法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
判例で学ぶ基礎憲法
開講学期
前 期
担当教員
南野 森(MINAMINO S.)
単位数
2単位
教  室
206
科目区分
入門科目
使用言語
Japanese
科目コード
LAW-LAW1911J
Course Title
Introductory Seminar on Legal and Political Studies
Course Overview
This seminar will analyse and discuss various issues of Japanese constitutional law.
履修条件
 熱意と決意のある者であれば、現時点での学力は問わない。ただし、この演習に参加する以上は、最後まで、毎回の予習と毎回の積極的な発言を怠らないこと。
 また、法学部で前期に開講される「憲法T(統治機構論)」を並行して受講すること。
 
授業の目的
●法政基礎演習の共通目標
この授業科目は、少人数のゼミ形式により、
 (1)リサーチ・分析能力、
 (2)ディスカッション・プレゼンテーション能力、
 (3)レポート・論文作成能力、
という、将来どのような進路をとっても必ず要求される能力の伸張を目指す。

●この演習の目標
 この演習は、憲法分野の重要な裁判例をいくつか選び、その判決文、解説論文等を丁寧に読み、考え、全員で議論することで、憲法学の基礎を深く理解することを目標とする。
 法律学の論文や判決文に読み慣れておくことは、これからの法学部での学習に最低限必要であるし、また今後の知的人生にも必ず役立つものである。そのような「読む能力」に加え、この演習では、参加者自身の努力次第で、必要な文献・情報をリサーチ・分析する能力、それを報告・レポートとしてまとめる・書く能力、そしてそれらをふまえて議論する能力も大きく伸びるであろう。
 法律(学)の専門家の書いた文章(論文や判決文など)をじっくり時間をかけて読む(時間的・心理的)余裕は、法学部やロースクールの高年次になればなるほどなくなっていくだろう。この演習の担当教員は、比較的時間のある現時点で、たとえば論点箇条書きスタイルの「わかりやすい」「手っ取り早い」予備校テキストなどではなく、きちんとした、長くて難しい、しかし論理的に書かれた文章を読んでおくことが極めて重要であると考えている。そのような文章をインプットしていない人間は、決して良い文章(したがって良い答案)をアウトプットすることはできない。現段階は、「急がば回れ」が文字通り当てはまる時期である。
 検討の材料は憲法学の論点に限定されてしまうであろうが、判決文や論文の精読を通じて、論理的思考力・批判的考察力といった能力を鍛え、「強い頭」を作ることがこの演習のいちばん大切な狙いである。
 
授業の概要・計画
 初回(4/11)は自己紹介・オリエンテーションにあて、この演習の進め方を詳しく説明する。
 2回目以降のテーマは、参加者との相談をふまえて決めるが、はじめの数回は、つぎのような内容を考えている。
 ○憲法の最高法規性と違憲審査の関係(憲法とは何か)
 ○違憲審査制度(比較憲法的見地から、Marbury v. Madison)
 ○日本の違憲審査制の性格(警察予備隊訴訟判決)
 ○違憲判決の効力(尊属殺重罰規定判決)
 ○統治行為・政治問題の法理(苫米地訴訟・砂川事件)
 ○合憲限定解釈(よど号事件判決)
 これらを扱ったあと、いくつかの有名判決を検討しながら、政教分離、表現の自由、思想・良心の自由、選挙権の平等などの個別論点について学ぶこととしたい。
 
授業の進め方
 毎回、@30分程度の報告を3人程度のグループに担当してもらう(あらかじめ報告者グループは指定)、A報告者以外の参加者は、当該テーマについての予習を踏まえた感想や疑問点をまとめた「コメントメモ」を準備しておく(当日、くじびきで何名かにコメンテーターとしてコメントを求める)、B参加者全員による議論(司会者は当日くじ引きで決める)、を行う。
 参加者が慣れるまでの当初の数回は、担当教員が優しく指導・フォローする予定であるので、あまり心配する必要はない。例年、この演習に参加した学生は、当初は戸惑っていても、後半以降はきちんと報告・議論ができるようになる。
 
教科書・参考書等
 適宜指示する(判決全文とその他関連論文のコピーは毎回配布する予定)。

 憲法T(統治機構論)の講義とは進度や扱うテーマの順番が異なる可能性があるので、憲法学の全体像を掴むために、手元に定評ある憲法学の教科書のうち一冊程度を置いておき、適宜参照するのが良いであろう。以下の3冊を薦める。

○長谷部恭男『憲法〔第6版〕』(新世社、2014年)
○樋口陽一『憲法〔第3版〕』(創文社、2007年)
○高橋和之『立憲主義と日本国憲法〔第3版〕』(有斐閣、2013年)

 また、次のものも(もう一度)通読しておいてほしい。

○南野 森(編)『ブリッジブック法学入門〔第2版〕』(信山社、2013年)はしがき及び第6章。
○南野 森(編)『法学の世界』(日本評論社、2013年)第1章
○内山奈月=南野 森『憲法主義』(PHP研究所、2014年)
 
成績評価の方法・基準
 平常点(報告・発言の内容や積極性を総合的に評価する)。
 無断欠席は認めない(以降の演習への参加を認めず、単位も認定しない)。
 
その他(質問・相談方法等)
 )
  
 この演習に関する質問等は遠慮せずメールにて南野まで寄せること(アドレスは @law.kyushu-u.ac.jp の前に minamino を付加)。直接南野の研究室(3階)に来られても歓迎する。
 担当教員は、この演習を楽でなくとも楽しいものにしたいと思っている。コンパ等も適宜企画する。
 なお、クラス分けの決定終了次第、直ちにこの演習参加者のメーリングリストに登録するため、学生第三係に提出する「受講希望届」には必ず携帯のメールアドレスを記載すること。
 
事前/事後学修