国際政治学T

最終更新日:2018年3月14日

授業科目名
国際政治学T
標準年次
3・4
講義題目
国際政治学の理論と方法
開講学期
前 期
担当教員
大賀 哲(OGA T.)
単位数
2単位
教  室
102
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
International Politics I
Course Overview
This course introduces students to an overview of the theories and methods of International Politics/ International Relations and incorporates extensive data (quantitative and qualitative). The course provides four basic theories (Realism, Liberalism, Marxism, and Constructivism) and four basic methodologies (bibliographic survey, constructing/ testing models, quantitative and qualitative analysis). Students will come to understand the triangular relation among theory, methods, and data, and they will examine the major theoretical propositions by using specific methodologies for data analysis. The course will introduce concepts like actor, preference, structure, levels of analysis, international system, and international order as a main framework for analyzing International Politics/ International Relations. 
履修条件
履修条件はありません。以下の点を予めご了解ください。

1)オンライン環境で作業や課題をしていただく場合がありますので授業にはPC持参で参加してください。「PC」とはファイルやアプリを自由にダウンロードできる端末という意味です(とくに閲覧・入力に支障がなければスマホ、ipad等でPCの代替とされても構いません)。授業自体はペーパーレスで行いますので、紙媒体の資料は配布しません。

2)本講義は教職課程「教科に関する科目」でもあり、他学部生も多く受講することから、初学者を対象とした講義になります。本講義の履修に先だって関連する政治学系科目を履修している必要はありません(政治学や国際政治学の知識がまったくない状態で履修しても、授業内容をきちんと理解し、課題等相応に取り組めば単位取得できる程度の内容です)。

3)2017年度以前に開講されていた「国際政治学」を単位取得済の学生は本講義を履修できません。

4)なお履修に際してはMoodleへの自己登録をお願いします(コース名は「国際政治学T」です)。

5)この授業は、上記の点をご了解いただく限りにおいて、学府・学部・学科・専攻・課程の別なく履修することができます。また法学部以外の学部・課程(大学院含む)から本講義を受講する場合、事前に履修許可等を教員に求める必要はありません(標準年次以外での履修を希望する場合も同様です)。
授業の目的
この授業の目的は国際政治学の分析の基礎となる理論と方法論を身につけることです。単なる事実の羅列ではなく、研究設計(どのような理論的前提に基づいて問い、仮説を構築し、どのような方法論に基づいてその妥当性を検証するのか)に基づいて事象を分析するプロセスを学びます。

第T部では国際政治学の理論に着眼し国際社会の様態を多面的に考察します。第V部では国際政治学の方法論を取り上げ、理論的な命題や主張の妥当性を検証します。

授業の到達目標は以下の通りです。

【知識・理解】
国際政治(学)の理論・方法論・歴史および個々の事例について、文脈を踏まえた正確な知識や理解を得ること。

【専門的技能】
国際政治学の理論に基づいて研究設計を構築・検証する能力(具体的な国際問題を対象として、国際政治学理論に基づいて問い・仮説を設定し、特定の方法論(量的・質的方法)を用いてその妥当性を検証する能力)を得ること。

【汎用的技能】
研究設計に基づいて実際に分析を行う能力(理論・方法・データの関係性を理解し、理論に基づいて問い・仮説を設定し、特定の方法論を用いてその妥当性を検証する能力)を得ること。

【態度・志向性】
研究設計に基づいて事象の分析を行うという態度(とくに理論・方法・データに基づいて分析を行う態度)を培うこと
授業の概要・計画
第T部 国際政治学の理論
(1)国際政治学の成り立ち
  国際政治学の基本的論点、基礎概念、理論形成、来歴、形成過
  程の概要。
(2)第一論争
  戦間期におけるユートピアニズムとリアリズムの論争。
(3)第二論争
  古典的リアリズムとネオリアリズムの論争。
(4)パラダイム間論争
  リアリズム、リベラリズム、マルクス主義等の論争。
(5)ネオ・ネオ論争
  ネオリアリズムとネオリベラリズムの論争
(6)第三論争
  リアリズムとポスト実証主義およびその関連学派(構成主義、
  ポスト構造主義、フェミニズム、英国学派、コペンハーゲン学
  派など)の論争

第U部 国際政治学の方法
(7)数理分析T 
  ゲーム理論、とくに非協力ゲーム
(8)数理分析U 
  ゲーム理論、とくに協力ゲーム
(9)計量分析T
  クロス集計、相関分析、回帰分析など
(10)計量分析U
  ロジスティック回帰分析、イベントヒストリー分析
(11)計量テキスト分析T
  形態素解析、クラスター分析、共起ネットワーク、対応分析
  、トピック・モデル
(12)計量テキスト分析
  内容分析(手動・自動)、KJ法、グラウンディッド・セオリー
(13)質的研究T
  広義のドキュメント調査と事例研究
(14)質的研究U
  言説分析・会話分析・概念分析
(15)質的研究V
  参与観察・聞き取り調査
授業の進め方
1)レジュメや資料等はオンライン(Moodle)でデータ配布します。

2)授業は最初の1時間で講義を行い、残りの30分で演習を行います。講義はレジュメや資料を用いた教員の説明、演習は毎回課題を出すのでMoodleを通じてその課題への回答を提出するという内容です。
教科書・参考書等
1)教科書はとくに指定しません。参考文献は授業の中で紹介します。

2)自習用の教材としては以下をお薦めします。興味のあるもの1,2冊程度を本講義に先だって目を通しておくか、あるいは本講義と併せて参照されると理解が深まると思います。

◆手軽に読める分量・水準で国際政治学がどのような学問であるのかを俯瞰する入門書としては以下。

@J.メイヨール『世界政治−進歩と限界』(勁草書房)、
A高坂正尭『国際政治−恐怖と希望』(中公新書)
B中西寛『国際政治とは何か』(中公新書)
C中嶋嶺雄『国際関係論−同時代史への羅針盤』(中公新書)

◆所謂国際政治学の教科書で主要理論を概ね網羅しているものとしては以下。

DP・ビオティ=M・カウピ『国際関係論―現実主義・多元主義・グローバリズム』(彩流社)
E大芝亮『国際政治理論―パズル・概念・解釈』(ミネルヴァ書房)
F進藤榮一『現代国際関係学』(有斐閣)

◆リアリズム、リベラリズムなど伝統的な国際政治学の思惟を学ぶ上では以下。

G中西寛・石田淳・田所昌幸『国際政治学』(有斐閣)
Hジョセフ・ナイ『国際紛争−理論と歴史』(有斐閣)

◆国際政治学の専門家が書いたものではないが実務家や隣接分野の研究者からみた国際社会論としては以下(Iは外交実務、Jは国際法学、Kは歴史学からの視座)。

I大江博『外交と国益』(NHKブックス)
J筒井若水『違法の戦争、合法の戦争』(朝日選書)
K山室信一『憲法9条の思想水脈』(朝日選書)
成績評価の方法・基準
以下の各項目を合算して評価します。詳細は初回授業で説明します。

@レポート(40%)
 授業に即してレポート課題を3つ課します(いずれもA4で3枚程度の分量です)。配点はレポートTが20%、U・Vが各10%です。

A演習(30%)
 上述の演習課題の回答についての評価です。評価方法はピアレビュー(学生間の相互評価)です。

B質問(30%)
 Moodle上で授業についての質問を受け付けその内容を評価するものです。
その他(質問・相談方法等)
講義後およびメール(toga@law.kyushu-u.ac.jp)での質問を受けつけます。
事前/事後学修