憲法演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
憲法演習
標準年次
3・4
講義題目
憲法学の現代的課題
開講学期
通 年
担当教員
井上(武 武史
単位数
4単位
教  室
207
科目区分
展開科目
履修条件
憲法T・Uを履修していることが望ましいですが、それよりも、憲法に興味がある、憲法を真面目に勉強してみたいという意欲ある学生の受講を希望します。
授業の目的
本演習では、憲法の基礎知識の確認と定着を図ることはもちろんのこと、それをもとに実際に起こっている憲法問題の解決を考えることを目的としています。
また、判例や論文の正確な読解方法、レジュメ作成やプレゼンテーションの方法など法学の基本的技能の習得も目指しています。
授業の概要・計画
<前期>
最近の憲法判例の中から重要なものを取り上げて、内容と問題点を検討します。現在のところ、下記の判例を予定していますが(順不同)、これ以外の判例を取り上げることも可能です。
1.ガイダンス
2.思想・良心の自由:「君が代」起立斉唱強制事件(最判平成23年5月30日)
3.信教の自由:剣道実技拒否事件(最判平成8年3月8日)
4.政教分離原則:空知太神社事件差戻上告審(最判平成24年2月16日)
5.表現の自由:立川ビラ事件(最判平成20年4月11日)
6.公務員の政治活動の自由:堀越事件(最判平成24年12月7日)
7.インターネットによる名誉棄損:ラーメン花月事件(最決平成22年3月15日)
8.法の下の平等:非嫡出子相続分差別事件(最大判平成25年9月4日)
9.法の下の平等:衆議院選挙一票の較差訴訟(最大判平成25年11月20日)
10.法の下の平等:国籍法事件(最判平成20年6月4日)
11.職業遂行の自由:医薬品ネット販売規制事件(最判平成25年1月11日)
12.財産権と正当な補償:土地収用法71条の合憲性(最判平成14年6月11日)
13.生存権:老齢加算廃止事件(最判平成24年2月28日)
14.外国人の参政権:東京都管理職試験受験拒否事件(最大判平成17年1月26日)
15.裁判を受ける権利:裁判員制度違憲訴訟(最大判平成23年11月16日)

<後期>
後期は、前期で得た基本的知識を前提として、国内外の憲法・人権問題を考えてみたいと思います。さしあたり、下記の問題を挙げておきますが(順不同)、これ以外のテーマを選ぶこともできます。
1.ヘイト・スピーチ規制と表現の自由:京都朝鮮学校事件
2.ポジティヴ・アクションと法の下の平等:九州大学理学部「女性枠」問題
3.代理母問題:向井亜紀事件
4.クォータ制導入の可否
5.公立学校の中立性と信教の自由:イスラムスカーフ事件(フランス)
6.児童ポルノの規制と表現の自由:改正児童ポルノ禁止法の諸問題
7.生殖補助医療と人間の尊厳:「生まれない権利」の問題
8.憲法9条と集団的自衛権:2014年7月1日閣議決定の問題
9.憲法改正論の現在
10.現代民主主義と住民投票(国民投票):スコットランド住民投票

<その他>
ゼミ論文の作成は義務ではありませんが、推奨します。また、そのための指導も行いますので、希望者は遠慮なく申し出てください。
授業の進め方
授業は、担当者がその回の判例またはテーマについて報告を行い、その後、受講者全員で議論するという方法で行います。
報告は2〜3人で行うことにしますが、1人で報告しても構いません。
議論の質を高めるためにも、受講者全員が文献を読んでくることを前提とします。
教科書・参考書等
前期については、初回のガイダンスで参考文献リストを配布します。
後期については、辻村みよ子『人権をめぐる15講:現代の難問に挑む』(岩波書店、2013年)をテキストとして使用します。
成績評価の方法・基準
授業への出席、報告の内容、授業での発言を総合して評価します。
また、無断欠席は認めませんので、必ず事前に連絡してください。
その他(質問・相談方法等)
担当教員への連絡・質問があるときは、遠慮なくメールで連絡してください(アドレスは、inoue◎law.kyushu-u.ac.jp です。ただし、◎を@に変えてください)。
また、担当教員と直接相談したいことがあるときも、事前にメールで連絡してください(十分な時間を確保できるように予定を調整したうえで、こちらから日時を通知します)。

<説明会のお知らせ>
下記の要領で説明会を行いますので、関心のある方はぜひお越しください(詳細は学部掲示板をご覧ください)。
日時:第1回目 12月11日(木)12:10〜12:30
   第2回目 12月16日(火)12:10〜12:30
場所:106教室



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