法政基礎演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
国際関係学の基礎を学ぶ
開講学期
前 期
担当教員
李 鍾成  (LEE Jongsung)
単位数
2単位
教  室
307
科目区分
入門科目
使用言語
Japanese
科目コード
LAW-LAW1911J
Course Title
Introductory Seminar on Legal and Political Studies
Course Overview
履修条件
 特別な履修条件等はありませんが、ゼミ形式の授業なので熱意とやる気を持っている方の積極的な参加を希望します。また国際政治と安全保障に興味を持っていて、学部の講義を受ける前に内容の一部を学びたい方の参加を強く希望しています。なお、授業中にいくつかの論点について討論する場合があるので、討論が好きな方を大歓迎します。
授業の目的
【法政基礎演習の共通目標】
 この授業科目は、少人数のゼミ形式により、2年次から本格的に始まるより高度な学習へ向けての橋渡しの教育を行う目的で開講されるものです。具体的には以下の三つを目標としています。
 (1)リサーチ・分析能力、
 (2)ディスカッション・プレゼンテーション能力、
 (3)レポート・論文作成能力、
という、将来どのような進路を選んでも必ず要求される、汎用的な能力を伸ばすことを目指します。


【本演習の到達目標】
 本演習では、上記の共通目標を踏まえて、以下のような内容を習得することを目指します。

1)現代の国際社会の実態を読み解く
 現代の国際社会はグローバル社会と呼ばれており、世界各国の相互依存度が高くなっているように見えます。しかし、国家間には政治外交・経済・安全保障・環境などの問題をめぐって、協力と対立が現れたりしており、それらの問題は私たちの生活に直接・間接的に影響を与えています。本演習では、@国際社会と国家間の関係を理解し、国際関係学の基礎的な考え方を身に着けることを主な目標としています。そのために、国家間の政治・外交の相互作用を分析する国際政治学をメインにして、国際経済・環境・リージョナリズム等の研究分野における諸イシュー、関連アクターを視野に入れて、総合社会科学としての国際関係学を概論レベルで学びます。その際に、具体的な事例を取り上げて、その「背景と歴史」や「現状」を検討するために必要な「理論」について学びます。これを通じて、A現実の国際政治を読み解く能力を養うことも目指しています。

2)知的生産作業のやり方を身に着ける
 大学生として重要なスキルである文献・資料の収集、それらの整理・分析、分析結果を分かりやすく説明するプレゼンテーション能力などを身につけます。とりわけ国際関係学では、各国政府が出す白書や戦略レポート、指導者の発言、首脳会談後の声明、研究者の意見・視角などが重要な資料として使用されますが、それらの資料をどう扱うかを、本演習を通じて学びます。
授業の概要・計画
【授業の概要】
 国際社会は、国内政治とは異なって中央政府が存在せず、一国の生存と繁栄は国際規範、国際法、国力などの様々な変数の相互作用によって決定されます。とりわけ20世紀に起こった2度にわたる世界大戦を経験するなかで、国際社会では戦争と平和、または国家間の協力と対立に関する問題が本格的に研究されはじめ、それらの研究が国際関係学という学問分野として定着するようになります。本演習では、現在の国際社会を理解するために、国際社会における諸問題と諸イシューを歴史的、理論的、実証的なアプローチで学びます。これを通じて学生各自が国際観を持つようにしてもらいたいです。教科書は『国際関係論(第2版)』を輪読し、授業計画に合わせた他の関連資料も輪読します。ただし、本演習は高年次専攻科目のための入門なので、深い議論にまで触れませんが、必要によっては関連分野の資料等を教員が用意して配ります。この演習を通して、国際社会についての知見を深めるだけでなく、参加者の皆さんのプレゼンテーションと討論能力を伸ばしてもらうことを望んでいます。なお、演習の序盤に学生各自に関心のある二国間関係、または国際イシューについて語ってもらい、それをテーマにして期末テストの代わりに5千字程度のレポートを提出してもらいます。

【授業計画】(演習参加者数や参加者の希望により変更する場合もあります。)
 演習の1回目ではとガイダンスとして、演習の概略を説明します。その後、演習担当者と参加者の自己紹介、そして参加者の皆さんの具体的な関心分野を語ってもらいます。また、報告の順番を決めます。
 演習の2回目では演習活動に必要なスキルである「レジュメの作成方法」「資料の調査・分析方法」「プレゼンテーション方法」などについて、例を挙げてレクチャーします。
 第3回目〜第7回目では国際関係学での歴史分析と現状分析について、「現代国際社会の形成と展開」という観点から学びます。また、9回目〜13回目では理論的分析と現代国際関係学の課題について、「現代国際社会の理解と展望」という観点から学びます。
 なお、第8回目ではレポートの書き方をレクチャーし、第14・15回目ではでは学生によるレポートの構想について発表してもらいます。

 ・第1回目: ガイダンスと自己紹介
 ・第2回目: 教員による模擬ゼミとプレゼンテーション方法に関するレクチャー
 ・第3回目〜第7回目:現代国際社会の形成と展開
 ・第8回目:レポートの書き方
 ・第9回目〜第13回目:現代国際社会の理解と展望
 ・第14回目〜第15回目:レポートの仮説と構想に関する発表会

※学生参加者の皆さんには、最低1回は文献報告を担当していただきます。
授業の進め方
 本演習は基本的にゼミ形式でありますが、必要によっては担当教員がレクチャーを行います。本演習の第2回までは、演習担当教員の主導による講義形式で進めます。その後、第3回以降は、基本的に以下のような流れで進めていきます。
 ・初回の授業において各内容に対する司会者、報告担当者、そしてコメンテーターを決めたいと思います。
 ・司会者:発表の司会者として、発表者の発表時間のチェック、議論のまとめなどをしてもらいます。
 ・報告者:担当個所の内容の要約、レジュメの作成、プレゼンテーションを担当します。その際、レジュメの最後にみんなで議論してみたい論点や私見をいくつか提示してください。(20〜30分程度)
 ・コメンテーター:報告者の論点に対して考えや問題点などをコメントしてもらいます。(5分程度)
 ・報告者の発表を受け、最後に担当教員が情報提供や補足を行います。また、参加者全員で議論や質疑応答を行います。
 ・その後、参加者全員は、自由に質疑や議論を行いますが、少なくとも毎回1回以上は発言してもらいます。その際、主題によって、活発な議論のために演習担当教員が討論の論点を提示することがあります。
※活発な議論のために、演習参加者は教科書や取り上げられた文献を事前に読んでおくのが望ましいです。
教科書・参考書等
・教科書
佐渡友哲『国際関係論(第2版)』(弘文堂、2016年)
武田康裕・神谷万丈『安全保障学入門(新訂第4版)』(亜紀書房、2009年)
その他、必要な文献は適宜指定するか教員が用意して配ります。

・参考図書
村田晃嗣・君塚直隆・石川卓・栗栖薫子・秋山信将『国際政治学をつかむ(新版)』(有斐閣、2015年)
浦野起央『地政学と国際戦略―新しい安全保障の枠組みに向けて』(三和書籍、2006年)
竹内俊隆編著『日米同盟論』(ミネルヴァ書房、2011年)
加藤秀治郎・渡邉啓貴『国際政治の基礎知識(増補版)』(芦書房、2002年)
菅 英輝・石田正治編著『21世紀の安全保障と日米安保体制』(ミネルヴァ書房、2005年)
成績評価の方法・基準
 試験は行いませんが、二国間関係、または国際イシューに関する5千字程度のレポートを提出してもらいます。(8月中旬頃)
@出席(30%)
A討論への参加状況(積極性・真摯性)(20%)
B個人プレゼンテーション(報告内容)(30%)
Cレポート(20%)
その他(質問・相談方法等)
 演習に関するご質問、ご相談に関しては、Eメールで随時受け付けます。Eメールアドレスは、jongsung.lee.226[半角アット・マーク]s.kyushu-u.ac.jpです。また、本演習以外に面談や学習上の質問などを希望する方は本メールにお願いします。
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