中国法

最終更新日:2018年2月22日

授業科目名
中国法
標準年次
3・4
講義題目
現代中国・台湾法概論
開講学期
前 期
担当教員
西 英昭(NISHI H.)
単位数
4単位
教  室
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Chinese law
Course Overview
Basic knowledge of Chinese and Taiwanese law
履修条件
 特にありません。講義は日本語で行いますので、中国語はできなくても問題ありません。逆に中国語を母語とされる方で参加を希望される場合は、十分な日本語能力を身につけた上でご参加ください。
 なお、今年度(2018年度)は開講しますが、来年度(2019年度)についてはお休みさせていただく予定です。各自の履修計画の参考にしてください。
授業の目的
 知識・理解の観点からは、中華人民共和国及び台湾の法制度について、基本的な事項を正確に理解することを第一とします。過去最悪とも言われる昨今の日中関係の下で皆さんが気をつけなければならないことは、中国についてまず「正しく知る」ことです。無知であることが疑心暗鬼を生み、負の言説が増加するという悪循環から距離を取らなければなりません。他方で非常に親日家の多い台湾については良いイメージを持つ方が多いかもしれませんが、経済的にも非常に重要なパートナーである台湾について、その法制度をきちんと紹介したものは実は多くはありません。台湾についてもまた「正しく知る」ことが大変重要なのです。
 専門的技能の観点からは、中国・台湾を扱う上での独特の「お約束」について習熟してもらうことを目指します。というのも、特に社会主義国である中華人民共和国の法は日本法とは全く異なる諸前提の下に展開していますので、日本法を学んだ感覚で「まあ似たようなもんだろう」と無防備に踏み込むと大ケガをするからです。また合わせて関連する法情報について収集・分析する初歩的な能力を身につけることを目指します。
 汎用的技能の観点からは、中国法・台湾法を一つの軸として日本法を振り返り、それらを一度突き放し相対化して捉えることを意識的に行うとともに、他の外国法の学習にも応用可能な方法について、紹介していきたいと思います。
 態度・志向性の面では、とにかく対象を短絡的に捉えず、複雑なものを複雑に、粘り強くしぶとく考えるメンタリティーを身につけることを目指したいと思います。これは全ての学問において基本的な態度と言うことができます。
授業の概要・計画
 中華人民共和国及び台湾の主要な法制度について解説を行います。日本とは社会体制を全く異にする中華人民共和国法については、その前提である社会主義という言葉や、ここ半世紀の中国の歴史が全く身近ではない世代の皆さんにとって、相応の時間をかけて話を聞かなければ全く分からない、というものでもあろうかと思います。他方台湾については日本法とかなり近い法制ではありますが、だからといって安心することはできません。似ている中にある重要な差異について詳しく取り上げたいと思います。
 中国法・台湾法の各論についても、基本的な情報を整理し、特有の理念については詳しく解説したいと思います。対象は様々な法分野に及びます。日本法で対応する法分野の講義をまだ履修していないので基本知識がなくて心配だという方にもわかりやすいように説明をしたいと思います。
 また中国法・台湾法についての初歩的なリサーチ方法についても紹介し、初歩的な調査なら独力でできる程度の水準を身につけてもらいます。中国・台湾法務に興味のある方にはきっと役立つことでしょう。実務についてもその初歩を確認しておきたいと思います。
 講義ではもちろん法律に関する話が中心にはなりますが、合わせてその法の背後にある中国・台湾社会を理解するための「小話」もなるべく多く取扱いたいと思います。
授業の進め方
 レジュメ・参考資料などは配布します。
 通常の講義形式をとります。教科書については以下に示しておきますが、学生の皆さんにとっては、おそらく何の前提知識も無くいきなり読んでも良く分からないところが多いかと思います。可能な限り講義を毎回聞くようにしてください。
 なお講義の中で数回アンケートをとり、質問や希望を受け付けます。特にこの分野の話を重点的に聞きたいという希望のある方はこのアンケートを通じて、または講義の中で申し出ていただければ、可能な限り応じます。なるべく双方向的な授業を行いたいと思いますので、希望はどしどし出してください。
教科書・参考書等
 教科書として、

 高見澤磨・鈴木賢・宇田川幸則『現代中国法入門〔第7版〕』(有斐閣・2016)

 を挙げておきます(購入義務はありませんが、興味のある方には絶好の手引きとなります)。その他参考図書として、

 高見澤磨・鈴木賢『要説 中国法』(東京大学出版会・2017)※ただしこの本は応用編です。基本的な教科書を理解してから読むようにしてください。
 小口彦太・田中信行『現代中国法〔第2版〕』(成文堂・2012)
 射手矢好雄・石本茂彦『中国ビジネス法必携2012』(ジェトロ・2012)

 を挙げておきます。これ以外の文献については講義の中で適宜紹介します。
成績評価の方法・基準
 試験により評価します。その際、中国・台湾法に関する基本的な知識・理解を正しく記述できているか、中国・台湾法を扱う上で特に必要となる専門的な知見を獲得できているか、日本法など他の法制から中国・台湾法を逆に相対化して捉えられているか、短絡的な理解をしていないか、を重点的に評価することとします。
その他(質問・相談方法等)
 言うまでもありませんが、遅刻・早退は他の方の迷惑になりますのでご遠慮ください。
 質問のある方は講義終了後に受け付けます。また研究室を訪ねて下さっても構いませんが、不在の場合もあるので事前に連絡をいただければ幸いです。メールアドレスはh-nishiのあとに@law.kyushu-u.ac.jpです。
事前/事後学修