社会保障法演習

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
社会保障法演習
標準年次
3・4
講義題目
社会保障法の解釈論と政策論
開講学期
通 年
担当教員
丸谷 浩介(MARUTANI K.)
単位数
4単位
教  室
2研
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
LAW-LAW3911J
Course Title
Seminar on social security law.
Course Overview
We discuss about case law and policy about social security law.
履修条件
特にありませんが、社会保障制度に関心があり、憲法・行政法・民法を履修していることが望ましいです。
授業の目的
社会保障法という法分野は、かなり複雑な構造をもっています。それは、社会構造の変容に応じて発展してきた、生成的な性格を持っているからです。特に裁判例は社会保障制度の「歪み」を象徴する出来事であり、これを裁判所がどのように解決してきたかを検討することはとても重要です。さらに、この「歪み」を乗り越えて、望ましい社会保障制度をデザインするためには、法的思考を深めることが不可欠です。
そこで、このゼミでは(1)医療・年金・介護・生活保護・社会福祉(障害者・児童・高齢者)等の各分野における法の生成発展を把握し、(2)その分野における裁判例の分析を行い、(3)現行法の問題点を析出した上で、(4)どのような法政策を講じるべきかを議論します。
学修の観点からは、(1)報告とその準備の作法を習得すること、(2)ディスカッションの方法を習得すること、(3)一つの物事を深く、且つ、多面的に考えることを目的としています。
授業の概要・計画
現代的な課題の中から、受講者の興味関心に沿ったテーマを選び、(1)なぜそのような問題が生じたのか(過去)、(2)その問題の本質は何か(現在)、(3)その問題をどのように解決するべきか、その政策によって生じるメリット・デメリットは何か(未来)を全員で考えます。
前期は所得保障について検討します。具体的には、年金、雇用保険、労働者災害補償保険、社会手当がこれにあたります。
後期は医療・福祉について検討します。医療保険、介護保険、生活保護、障害者福祉、児童福祉がこれにあたります。
これらのすべてを取り扱うのではなく、受講者との相談で取捨選択し、変更されることがあります。たとえば、(1)労働生活と社会保障法、(2)家庭生活と社会保障法、(3)貧困と社会保障法、という場合には、これらの制度を横断して検討することになります。
授業の進め方
一つの分野について4〜5回程度のまとまりで、(1)法制度の紹介とその分野における論文の紹介、(2)裁判例の検討、(3)政策動向に関する議論を行います。
年金を例に取ると、
(1)日本の年金制度の生成と論点(過去)
 ○修正賦課方式が採用されたのはなぜか
 ○積立方式移行論とは何だったのか
 ○既裁定年金・未裁定年金の引き下げ
(2)年金制度のあり方を問う訴訟(現在)
 ○公的年金への加入強制と憲法
 ○無年金障害者と立法裁量
(3)年金政策(未来)
 ○これからの公的年金と私的年金の役割
 ○これからの高齢期の所得保障と高齢者雇用
といったような事を検討します。
また、貧困と社会保障、というテーマを設定した場合には、
(1)最低生活保障の法(過去)
 ○最低賃金法の展開
 ○生活保護法の生成と展開
 ○生活困窮者自立支援法、特定求職者支援法の意義
(2)最低生活保障法をめぐる法的論点(現在)
 ○生活保護基準引き下げ訴訟
 ○いわゆる「水際作戦」と「辞退届」
 ○被保護世帯の高校生アルバイト収入認定
(3)最低生活保障の法政策(未来)
 ○子どもの貧困対策法の改正
 ○生活保護法の改正
 ○最低保障年金
といったようなテーマを設定することができます。
最初の数回は担当教員がゼミの進め方について報告します。その後、分野を決定し、報告担当者を決定します。当初の数回は複数で報告を担当し、その後は内容に応じて一人または複数で担当することになります。
教科書・参考書等
労働調査会『社会保障法令便覧2017(2016)』を持参してください。
ほかに資料が必要な場合には事前に準備しておきます。
成績評価の方法・基準
平常の受講態度、報告内容等を総合的に考慮します。欠席する場合には必ず事前に連絡してください。
その他(質問・相談方法等)
講義の内容やゼミの報告準備などについて質問等がある場合には、個別に連絡してください。連絡方法はゼミ内でお伝えします。
事前/事後学修