Course Title |
Seminar on social security law. |
Course Overview |
We discuss about case law and policy about social security law. |
履修条件 |
特にありませんが、社会保障制度に詳しくなくとも関心があり、憲法・行政法・民法を履修していることが望ましいです。 |
授業の目的 |
社会保障法という法分野は、生活に密着している一方で、かなり複雑な構造をもっています。それは、社会構造の変化に応じて発展してきた、生成的な性格を持っているからです。それ故に、現在の社会保障制度がどのような構造であって、なぜそのような構造を持っているのかを知ることは非常に重要です。 また、裁判例は社会保障制度の「歪み」を象徴する出来事であり、これを裁判所がどのように解決してきたかを検討することはとても重要です。さらに、この「歪み」を乗り越えて、望ましい社会保障制度をデザインするためには、法的思考を深めることが不可欠です。 そこで、このゼミでは(1)医療・年金・介護・生活保護・社会福祉(障害者・児童・高齢者)等の各分野における法の生成発展を把握し、(2)その分野における裁判例の分析を行い、(3)現行法の問題点を析出した上で、(4)どのような法政策を講じるべきかを議論します。 学修の観点からは、(1)報告とその準備の作法を習得すること、(2)ディスカッションの方法を習得すること、(3)一つの物事を深く、且つ、多面的に考えることを目的としています。 |
授業の概要・計画 |
社会保障制度に精通している受講生は少ないでしょうから、前期はさしあたって現代の社会保障制度全般について共通理解を得ることを第一の目的にします。それから現行制度がどのような問題点を抱えているのかを検討し、解決策を探ります。 後期は現代的な課題の中から、受講者の興味関心に沿ったテーマを選び、(1)なぜそのような問題が生じたのか(過去)、(2)その問題の本質は何か(現在)、(3)その問題をどのように解決するべきか、その政策によって生じるメリット・デメリットは何か(未来)を全員で考えます。 |
授業の進め方 |
前期は、一つの分野について2〜3回程度のまとまりで、(1)法制度の紹介とその分野における論文の紹介、(2)裁判例の検討、(3)政策動向に関する議論を行います。 年金を例に取ると、 (1)日本の年金制度の生成と論点(過去) ○修正賦課方式が採用されたのはなぜか ○積立方式移行論とは何だったのか ○既裁定年金・未裁定年金の引き下げ (2)年金制度のあり方を問う訴訟(現在) ○公的年金への加入強制と憲法 ○無年金障害者と立法裁量 (3)年金政策(未来) ○これからの公的年金と私的年金の役割 ○これからの高齢期の所得保障と高齢者雇用 といったような事を検討します。 後期は、一つか二つのテーマを選び、深く検討します。たとえば、生活困窮者の自立支援をテーマに設定した場合は次のようになります。 (1)失業保険から雇用保険の立法過程 (2)生活保護法における稼働能力者をめぐる政策・判例の動向 (3)第二のセーフティネットの役割 (4)ワークフェアの法政策(日本と欧米との比較) (5)生活困窮者の支援を担う法主体(NPO・行政担当者等からのヒアリング) (6)生活困窮者の自立支援を構築する |
教科書・参考書等 |
労働調査会『社会保障法令便覧2018(2017)』を持参してください。 他に必要な資料は配付します。 |
成績評価の方法・基準 |
平常の受講態度、報告内容等を総合的に考慮します。欠席する場合には必ず事前に連絡してください。 |
その他(質問・相談方法等) |
講義の内容やゼミの報告準備などについて質問等がある場合には、個別に連絡してください。連絡方法はゼミ内でお伝えします。 |
事前/事後学修 |
|