政治史演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
政治史演習
標準年次
3・4
講義題目
国家緊急権の歴史
開講学期
通 年
担当教員
熊野 直樹
単位数
4単位
教  室
科目区分
展開科目
履修条件
 国家緊急権の歴史について、一年間議論できるほどの関心と情熱を持っている方。
授業の目的
 本演習の目的は以下の4点です。
1.政治史関係の学術論文の読み方を習得する。
2.政治史を解釈するために必要な用語や概念を十分に理解し、把握する。
3.自分の考えを的確かつ論理的に、さらには説得的に相手に伝えるようになる。
4.ゼミ論文の執筆を通じて、調査能力と論文作成能力を育成・発展させる。
 本演習では、特に4.のゼミ論文の作成に力を入れています。
 以上です。
授業の概要・計画
 3・11以降、自然災害、内乱、戦争を始めとした非常事態を想定した有事体制が着実に整備されています。しかも特定秘密保護法施行、集団的自衛権行使容認の閣議決定によって、益々有事体制の法的整備が進行していくことが予想されます。そのなかで憲法の改正論議も今後より活発化すると思われます。その際、有事体制との関係で国家緊急権導入の是非が争点となることが予想されます。そこで、本演習では、国家緊急権とはそもそも何か、国家緊急権はなぜ日本国憲法では採用されていないのかなどについて、国家緊急権の歴史を通じて考えていきます。
 具体的には、まず現在の改憲論議における国家緊急権の問題を考えていきます。その際に、集団的自衛権行使容認の閣議決定以降の憲法をめぐる議論を踏まえて考察していきます。そのうえで、現代の問題意識から、国家緊急権の歴史を、特にヴァイマル共和国における国家緊急権をめぐる議論を中心に再検討していきます。カール・シュミットの国家緊急権に関する議論やヴァイマル共和国政府によるの国家緊急権行使の実態について取り上げ、考察していきます。
 以上を通じて、国家緊急権について理論的、歴史的に参加者の皆さんと考えていきます。
【授業計画】
1.現代日本の国家緊急権をめぐる議論状況の把握。
2.国家緊急権をめぐる専門的知識の習得と検討。
3.国家緊急権の歴史についての専門的知識の習得と検討。
4.ゼミ論文の構想発表会(後学期に2回開催予定)。
  ゼミ論文合評会を兼ねたゼミ合宿(年度末)。
授業の進め方
 毎回、報告者1名とコメンテーター1名を定めて、資料やテキストに関する報告者のコメントを中心に、参加者全員が議論していきます。
教科書・参考書等
・豊下楢彦・古関彰一『集団的自衛権と安全保障』岩波書店(岩波新書)、2014年。
・橋爪大三郎『国家緊急権』NHK出版、2014年。
・『新独逸国家大系第三巻政治篇3』日本評論社、1939年。
・カール・シュミット(田中浩・原田武雄訳)『合法性と正当性』未来社、1983年。
・古賀敬太・佐野誠編『カール・シュミット時事論文集』風行社、2000年。
・田村栄子・星乃治彦編『ヴァイマル共和国の光芒』昭和堂、2007年。
成績評価の方法・基準
 平素ならびにゼミ論文。
 夏休みに3年生にはE・H・カーの『歴史とは何か』の書評を課します。
その他(質問・相談方法等)
 本演習は、少人数をモットーとしており、定員は原則として一応8名です。後学期は、ゼミ論文の作成に力を入れて取り組むために、ゼミ論文構想発表会を2回開催する予定です。2014年度には、政治史ゼミ論文集第14号を発刊する予定です。
 年度末には、ゼミ旅行を行います。このゼミ旅行では、温泉地(秘湯)でゼミ論文合評会を行います(2013年度は大分県・宝泉温泉)。
過去の授業評価アンケート