少年法

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
少年法
標準年次
3・4
講義題目
考える少年法
開講学期
後 期
担当教員
武内 謙治 (TAKEUCHI K.)
単位数
4単位
教  室
301
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
LAW-LAW3631J
Course Title
Juvenile Law
Course Overview
This lecture examine the key problems about juvenile delinquency and the juvenile law in Japan. This course focus on criminological theories, historical fact, international standards and the legal system about juvenile delinquency.
履修条件
 特別な履修条件はありません。
 ただ、刑法(総論・各論)、刑事訴訟法、刑事政策といった刑事法科目を履修済であるか、またはその基本的知識をすでにもっておいた方が、これらの各科目の理解を深める意味でも、少年法をよりよく理解する意味でも、よいことはいうまでもありません。その意味で、上記刑事法科目を履修しておくことを強くお薦めします。
授業の目的
 この授業の到達目標は、次の通りです。
(1)少年非行・少年司法制度・少年法にかかわる基本的知識の正確な修得
 (a)少年非行現象およびそれへの(司法的)対応にかかわる、科学的な(エビデンスのある)犯罪学上の知見
 (b)少年司法制度の基本的な仕組み
 (c)少年司法制度をめぐる国際人権法の仕組み
 (d)少年法上の諸制度の歴史
(2)上記の基本的知識を用いて、少年法にかかわる応用的な問題に関して筋道をつけて思考し、説得力のある法的・政策的な問題解決方法を提示できる能力の獲得能力(それを口頭または文章で表現し、他者に伝えることができる能力も含む)

 これらの具体的能力の修得を通して、少年非行非行やそれへの法的・社会的対応に関係する問題をできるだけ多角的にとらえた上で、新しい問題も自分のアタマで考えることができる能力を獲得することが、この授業の窮極的な目的です。
授業の概要・計画
(授業の概要)
 まず、少年司法制度の全体像を確かめます。次いで、少年法の「基礎の基礎」となる事項(少年非行の性質と少年司法を用いた非行対応の効果、法の歴史、国際人権法の基本的な仕組み)について正確な知識を修得してもらいます。その上で、手続の流れに沿って、重要な解釈論上・立法論上の問題を個別的かつ具体的に、検討して行きます。問題の検討にあたっては、上記の「基礎の基礎」とどのように関連しているか、他の問題と体系的にどのようにかかわるかを、明確にして行きます。

(授業計画)
 現時点での計画は次の通りです。

(少年法の基礎の基礎)
第1講 ガイダンス・少年司法制度の概観
第2講 「改正」少年法の概観
第3講 少年司法制度の理念と機能
第4講 国際条約と国連準則
第5講 少年保護のディメンション
第6講 少年非行と少年保護の現況
第7講 少年司法制度における「保護」の基礎

(少年司法制度を用いた少年の保護)
第8講 補導と環境浄化
第9講 少年事件の捜査と調査
第10講 事件の送致
第11講 調査
第12講 観護措置
第13講 試験観察
第14講 処遇の種類とその内容
第15講 処遇の選択
第16講 審判手続
第17講 修正された審判手続
第18講 適正な事実の認定
第19講 一事不再理
第20講 不服の申立て

(刑事司法制度を用いた少年の保護)
第21講 検察官送致と再移送
第22講 少年に対する刑事処分と刑事手続

(少年保護のあらたな課題)
第23講 犯罪報道と少年保護
第24講 犯罪被害者と少年保護
第25講 付添人の役割と機能
授業の進め方
 双方向性をもつ授業にします。具体的事例を出しながら、参加者にはしつこく質問を行い、回答を求めていきます。
 参加者のみなさんは、恥ずかしがらずに、自分の考えを述べてください。どのような回答でも、(強引にでも)わたしが授業につなげていき、議論を発展させます。安心してください!是非、積極的に授業に「参加」してください。
教科書・参考書等
(教科書)
 武内謙治『少年法講義』(日本評論社、2015年)
 4644円(税込み。Kindle版でも可)
 http://www.nippyo.co.jp/book/6694.html

 本書を授業前または後に読んできて頂くことを前提として、授業を行います。事前に(予告の上)課題を出すことがありますので、ご注意下さい。

(参考書)
 守屋克彦=斉藤豊治編『コンメンタール少年法』(現代人文社、2013年)
 7020円(税込み)
 http://218.42.146.84/genjin//search.cgi?mode=detail&bnum=20230
成績評価の方法・基準
A. 成績評価の方法
 試験または/およびレボートによります。
 授業への形式的な出席または欠席そのものを成績評価に反映させることはありません。しかし、実質的な授業への参加については、加点方向で成績評価に反映させることがあります。詳細は、第1回目の授業の際にお伝え致します。

B. 成績評価の基準
 成績評価は、「授業の目的」の欄に記している到達目標を達成できているかを基準として行います。すなわち、(1)基本知識が身に付いているか否か、そして(2)それを用いて説得的な法的・政策的な筋道をつけて思考し、説得力のある問題解決方法を提示できる能力が(どれくらい)修得できているか(それを口頭または文章で表現し、他者に伝えることができる能力も含む)を指標として、成績評価を行います。
 (1)の「基本知識」の内容となるのは、次のものです。
 (a)少年非行現象およびそれへの(司法的)対応にかかわる、科学的な(エビデンスのある)犯罪学上の知見
 (b)少年司法制度の基本的な仕組み
 (c)少年司法制度をめぐる国際人権法の仕組み
 (d)少年法上の諸制度の歴史
その他(質問・相談方法等)
 質問は、授業中も含めて、いつでも受け付けます。
 講義は、毎回、「その日、その場所でしか生まれない」参加者とのやりとりを通して進めていきます。みなさんと一緒に思考し、考えていく講義を目指します。みなさんも、是非積極的に講義に参加して下さい!
事前/事後学修