらい,その題材について30分程度で報告をしてもらった後,受講生全員で討議等をしていく予定です。報告担当者には報告準備をしてもらいますが,それ以外の受講生についても何かしらの課題を出すことを考えています。
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教科書・参考書等 |
【民事法】 特に教科書は指定しません。 むしろ,他の専門科目(民法Tないし民法V,民法4)に合わせて, 内田貴『民法T〔第4版〕』(東京大学出版会,2008年) 内田貴『民法U〔第3版〕』(東京大学出版会,2011年) 内田貴『民法V〔第3版〕』(東京大学出版会,2005年) 内田貴『民法W〔補訂版〕』(東京大学出版会,2004年) を購入し,前期の間で扱う分野について通読するようにしてください。なお,内田貴先生の民法Wは,10年前の本で少し古いということもありますので,前田・本山・浦野編『LEAGAL QUEST民法Y〔第2版〕』(有斐閣,2012年)のほうがいいかもしれません。
【刑事法】 特に教科書は指定しません。今後,刑法や刑事訴訟法の講義を履修予定の方は,そちらのシラバスに掲載されている基本書や参考書を通読すればいいと思います。 そのほか,各回の参考文献等については別途指示を出す予定です。
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成績評価の方法・基準 |
期末試験は実施しません。毎回の授業態度,発言回数,プレゼンテーションの内容等,授業態度を総合して判断します。ただし,成績評価については,第1回目のオリエンテーション等で別途指示説明をすることもあります(例えば受講生が論文を書く力を伸ばしたいという意見であれば,論述式の試験を取り入れることもありえます)。
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その他(質問・相談方法等) |
法政基礎演習としてゼミを受け持つことが初めてであるため,不慣れな点も多数あるかと思いますが,本演習を通じて受講生の皆さんと一緒に色々なことを考えていけたらと思います。 なお,質問・相談は,随時受け付けます。私は研究室を持っていないため,連絡はメール(domae.ryoji.899[アットマーク]m.kyushu-u.ac.jp)でお願いいたします。演習日以外に面談を希望する場合には、必ずメールでアポイントメントをとってください。 ※[アットマーク]は@に置き換えて送信してください。 |
過去の授業評価アンケート |
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