外国法律書講読(英語)

最終更新日:2017年8月21日

授業科目名
外国法律書講読(英語)
標準年次
2・3・4
講義題目
文化政策関連英語文献講読
開講学期
後 期
担当教員
小島 立(KOJIMA R.)
単位数
2単位
教  室
204
科目区分
基盤科目
使用言語
JPN & ENG
科目コード
Course Title
English Reading Seminar on Cultural Policy
Course Overview
In this class, we will read English articles on cultural policy.
履修条件
特になし。どの学部に属しているかにかかわらず、「ものづくり」、「まちづくり」、文化芸術、クリエイティブ産業などに関心がある学生諸君の参加を歓迎する。なお、本授業は、大学院法学府修士課程の「国際関係法学外国書講読第二」との共同開講である。
授業の目的
本授業の目的は、受講者と一緒に、文化政策に関連する問題を検討することを通して、現代社会の諸課題について、受講者自らが批判的に考察する力を高めることにある。本授業が目指す具体的な到達目標は、以下のとおりである。

(1)知識・理解
受講者が、英語文献を正確に読む力、および、文化政策に関する諸問題について自ら考えることができる力を養うこと。

(2)専門的技能
受講者が、漁業政策に関する諸問題について、自ら考えることができる力を養うこと。

(3)汎用的技能
受講者の英語運用能力を高めること。また、受講者が、現代社会における諸課題について考えるに当たり、可能な限り正確に社会を観察し、それを踏まえて客観的な分析を行える能力を養うこと。

(4)態度・指向性
受講者が、外国語と日本語の両方についての感度を高められるようにすること。また、受講者が、国内外で生じている様々な現代的課題に接する際の感受性を高められるようにするとともに、社会で生じている問題を「自分のこと」として捉えて考察できる態度を養うこと。
授業の概要・計画
「文化政策」とは、文化や芸術に関する政策のあり方を論じる学問領域である。文化政策には、法学、政治学、経済学、社会学、歴史学、考古学、文化人類学、美学芸術学、農学、建築学、デザインなどの様々な領域が関係しており、学際的かつ複合的な色彩を強く帯びている。

論じられるテーマも多様であり、一例としては、「クリエイティブ産業」、「創造都市」、公立文化施設における指定管理者制度、文化芸術施設や文化芸術関係者への補助金のあり方、アートNPO、企業メセナ、著作権政策などが挙げられる。文化政策は、理論的にはいまだ発展途上の段階にあるといえるものの、逆にその事実は、この領域が理論面と実践面の双方において大変に興味深い「宝の山」であることを示している。

近時、文化政策の領域でも、いわゆる「地方創生」に関係する諸問題の一つとして、農山漁村の活性化について議論される機会が増えている。この問題に文化政策の観点からアプローチするためには、農林水産業に関する諸問題の実態や基本構造について、より深くかつ正確に知ることが不可欠である。

そこで、昨年度の農業政策に関する英語文献講読に引き続き、今年度は、漁業政策に関する英語文献を取り上げる。国際連合食糧農業機関(FAO)が公表した下記のレポートの第1部(pp.1-105)について、以下のスケジュールに従って講読を進める予定である。

The State of World Fisheries and Aquaculture (SOFIA) 2016: Contributing to Food Security and Nutrition for All (2016)

10/11: イントロダクション
10/18: pp.1-9
10/25: pp.10-17
11/1: pp.18-31
11/8: pp.32-37
11/15: pp.38-44
11/22: pp.45-50
11/29: pp.51-62
12/6: pp.62-69
12/13: pp.70-79
12/20: pp.80-92
1/10: pp.92-101
1/17: 予備日

本授業の開始前に、漁業政策に関連する問題について書かれた、より適切と思われる英語文献が見つかった場合には、講読する対象をそちらに差し替えることもありうる。
授業の進め方
授業で講読を行う際には、特に担当者は決めない。また、文章の全訳を求めることはないものの、文章のまとまり(意味の固まり)を自分で把握し、その要約を行なってほしい。上記のスケジュールのとおり、講読文献について、毎回5〜10ページ前後を読み進める予定である。授業には、英和辞書(電子辞書も可)を必ず携帯されたい。

予習を行う際には、何が文章の主題として取り上げられているのか、何と何が対比(比較)して書かれているのか、従前の問題状況はどういった内容で、筆者はそれに対してどのような分析を加え、従来の考え方とどのように違った意見を持っているのか、といった点について、意識的に注意を払っていただきたい。

担当教員のこれまでの教育経験に照らすと、学生諸君は、個々の単語および熟語の意味を辞書で調べることに意を用いすぎ、一定の長さの文章が固まりとして何を言っているのか、ということを把握するのが苦手であるように見受けられる。そのような「木を見て森を見ない」状況に陥らないように気をつけながら、予習を行なってほしい。

また、重要な法的概念や社会科学上の概念について、担当教員が受講者に質問を行なうこともある。法的概念や社会科学上の概念の中には、日本が「近代化」した後に、西洋から「翻訳」の形で取り入れられたものも少なくない。翻訳という営みについて意識的かつ自覚的に考えることは、私たちが外国の社会や文化をいかに把握するのかという試みを行う際の感覚を鋭敏にしてくれるだろうし、私たちに日本社会や日本文化を相対化する契機を与えてくれるだろう。さらには、私たちが外国語を学ぶ際の「心構え」にも大きな示唆を与えてくれるはずである。
教科書・参考書等
本授業で取り上げる文献については、ウェブサイトから検索および出力した上で授業に持参すること。授業には、英和辞書(電子辞書も可)を必ず携帯されたい。

文化政策についての基本的知識を得たい場合には、野田邦弘『文化政策の展開――アーツ・マネジメントと創造都市』(学芸出版社、2014年)、後藤和子編『文化政策学――法・経済・マネジメント』(有斐閣、2001年)、小林真理=片山泰輔監修『アーツ・マネジメント概論〔3訂版〕』(水曜社、2009年)、池上惇=植木浩=福原義春編『文化経済学』(有斐閣、1998年)などを参照されたい。

日本の漁業の現状について知るには、水産庁が毎年5月頃に公表する「水産白書」のほか、濱田武士『魚と日本人――食と職の経済学』(岩波新書、2016年)、片野歩『魚はどこに消えた?――崖っぷち、日本の水産業を救う』(ウェッジ、2013年)、勝川俊雄『漁業という日本の問題』(NTT出版、2012年)、小松正之『海は誰のものか――東日本大震災と水産業の新生プラン』(マガジンランド、2011年)などが参考になる。

担当教員の文化政策についての考え方の一端を示したものとしては、小島立「現代アートと法――知的財産法及び文化政策の観点から」知的財産法政策学研究36号(2011年)1頁がある(この論文については、インターネット上で検索すれば見つけることができる)。

翻訳の意義については、柳父章『翻訳語成立事情』(岩波新書、1982年)、丸山眞男=加藤周一『翻訳と日本の近代』(岩波新書、1998年)などを参照のこと。私たちが外国語を学ぶ際の「心構え」については、斎藤兆史『英語達人列伝――あっぱれ、日本人の英語』(中公新書、2000年)、斎藤兆史『英語達人塾――極めるための独習法指南』(中公新書、2003年)、鳥飼玖美子『本物の英語力』(講談社現代新書、2016年)などを参照されたい。
成績評価の方法・基準
授業への出席(毎回、授業終了後に、出席カードの提出を求める)と平素の態度により評価を行う。受講者から自発的な発言がない場合には、こちらから適宜指名し、発言を求める(その際に、発言者の氏名を尋ねる)。

授業中の発言回数や発言内容などが成績評価に反映されることになるため、授業中に積極的な発言がない受講者には、自ずと低い成績評価しか与えられない。
その他(質問・相談方法等)
質問や相談等がある場合には、担当教員にメールで連絡を取り、面談の日時を予約されたい(担当教員のメールアドレスは、kojima[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp)。授業終了後にも質問や相談等を受け付ける。

本授業について不明な点があれば、担当教員まで尋ねられたい。
事前/事後学修