履修条件 |
(1)法学や政治学を学ぶには、具体的な諸事象と、抽象度の高い規範や理論とを往復する知的「体力」が求められます。 この演習では、抽象度が高く、ややとっつきにくい本を、きちんと読みとおす力をつけようとするものです。 ですから、表面的な「難しさ」に投げ出さず、文章を理解するために読み通す意志と能力が求められます。
(2)私たちは「自由」を尊重する政治体制の下に暮らしています。 また、個人を社会の基礎的な構成単位と考えてもいます。 したがって、「自由」や「個人」(責任の主体)は、当然わかりきったものとされがちですが、果たしてそうでしょうか? 上記のような基本的な前提を理解するために、「私」・「他者」・「責任」・「事実」・「自由」などの概念について考えてみたいという知的好奇心をもっていることを期待します。
(3)ともかく、大学生になったのだから、一般に「難しい」とされる本を読み通してみたいとかんがえる、知的に「背伸び」しようという姿勢も歓迎します。
(4)また、とりあえず法学部に入ったものの、うまく馴染めない方、例えば、入試の際に、文系の他学部と進路を迷った方には、他の法学部の講義とは違う面白みが感じられるかもしれません。 |
授業の目的 |
(1)法学部における法政基礎演習の共通目標は以下のとおりです。 「この授業科目は、少人数のゼミ形式により、 (1)リサーチ・分析能力、 (2)ディスカッション・プレゼンテーション能力、 (3)レポート・論文作成能力、 という、将来どのような進路をとっても必ず要求される能力の伸張を目指す。」
(2)上記を踏まえ、この演習では以下の目標を設定しています。 a.「自由主義」や「方法的個人主義」の前提となる基礎概念について考え、関連する知識を得ることができる。 b.社会科学に関する、やや難解と感じられる書籍を読むことで、専門書を読み解く基礎力を身につける。 c.読んだ本を要約し、それを適切にプレゼンし、論議することで、情報の収集・整理やプレゼン、論議のかかわるコミュニケーションの汎用的な技能の基礎を身につける。 d.少人数の演習の一員として責任を果たし、議論という「公共」の共同作業に参画する基礎的な態度について学ぶ。 e.上記のような目標とあわせて、社会科学について根本的に考えることで、自らの進路選択の「初心」を確認する。 |
授業の概要・計画 |
(1)初回の4月14日には、必ず出席してください。 参加者の自己紹介とオリエンテーションを実施し、この演習の進め方について詳しく説明します。
(2)2回目以降は、三冊のテキストの輪読に入ります。
(3)導入として藤原『自由主義の再検討』を、二回で読みます。
(4)その後、野矢『哲学航海日誌』と、齋藤『自由』を一巡精読します。
(5)さらに上記(4)の二冊については、より早い進度で再読します。 |
授業の進め方 |
(1)全員が、テキストのその日の割り当て部分について、レジュメを準備してきます。 レジュメの作成については、オリエンテーションで指導するとともに、段階的に指導をおこなっていきます。
(2)当日に報告者を決め、前回の報告者が司会をおこないます。 司会は重要な役割で、技能が求められますが、これもゼミと並行して段階的に指導していきます。
(3)報告の後に、全員で討議します。
(4)野矢『哲学航海日誌』と、齋藤『自由』については、再読後にレポートを作成してもらいます。 |
教科書・参考書等 |
藤原保信『自由主義の再検討』岩波新書 野矢茂樹『哲学航海日誌』(1)(2)中公文庫 齋藤純一『自由』岩波書店
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成績評価の方法・基準 |
以下の基準で100点満点で採点します。「相対基準」は採用しません。60点以上に単位を認定します。
(1)報告内容:30% (2)議論での発言回数と内容:25% (3)レポート:45%
※無断欠席と遅刻は減点の対象です。 |
その他(質問・相談方法等) |
(1)Facebookにより、連絡や情報交換をおこないますから、アカウントを準備してください。
(2)質問はゼミのたびに受けつけます。またメールなどで予約をとった上で個別面談にも応じます。詳しくはガイダンスでお知らせします。
(3)私が担当する3・4年生ゼミとの交流も積極的に設けます。進路決定の参考になるはずです。
【科目コード:LAW-LAW1911J】
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過去の授業評価アンケート |
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