東洋法制史

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
東洋法制史
標準年次
3・4
講義題目
東洋法制史概論
開講学期
後 期
担当教員
西 英昭
単位数
4単位
教  室
302
科目区分
展開科目
履修条件
 特にありません。講義は日本語で行いますので、中国語はできなくても問題ありません。逆に中国語を母語とされる方で参加を希望される場合は、十分な日本語能力を身につけた上でのご参加をお願いします。
 なお、2015年度後期は開講しますが、2016年度後期はお休みさせていただく予定です。履修計画を立てる上で注意してください。
授業の目的
 「伝統中国」という、日本とは決定的に異なる社会のあり方について、主として清朝時期を取り上げながら、その特質について検討を行います。
 またこうした秩序が変動を迎える清朝末期から中華民国時期にかけての近代法史、日本の植民地統治時期の台湾についても概観し、それらを通じて日本人が中国の「法」と「社会」というものについてどのようにかかわってきたのか、という我々の中国認識の前提となる諸問題についても考察します。
 さらには、中国以外の東アジア諸地域へも目を向け、「アジア」について考える際の諸問題についても考察の端緒をつかむことを目指します。
 以上から、我々が日々親しんでいる(西洋近代由来の)法のあり方を相対化し、またこの講義で学ぶ伝統中国の法のあり方をも突き放して認識し、現代社会の分析のための視座を一旦解体して再構築し、新たな視点から説明できるようになることを目指します。
授業の概要・計画
 毎回講義形式により、清朝時期を中心とする中国社会の様相について、史料を可能な限り多く紹介しながら、具体的に検討していきたいと思います。もちろん、清朝だけではなく通史的な紹介も行います。
 近代法史、植民地法制についても概観し、日本人の中国へのかかわり方の諸相を主に「法」に関する領域において考察します。また、「中国」という地域を相対的に捉えるために、その周辺地域へも広く目を向けた紹介を行います。
 概要は基本的に以下の通りですが、最新の内容を追加したり、参加者の希望に応じて特別テーマを扱う回を入れたりして変更する可能性があります。

 はじめに
 中国における法と法典編纂   
   法哲学史 儒家と法家
   法典編纂の歴史 春秋戦国〜清朝    
 「伝統中国」の法と社会
   家族 宗とその効果(同姓不婚/異姓不養/分形同気)
      「家」のあり方(同居共財・家産分割)
   財産 売・典・押・租 活と絶
   科挙/官僚機構論
   裁判 「裁き」の過程/聴訟と断獄/必要的覆審制/律例と成案
 中国近代法史
   近代中国と国際法
   清末・民国期における近代的法典編纂 礼法論争
 植民地と法
   植民地時期台湾の法と社会
   慣習調査の展開
   満州国
 東アジア諸地域と中国
 おわりに
授業の進め方
 レジュメ・参考資料は配布します。通常の講義形式をとります。歴史史料は基本的に日本語に訳して紹介しますので、中国語(漢文・現代文)はできなくても構いません。もしこうした史料に興味があって自分で読んでみたいという方はサポートします。
 また講義の際にアンケートを実施し、皆さんからの質問・意見を出していただき、なるべく双方向的な講義となるようにしたいと思います。特にこの分野の話を詳しく聞きたいという希望のある方は、早めに申し出て頂ければ幸いです。
 簡単な入門書がない分野ですので、しっかり講義を聴いて自分で講義内容を理解できたかどうか復習し、分からない箇所はその都度遠慮なく質問してください。
教科書・参考書等
 教科書は特に指定しませんが、興味のある方は以下の書籍を参考に掲げておきますので、図書館などで適宜参照してください。これ以外の参考文献については授業中に紹介します。
 滋賀秀三『中国家族法の原理』(創文社・1967)
 滋賀秀三『清代中国の法と裁判』(創文社・1984)
 滋賀秀三『中国法制史論集 法典と刑罰』(創文社・2003)
 滋賀秀三『続・清代中国の法と裁判』(創文社・2009)
 滋賀秀三編『中国法制史 基本資料の研究』(東京大学出版会・1993)
 島田正郎『清末における近代的法典の編纂』(創文社・1980)
成績評価の方法・基準
 試験により評価します。
その他(質問・相談方法等)
 質問は歓迎します。講義終了後に受け付けますし、また研究室を訪ねていただいてもかまいません。その際には前もって連絡頂いたほうが確実です。メールアドレスはh-nishiのあとに@law.kyushu-u.ac.jpです。
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