法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
リベラル・デモクラシーの源流を探る
開講学期
前 期
担当教員
木村 俊道(KIMURA T.)
単位数
2単位
教  室
1研
科目区分
入門科目
使用言語
Japanese
科目コード
LAW-LAW1911J
Course Title
Introductory Seminar on Legal and Political Studies
Course Overview
Reading classical texts of legal and political studies
履修条件
◆本を読むことが好きで、法学・政治学の「古典」や「名著」を読破してみたい方。法曹や公務員、ジャーナリストや議員などを志望し、社会人として必要な「市民」としての「教養」や「わざ」を身につけたい方。あるいは、時代に流されず、哲学・歴史・理論の観点から、法や政治に関わる人間の営みを深く理解したい方などを歓迎します。
授業の目的
◆法政基礎演習の共通目標
この授業科目は、少人数のゼミ形式により、
 (1)リサーチ・分析能力、
 (2)ディスカッション・プレゼンテーション能力、
 (3)レポート・論文作成能力、
という、将来どのような進路を選んでも必ず要求される、汎用的な能力を伸ばすことを目指します。

◆本演習の目的
この演習では、上記の共通目標を踏まえて、以下のような能力やスキルを磨くことを目指します。

(1)「古典」classics から学ぶ
・法学・政治学の古典や名著を実際に講読・熟読・輪読することで、先人の優れた考えを真似る(=学ぶ)とともに、テクストの読み方や、他者の声に謙虚に耳を傾けることの大切さを学びます。

(2)学問の「型」form を身につける
・「自由」や「デモクラシー」、「正義」や「公共性」などの概念や歴史に関する基礎的な知識を得ることに加え、法的・政治的な現象を多角的に捉え、批判的に分析するための学問的な思考法や技能を修得します。

(3)市民の「教養」artを育む
・学問的な知識や技能を応用し、論点や課題を見つけ、自分の考えをまとめ、それを他者に伝え、議論するといった、社会に出てからも必要とされる、総合的・実践的な「わざ」を涵養します。


授業の概要・計画
◆この演習では、法学・政治学の古典や名著をじっくりと読み進めていきます。このような通読の作業を通じて、法学・政治学の型を修得し、市民的な教養を涵養するための「稽古」をします。

 ※「稽古」という言葉には、古くから伝えられたものを通じて、物を考えるという意味があります。

◆そのために、今年度は、グローバル化や少子高齢化などが問題となる一方で、選挙権年齢の18歳への引き下げがなされる現代日本において、その理念や可能性が改めて問われている「リベラル・デモクラシー」の原理を根本から考え直し、その源流を探ることを課題として、以下の古典を輪読します。

◆トクヴィル『アメリカのデモクラシー』第1巻(上・下)岩波文庫

◇1835年に出版されたこの作品は、「すべてが新しい社会には新たな政治学が必要である」という時代の診断をもとに、フランスの貴族階級の出身であるトクヴィルが、アメリカ社会の現実とデモクラシーの可能性を鋭く分析した、まさに古典中の古典です。

◇「デモクラシーとは何か」「自由とは何か」、そして「法や政治の可能性は何か」を語る上では欠かせない、法学部生であれば卒業までに読んでおくべき必読書の1つです。トクヴィルの洞察力の深さに、読み進むたびに目から鱗が落ちること請け合いです。

授業の進め方
◇初回はイントロダクションです。その後、テクストを地道に読み進めていきます。

◆毎回のゼミは以下のように進めます。
(1)報告者を2名ずつ指名します。
(2)報告者は、テクストの内容を「レジメ」にまとめ、それを「報告」します。併せて「コメント」も用意します。
(3)それ以外の参加者には毎回、コメント・ペーパーの提出が求められます。
(4)その後、テクストの解釈や論点について、全員で「討論」します。

◆小論文(ゼミ論文)の執筆
・また、テクスト読了後、『アメリカのデモクラシー』に関する小論文(ゼミ論)を作成し、講読の成果を確かなものにします。試験期間を挟んで、夏にリライトの機会を設け、冊子にまとめる予定です。この一連の作業をこなすと、学問的な基礎力がかなり上昇します。
教科書・参考書等
◆テクスト
・トクヴィル『アメリカのデモクラシー』第1巻(上・下)、松本礼二訳、岩波文庫、2005年

◇参考書
・小山勉『トクヴィル』ちくま学芸文庫、2006年
・宇野重規『トクヴィル 平等と不平等の理論家』講談社選書メチエ、2007年
・岡崎晴輝・木村俊道編『はじめて学ぶ政治学−古典・名著への誘い』ミネルヴァ書房、2008年
など
成績評価の方法・基準
◆毎回のゼミへの出席や発言、報告などの平素に加え、毎回のコメント・ペーパーやゼミ論文の内容によって総合的に判断します。前者においては、共通目標の(1)リサーチ・分析能力、(2)ディスカッション・プレゼンテーション能力、後者では(1)リサーチ・分析能力と(3)レポート・論文作成能力が判定されます。
◇無断欠席は認めません。
その他(質問・相談方法等)
◇質問等がある方はメール等で気軽にお尋ねください。研究室も随時訪問可能です。

◇なお、今年度は試験的に、木曜5限の高年次ゼミでもトクヴィルを読む予定です。どんな高度な議論が展開されているのか気になる方は、先輩方の様子をぜひ見学しに来てください。
事前/事後学修