法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
事例を通じて考え・学ぶ民法
開講学期
前 期
担当教員
赤松 秀岳
単位数
2単位
教  室
大会
科目区分
入門科目
履修条件
民法T【民法総則】を履修中であり、民法U【債権各論】を履修予定であることが望ましい。そのほかでは、民法に関心を持ち、人前での意見発表や討論に(今は少し苦手であってもこれから)物怖じせず、挑戦してみようと思う方の受講を歓迎します。
授業の目的
皆さん方が1年次生後期から履修を始めた民法において、条文・判例・学説等を通じて学修しておられる法的知識を、実際に起こりうるような事案の中に位置づけ、その意味を考え、また、紛争解決におけるその役割等を学修します。教科書や講義で学ぶ知識を、さらに、実際に起こりうるような具体的な事案に即して、しかもクラス全体で討論することを通じて、皆さん方が「血の通った」民法の知識を身につけていくきっかけとすることが目標の一つです。また、以上を通じ、民法学修の「難しさ」のみならず「面白さ」、「楽しさ」を体験してもらうと同時に、九州大学法学部における今後の本格的な民法学修への動機付けを与えることもこの授業の目標です。

授業の概要・計画
発表や討論を通じて検討する事例については、重要判例等を踏まえて担当教員が作成した(オリジナル)事例集を第一回目の授業時に受講者に配布する予定です。事例は、受講者の皆さん方が民法の学修を始めてまだ間もない時期であることを考慮して、初めは平易な事例から、段階的学修に配慮して作成します。また、平成25年度後期に民法Tの前半を履修し、平成26年度前期には民法Tの後半を履修することも考慮し、民法総則と物権法(担保物権を除く)から重要と思われる事案を多くとりあげるとともに、平成26年度後期に学修する予定の民法Uを先取りする形で、契約法と不法行為法の分野からもいくつかの事例を取り上げたいと思います。

 以下の授業計画を予定しています(下記は予定であり、確定した授業計画は、第一回授業時に示します)。
第1回 ガイダンスとクラス作り
第2回〜第6回 民法総則分野からとりあげる事案の検討と討論
第7回〜第9回 物権法(担保物権を除く)分野からとりあげる事案の検討と討論
第10回〜第12回 契約法・不法行為法分野からのとりあげる事案の検討と討論
第13回 総括
授業の進め方
一定人数の受講者がいれば、クラス全体をさらにいくつかの班に分けて、班毎に当該の回の事例について、何が問題となるか、どのような条文や民法上の制度が関連してくるか、どのような判例があるか、判例と異なる学説があるか、その場合なぜ考え方が分かれるのか、そして、当該の回の事例はどのように解決されるべきと考えるか等について、レジュメ作成と発表を行ってもらいます。また、レジュメ作成と発表が当たっていない班も、事前に配布されるレジュメについて、班毎に事前討論を行ってもらいます。そして、授業当日は、全体で討論を行います。
 なお、各回の事例を考えるにあたり、必ず押さえておくべき基本知識等については、毎回担当教員によるミニ・レクチャーがなされます。

教科書・参考書等
担当教員が作成する事例集を使用します(第一回目の授業で配布する予定です)。
 また、民法Tで使用している教科書(内田貴『民法T総則・物権総論(第4版)』(東京大学出版会、2008年))、および民法Uで使用する予定の教科書(内田『民法U債権各論(第3版)』(東京大学出版会、2011年))のほか、民法判例百選第6版T(総則・物権)同U(有斐閣、2009年)を使用します。
 なお、六法は必ず毎回の授業で持参してください。

成績評価の方法・基準
報告と討論への参加度を通じて、成績評価を行います。レポート課題の提出を求めることがあります。
その他(質問・相談方法等)
担当教員は、法科大学院で民法教育に携わってきましたが、この演習は、法曹を希望する人のみを対象にするものでは決してありません。民法の考え方は、法的なものの考え方の基本です。民法の考え方を用いて、社会の様々な現場で起こり来る問題や紛争を、関係者が納得できる形で(すなわち正義・公平にかなって)解決を提案できる能力は、官公庁や企業で将来仕事をする人にとっても有益で必要な能力です(その養成が法学部教育の目的でもあります)。法曹志望者だけでなく多様な進路に進もうとしている学生の皆さんが、それぞれ成果を得ることができるような、演習にしたいと思っています。
過去の授業評価アンケート