国際政治学演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
国際政治学演習
標準年次
3・4
講義題目
グローバル社会の規範と動態−国際機関、企業、市民社会
開講学期
通 年
担当教員
大賀 哲
単位数
4単位
教  室
106
科目区分
展開科目
履修条件
【基本的な考え方】
「講義」というのは知識を「修得(インプット)」する場、「ゼミ」というのは修得した知識を「活用(アウトプット)」する場であると私は考えています。このゼミでは人権、民主化、安全保障、貿易、金融、移民、教育、科学技術、環境などグローバル社会の様々な問題を自分なりの「物差し・尺度」で検証・評価・批判するための思考力を鍛えることを目的としています―単に「知識を得る=お勉強する」というのは手段であって目的ではありません。資料や根拠、客観的な情報を踏まえて、自分なりの判断基準でそれを評価することができるようになることが具体的な目標です(高等教育の目的は「王様は裸だ」と言える人材を育成することにあり、この場合の「王様」とは世間の多くの人々が「正しい」と思っている権威・常識・価値etcです)。

【何を求めているか】
上記を踏まえ、ご自身でどのようなことに関心があり、どのような能力をどの程度伸ばしたいのかという目的意識を明確にされた上で参加されることを希望します。

●志望理由書には@このゼミを志望する理由、Aこのゼミで伸ばしたいと思っている能力、知識等を書いてください。

● 【サブゼミ(選択科目)】としての履修も受け付けています。希望者は上記@Aを教員までメールしてください。教員の連絡先については、下記「その他」欄のメールアドレスを参照してください。サブゼミ希望者は【2月末日】まで受け付けます。

● 参加希望人数が20名を超える場合には「志望理由」をもとに選考を行います。

●このゼミは再来年度(2016年度)は開講されません。新3年生におかれましては、4年次に改めて別のゼミを選ぶ必要がある、という点をご留意ください。
授業の目的
このゼミでは、グローバル社会における国際機関・多国籍企業・市民社会などトランスナショナルな規範と動態を考察します(「規範」とは人権や民主主義、成長や豊さなど国際社会の中で正しいとされている価値の体系、「動態」とはそうした価値体系に基づいて展開されている政策形成、活動や交渉などの政治過程を意味しています)。

 2015年度はCSR(企業の社会的責任)を主たるテーマとして、国連グローバルコンパクト、ISO26000(国際標準化機構『社会的責任に関する手引き』」)、ESD(持続可能な開発のための教育)を国際機関・多国籍企業・市民社会の視座から多角的に分析していきたいと思います。

 国連グローバルコンパクトは人権、労働、環境、腐敗防止を課題とし、ISO26000は組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティ参画及び開発を中核主題としています。両者ともに国際社会の中での企業活動及びビジネスの規範形成を目指しています。またESDは環境学習、エネルギー学習、防災学習、生物多様性、気候変動、国際理解学習、世界遺産や地域の文化財等に関する学習、その他の関連する学習から構成され、企業の中にはCSRの一環としてESDに取り組んでいる事例もあります(たとえばP&Gやキリンビバレッジの環境教育への取り組み事例等)。これらの事例を学びながら国際社会におけるCSRの規範形成とその動態を検討していきます。
授業の概要・計画
このゼミでは、2〜3人を1グループとして、グループ単位でゼミの課題や報告に取り組んでもらいます。

1.  前期は教科書を輪読します。

2.  後期はグループ毎に事例研究を行います。2015年度は企業のCSR報告書やESDの事例を取り上げたいと思います。

3.  課外活動としてワークショップを行っています。2014年度は公開講座として「世界一大きな授業」、「みんなの水講座」、「平和のつたえ方ワークショップ」を、また箱崎小学校(東区)、東箱崎小学校(東区)、簀子小学校(中央区)、吉木小学校(筑紫野市)などでワークショップを行いました。

4.  その他、ゼミ旅行等の学生さん主体の活動もあります。今年は沖縄に行きました!
授業の進め方
授業は報告回、ワークショップ回、ゲスト・スピーカー回に分かれます(2014年度は、報告回が14回、ワークショップ回が9回、ゲスト・スピーカー回が4回でした。)

【報告回】 
報告グループがレジュメとディスカッション・ペーパーを作成し、ゼミ当日に議論します。ゼミでの議論を踏まえて、後日リアクション・ペーパーを作成します。

【ワークショップ回】
テーマ(問い)を設定して、その具体的な解決策をグループごとに議論します。ディスカッションに加えて、数人の学生さんにジャッジ(審査員)をしていただき、どのグループが最も説得的であったのかを判定してもらいます。またこれ以外にビブリオバトル、ディベートなどをします。

【ゲスト・スピーカー回】 
ゲスト・スピーカーの方をお呼びして、比較的実務に近い話を伺う機会を設けています。来年度は企業のCSR担当者や弁護士さん等実務の方をお呼びする予定です。
教科書・参考書等
◆ 梅田徹『企業倫理をどう問うか−グローバル化時代のCSR』(NHKブックス)
◆ 功刀達朗・野村彰男『社会的責任の時代―企業・市民社会・国連のシナジー』(東信堂)
成績評価の方法・基準
報告に際してのレジュメ、ディスカッション・ペーパー、リアクション・ペーパー等を総合的に評価します。
その他(質問・相談方法等)
●その他質問等は、担当教員までメール(アドレスは @law.kyushu-u.ac.jp の前にtogaを付加)でお問い合わせください。
過去の授業評価アンケート