EU法特殊講義

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
EU法特殊講義
標準年次
3・4
講義題目
EU法
開講学期
前 期
担当教員
伊藤洋一  
単位数
2単位
教  室
 
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Course Overview
履修条件
 国際公法の講義を聴講しておくことが望ましい.
授業の目的
 下記「授業概要・授業計画」を参照.
授業の概要・計画
 東西冷戦の終結とともに,ヨーロッパ連合は,安全保障をも視野にいれた広い権限を持つ地域的国際組織として,今や国際経済のみならず国際政治においても大きな意義を持つ存在となった.
 また,ヨーロッパ統合の進展とともに,ヨーロッパ共同体法の重要性は,近年増加の一途をたどっており,特に,EU法の基礎的知識は,EU加盟国の国内法理解に際しても今や不可欠となっている.ヨーロッパ法が,いかにして国内法においても重要性を獲得するようになってきたかは,国際レベルにおける法の支配の確立事例としても極めて興味深い問題である.
 他方で,EUに対する政治的反発・批判が,近時のユーロ危機,移民問題等を巡り噴出しており,「ブリュッセル」を諸悪の根源とする主張がしばしばなされ,昨年2016年6月23日のイギリス国民投票によるEU脱退(Brexit)可決は世界を驚かし,今年5月のフランス大統領選挙においてもEU政策が重要な争点となった.6月のイギリス総選挙後に始まるBrexit交渉は,ヨーロッパ統合の意義を再確認する場となるであろう.
 近時EUに関する報道は少なくないが,残念ながら,日本のマスコミ関係者でも,現実のEUにおける制度設計,法形成がどのようになされ,またどのように運用されているかにつき,正確な理解を持つ者は多くないのが現状である.
 しかし,グローバル化の進行する現在,EU法は,従来の古典的国際法とどのように異なるのか,加盟国の国内法との間にどのような影響関係があるのか,古典的な主権国家の枠を超える「民主的」な国際組織の設計はどのようなものであるべきかといった問題は,学問的にも重要な理論的意義を持つ.
 本講では,上述のような近時の問題状況をも念頭に置きつつ,現行法たるリスボン条約を中心に講義を行う予定である.EU法の対象分野は,共同体管轄事項が拡張されてきた結果,今や多岐にわたっているが,EU組織法の理解は,個別のEU実体法理解のため不可欠の前提となる.本講では,EU法の総論部分にあたる組織法,具体的には,EUの機構,法源,争訟制度等について順次講じる予定である.
授業の進め方
 講義形式.
教科書・参考書等
 特定の教科書は使用しない(参考書等は開講時に紹介する).しかし、EUの基本条約(英語版)の参照は不可欠であるので,予めEU官報(Official Journal C 202,7.6.2016)
<http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=OJ:C:2016:202:TOC>
からダウンロードし,以下のEU条約/EU運営条約等(いずれもPDF版)を開講時に随時参照できるように準備しておくこと.

(1) Consolidated versions of the Treaty on European
(2) Consolidated versions of the Treaty on the Functioning of the European Union
(3) Protocols
(4) Declarations annexed to the Final Act
成績評価の方法・基準
 筆記試験による.
その他(質問・相談方法等)
 特になし.
事前/事後学修