法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
法学・政治学の前提を問う
開講学期
前 期
担当教員
出水 薫
単位数
2単位
教  室
206
科目区分
入門科目
履修条件
法学や政治学を学ぶには、具体的な諸事象と、抽象度の高い規範や理論とを往復する知的「体力」が求められます。
この演習では、抽象度が高く、ややとっつきにくい本を、きちんと読みとおす力をつけようとするものです。
その必要性を踏まえて参加してください。


「条件」はありません。ただ下記の方々に向いているかもしれません。

(1)「私」・「他者」・「責任」・「事実」などの概念について考えてみたい方。

(2)「難しい」本を読み通してみたい方。

※法学部に入ったのは間違いだったかもしれないと思っている方、・・・歓迎します(笑)。
授業の目的
この演習では下記のような目的を設定しています。

(1)やや難解な本を読み通す読解力を鍛えること。

(2)抽象度の高い論理を踏まえて討議する力を鍛えること。

(3)法学や政治学の基礎概念に向き合い、広く社会科学全体へのまなざしをもってもらうこと。
授業の概要・計画
私が担当する演習の多くは、「書をもって街に出る」の合言葉の下、相対的に多くのテキストを一定の速度で読み進めつつ、具体的な現場と交流をおこなうやり方をとっています。

ただ、この演習では、「ひきこもり」ます(笑)。
表面的にはとっつきにくく見え、それなりに分量のある二冊のテキストを、じっくりと、それぞれ2回通読するというやり方をとります。
具体的には、それぞれのテキストを、まず2回かけて通読し、その後、1回かけて再読します。

※なお「街に出」たい「アウトドア派」のためには、別途機会を提供します。
3・4年ゼミの学生を中心に、福岡の若手弁護士と、西南学院大学や福岡大学などの学生と、社会問題を考えるための勉強会をおこなっています。希望者はそれにも参加できます。
授業の進め方
1.以下のような手順で毎回進めます。

(1)報告者がテキストの担当部分について資料(レジュメ)を用意し、内容を要約します。また理解しにくい点や、全員で意味を確認したい点を指摘します。

(2)コメント担当者が報告に関して質問などをおこないます。

(3)全員で議論します。

2.参加者はテキストを1冊読むごとに、テキストの要約と感想を2000〜3000字のレポートとして提出してもらいます。また再読の前に、全員の要約・感想文を材料に、それぞれ一回をかけて討議します。
教科書・参考書等
※下記のテキストは、いずれも文庫が最新版です。
中古で購入する際は、誤って単行本を購入しないように注意してください。

野矢茂樹『哲学航海日誌』(1)(2)中公文庫
 著者は、ヴィトゲンシュタイン研究の第一人者で、東大の教員です。「心」や「他者」などについて、文字通り「目からウロコ」を約束してくれる本です。一見とっつきにくい主題を、平易にユーモアを交えて、説明してくれます。丁寧に論理をたどれば、かならず理解できる本です。

立岩真也『私的所有論 第2版』生活書院
 著者は社会学の研究者で、立命館大の教員です。最近「生存学」というものを提唱しています。生殖医療技術、安楽死や障がい者などをめぐり刺激的な論考を展開しています。独特の文体でとっつきにくいかもしれませんが、読み進めれば、かなり「遠く」まで連れて行ってくれます。
成績評価の方法・基準
以下の基準で100点満点で採点します。「相対基準」は採用しません。60点以上に単位を認定します。

(1)報告内容:30%
(2)議論での発言回数と内容:25%
(3)レポート:45%

※無断欠席と遅刻は減点の対象です。
その他(質問・相談方法等)
1.Facebookにより、連絡や情報交換をおこないますから、アカウントを準備してください。

2.質問はゼミのたびに受けつけます。またメールなどで予約をとった上で個別面談にも応じます。詳しくはガイダンスでお知らせします。

3.私が担当する3・4年生ゼミとの交流も積極的に設けます。進路決定の参考になるはずです。
過去の授業評価アンケート