法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
刑事責任の基本問題
開講学期
前 期
担当教員
徳永元  (TOKUNAGA H.)
単位数
2単位
教  室
305
科目区分
入門科目
使用言語
Japanese
科目コード
LAW-LAW1911J
Course Title
Introductory Seminar on Legal and Political Studies
Course Overview
Fundamental Problems on Culpability
履修条件
 特にありませんが、刑法総論を履修済みまたは履修中であることが望ましいです。
授業の目的
【法政基礎演習の共通目的】
 この授業科目では、@リサーチ・分析能力、Aディスカッション・プレゼンテーション能力、Bレポート・論文作成能力の獲得を目標とします。

【本演習の目的】
 本演習では、刑事責任の基礎的な考え方である、責任主義の発想の習得を目標とします。日常の中で、「責任を問う」「責任を負う」といった言葉をよく耳にしますが、刑法においても、刑罰を科す前提として、それを科される人に責任が認められる必要があります。刑法学は、この「責任」がどのようなものであり、いつ、なぜ、何のためにそれが認められるのかについて、長い間議論してきました。しかし、刑法総論の教科書や講義では、このような根本的な問題について、多くの紙面・時間を割くことができません。本演習では、近代刑事法の理念である責任主義の発想を習得し、刑法において「人が責任を問うこと、負うこと」の意味を考えます。
授業の概要・計画
【授業の概要】
 上記の目的のために、@刑法における責任論の基本的な理論構造、A責任に関連する諸制度、B責任論に関連する刑法解釈論の問題と判例の三つを検討します。具体的には、次のような題材を予定しています。
 @刑法における責任論の基本的な理論構造
 ・刑罰の正当化根拠と目的、意思自由と責任、責任と性格の危険性
 ・犯罪論体系における違法性と責任の関係
 A責任に関連する諸制度
 ・死刑の正当化・批判と責任
 ・精神障がいにもとづく不処罰(心神喪失)、刑の減軽(心神耗弱)と心神喪失者等医療観察法
 ・刑事未成年の不処罰と少年法
 ・累犯加重、常習犯規定
 B責任論に関連する刑法解釈論の問題と判例――故意・過失を中心に
 ・故意(未必の故意、事実の錯誤と法律の錯誤、誤想過剰防衛)
 ・過失(管理・監督過失、自動車運転に関係する過失)

【授業の計画】
 刑法総論の講義で責任論に入るのは中盤以降です。これを踏まえて、授業計画は以下のものを予定しています。受講者数および受講者の希望に応じて変更することもあります。
 ・第1回:ガイダンス、自己紹介
 ・第2回:刑事責任論概説(担当教員)
 ・第3回:文献収集と報告準備の基礎知識
 ・第4回・第5回:@報告
 ・第6回〜第9回:A報告
 ・第10回〜第14回:B報告
 ・第15回:まとめ
 ・夏期休業中:報告テーマに関するレポート(3000字程度)の提出
授業の進め方
 第1回は、担当教員および受講者の自己紹介をした上で、報告担当を決めます。受講者全員が、少なくとも2回報告を担当する予定です。
 第2回は、刑罰と責任の問題を中心に、担当教員が講義を行います。第3回は、資料の探し方(図書館の利用方法など)やレジュメの作成について具体的に説明します。
 第4回以降は、受講者に報告をしてもらいます。各回、担当者(グループ)が30〜40分程度の報告をした後、議論を行います。報告担当者以外も、予習をした上で、議論の中で積極的に(各回最低1回は)発言をすることが求められます。
 なお、@報告の前の週の授業後に、(次回)担当者に対して、予定報告の構想を確認します。さらに、A報告前日に、担当教員に報告予定のデータファイルを提出することとします。これ以外にも、報告作成にあたっては、事前の相談を歓迎します。
 第15回は、まとめとして、受講者各自に報告したテーマに関する考えの(不)変化を述べてもらった後で、夏期休業中に提出予定のレポートの構想を簡単に説明していただきます。
教科書・参考書等
 六法は、小型のものでもよいので、必ず持参して下さい。また、遅くともBに入る第10回までに、山口厚・佐伯仁志編『刑法判例百選T総論[第7版]』(有斐閣、2014)を用意してください。
 刑法総論の教科書・参考書については、第1回に紹介します(必携ではありません)。
 報告やレポート作成に関する参考図書として、
 ・いしかわまりこ・藤井康子・村井のり子(指宿信・井田良・山野目章夫監修)『リーガル・リサーチ〔第4版〕』(日本評論社、2012)
 ・澤田昭夫『論文の書き方』(講談社、1977)
 その他、授業の中で随時関連文献を紹介します。
成績評価の方法・基準
 成績評価の基準は、上記法政基礎演習の共通目的に従い、以下のとおりとします。
 @リサーチ・分析・プレゼンテーション能力:報告の準備と内容(40%)
 Aディスカッション能力:報告以外の受講態度・特に議論における発言(40%)
 Bレポート・論文作成能力:レポート(20%)
 なお、事前の連絡なしに演習を欠席した場合、単位認定を行いません。
その他(質問・相談方法等)
 質問等はメールにて随時受け付けます。面談を希望する場合には、事前にご連絡ください。
事前/事後学修