Course Title |
The Past and the present of eugenics. |
Course Overview |
This course focuses on the past and the present of eugenics which has been discussed lately in Japan. This seminar will compare well-known eugenics policies in Germany, America, French and Japan. Mainly will be discussed Nazi eugenics policies. |
履修条件 |
優生思想の歴史と現在というテーマについて、一年間議論していけるほどの関心と熱意のある方。
|
授業の目的 |
本演習の目的は、以下の4点です。 1.政治史関係の学術論文の読み方を習得する。 2.政治史を解釈する際に必要な用語や概念を十分に理解し把握する。 3.自分の考えを的確にかつ論理的に相手に伝えるようになる。 4.ゼミ論文の執筆を通じて、調査能力と論文作成能力を育成・発展させる。 本演習では、特に4.のゼミ論文の作成に力を入れています。 |
授業の概要・計画 |
2016年7月に神奈川県相模原市の障害者入所施設で障害者殺傷事件が起きました。この事件の基本的性格の一つは「障害者の基本的人権・生存権の否認」にあります。この事件の根底には優生思想があったことが指摘されています。優生思想とは「人間は生まれながらに優劣があり、劣悪な遺伝的素質は排除されるべき」という考えといえます。この優生思想を政策として実行し、強制断種や障害者の殺害、ユダヤ人を始め民族虐殺を行ったのがナチス・ドイツの優生政策です。 一方で、現代社会は、遺伝子を扱う技術を発達させ、「遺伝子医療の時代」が到来したとも言われています。この行き過ぎに対する歯止めとして機能したきたのが、ナチのような「優生思想につながるものは悪だ」という考えでした。そうしたなか相模原で起きた事件は、こうした考えを現場から否定するものでした。この事件が投げかけた問題は深くて重いものがあります。果たして21世紀は、一度は葬りさられた優生学や優生思想を再び復活させることになるのでしょうか。 この問いに答えを見出すためには、過去の事実をよく知る必要があります。そもそも優生思想、優生学とは何だったのか、その歴史的実態や起源はいかなるものだったのか。本演習では、これらの課題を優生思想の過去とその現代的問題に着目して、皆さんと一緒に議論し、考えていきます。
【授業計画】 1.優生思想、優生政策をめぐる現代的問題についての検討。 2.各国の優生思想、優生政策の歴史についての比較検討。 3.ヴァイマル共和国とナチス・ドイツの優生思想と優生政策についての歴史的検討。 4.ゼミ論文の構想発表会(後期に2回開催予定) ゼミ論文合評会を兼ねたゼミ旅行(年度末)
|
授業の進め方 |
毎回、報告者1名とコメンテーター1名を定めて、テキストに関する報告者のコメントを中心に、参加者全員が議論していきます。 |
教科書・参考書等 |
藤井克徳・池上洋通・石川満・井上英夫編『生きたかった』大月書店、2016年。 米本昌平・松原洋子・ぬで島次郎・市野川容孝『優生学と人間社会』講談社、2000年。 シュテファン・キュール、麻生久美訳『ナチ・コネクション』明石書店、1999年。 ヒュー・G・ギャラファー、長瀬修訳『ナチスドイツと障害者「安楽死」計画〈新装版〉』現代書館、2017年。 米本昌平『遺伝管理社会』弘文堂、1989年。 |
成績評価の方法・基準 |
平素並びにゼミ論文。 夏休みには3年生には、E・H・カー『歴史とは何か』の書評を課します。 |
その他(質問・相談方法等) |
本演習は、開講以来、少人数をモットーとしており、定員は最大8名です。後期は、ゼミ論文の作成に力を入れて取り組むために、ゼミ論文構想発表会を2回予定しています。 年度末には、ゼミ旅行を行います。年度末のゼミ旅行では、秘湯でゼミ論文の合評会を行います(2016年度、長崎県:小浜温泉)。 |
事前/事後学修 |
|