履修条件 |
特別な履修条件等はありません。先行する年次の法学・政治学系講義の履修歴は問いません。政治学の履修がまったく初めてという方でも問題ありません。本講義は教職の必修・選択科目になっており、したがって他学部生も多く受講すること、またここ数年法学部生であっても「政治学入門」や「政治学原論」で学習しているであろう事項の理解が十分ではないというケースが散見されることから、講義では社会科学および政治学のかなり基礎的な内容から始めていきます。
※ 講義に先立ってWeb学習システム(Blackboard)に登録していただく必要がありますが、これについては後日周知します。 ※ こちらも改めて掲示いたしますが、教員の海外出張のため初回講義(4月14日)は休講となる可能性があり、その場合は4月17日から講義を開始します。 ※ 本講義は4単位科目です。火曜日2限と金曜日3限に講義があります(また教室も火曜日と金曜日で異なります)。とくに他学部生はご注意ください。 ※ 過去の成績分布は備考欄をご確認ください。 ※ 参考までに、本講義は来年度開講されないか、または担当教員が変更となる可能性があります。
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授業の目的 |
本講義では、国際社会についての私たちの思考を支配してきた国際法秩序と国際政治秩序の交錯を検討し、現代のグローバル社会にも相通ずる国際社会の「規範」と「動態」を理解したいと思います。とくに、国際社会の思考に影響を与えた「国際政治理論」を取り上げ、国際社会の様態を多面的に考察していきます。理論を学ぶことの意義は、(単にそれぞれの理論が何を主張しているのかを覚えるのではなく、)当該理論が如何なる思考過程を経て、特定の結論に辿り着いているのかを、適切な方法論を用いて検証/又は反証することにあります。本講義では、なるべく多様な理論を取り上げ、(拙速にその良し悪しを判断するのではなく)国際社会についての「問い」の立て方、「答え」の出し方がどのように変わってきたのかを考えていきたいと思います。 |
授業の概要・計画 |
第T部 国際政治学の研究設計(3回) 1.社会科学の成立と国際政治学の来歴 2.定量的研究―相関関係と因果関係 3.定性的研究―言説とコンテクスト
第U部 国際社会の基本構造(3回) 4.国際社会の「国際」化 5.戦争違法化と国際法の革命 6.憲法9条(非戦平和思想)の国際的文脈
第V部 国際法共同体と国家主権(4回) 7.国際法の本質と「正しい戦争」 国際法と国内法 8.国際社会における分権化/集権化 9.主権国家の国際法上の意義 10.国際社会における戦争の変容と殲滅戦争
第W部 国際社会の規範―「法による平和」(3回) 11.国際社会における自然法論と「法の支配」 12.国際法学の成立 13.戦争の法制化
第X部 国際社会の動態―「外交による平和」(4回) 14.旧外交と新外交 15.「危機の二十年」とリアリズムの登場 16.外交の復権 17.「法による平和」の限界
第Y部 国際政治学の形成(5回) 18.ネオリアリズムの成立 19.パラダイム間論争T:ネオリベラリズム、ネオマルクス主義 20.パラダイム間論争U:ネオリアリズム統合、民主的平和論、官僚政治モデル、政治心理学 21.ポスト実証主義の登場と国際社会の再構築 22.9.11以降のリアリズム
第Z部 国際政治と国内政治の連関(5回) 23.グローバル規範の形成とトランスナショナル関係論 24.国際移民移動のダイナミクス 25.日米貿易摩擦と財界人の役割 26.国家理性とヨーロッパの多元秩序 27.規範と現実の多層性
28.予備日
※ 講学上あるいは狭義に国際政治学/国際関係論と呼ばれる分野は主に第W部・X部の内容です。第T部〜V部、およびY部の内容は広義には国際政治学/国際関係論に含まれますが、その前史的位置づけや適用範囲が異なるため、何をどこまで含めるのかという考え方は論者によってかなり幅があります。これはやや単純化して言えば、政治学の延長として国際政治を捉える見方【国際政治学】と国際法学や国際経済学などを含め国際社会についての学際的な研究として国際政治を捉える見方【国際関係論】があり、その観点の違いから生じる多様性ということになります。
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授業の進め方 |
レジュメを配布し、講義形式で進行します。 |
教科書・参考書等 |
教科書は使用しません。レジュメと参考資料は授業時に配布します。また、参考文献等は授業時に配布するかあるいは紹介します。 |
成績評価の方法・基準 |
以下の各項目を総合的に判断して評価します。
@小テスト(10点×3回)Web学習システム(Blackboard)で受験する形式。 A課題レポート(15点×4回) 課題一覧より4題選択。各題3,000字程度。 B講演会レポート(10点) ゲストスピーカーの講演についてのレポート。 ※課題レポートの「問い」に対してどの程度の主張を展開すれば必要十分であるのかを判断することも学修の一環であると考えていることから、この授業ではレポート字数には一切制限がありません。したがって、3,000字程度というのは過去の提出課題から定量的に平均値を示した目安に過ぎません。
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その他(質問・相談方法等) |
※ 質問等は toga【アットマーク】law.kyushu-u.ac.jp までメールでお願いいたします。 ※ 例年他学部ですが大丈夫ですか?という質問をいただきますが、とくに法学部生が有利とか他学部生が不利ということはないと思います。参考までに以下は昨年度の成績分布です(人数)。()内は他学部。
A:32(12) B:20(4) C:14(3) D:8(1) F:23(8)
【科目コード:LAW-LAW3871J】 |
過去の授業評価アンケート |
2014年度前期 |