現代社会におけるクリエイティブ産業の役割

最終更新日:2018年11月14日

授業科目名
現代社会におけるクリエイティブ産業の役割
標準年次
2・3・4
講義題目
現代社会におけるクリエイティブ産業の役割(JASRAC寄附科目)
開講学期
後 期
担当教員
小島 立(KOJIMA R.)
単位数
2単位
教  室
九州大学大橋キャンパス
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
The Role of Creative Industries in Contemporary Society
Course Overview
This class deals with various contemporary issues on Creative Industries.
履修条件
履修条件は特になし。どの学部に属しているかにかかわらず、「ものづくり」、「まちづくり」、「コトづくり」、文化芸術、デザインなどの領域に関心がある学生諸君の参加を歓迎する。なお、本授業は、大学院法学府修士課程における同じ講義題目の科目との共同開講である。

本授業は、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の寄附科目として、九州大学大橋キャンパスにおいて、11月17日(土)、24日(土)、12月8日(土)、15日(土)の4日間に、集中講義の形で開講する。大橋キャンパスの地図は下記URLを参照されたい。
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/32763/2018ohashi.pdf

単位を取得しない形での聴講も可能である(公開講座の形で、一般にも広く開放する)。その場合には、教材準備等のため、下記のURLから事前登録を必ず行うこと。
https://kyushu-law-creative2018.jimdofree.com/
授業の目的
本授業の目的は、現代社会において「クリエイティブ産業」が果たす役割について、受講者が多角的に考察することができる能力を養うことを目指すことにある。本授業が目指す具体的な到達目標は、以下のとおりである。

1. 知識・理解
現代社会における「クリエイティブ産業」の現状、課題、将来像などについて、受講者が自ら考えることができる力を養うこと。

2. 専門的技能
「クリエイティブ産業」に関係する法的な問題について、受講者が論じられる能力を養うこと。

3. 汎用的技能
現代社会における諸課題について考えるに当たり、受講者が可能な限り正確に社会を観察し、それを踏まえて客観的な分析を行える能力を養うこと。

4. 態度・指向性
受講者が、国内外で生じている様々な現代的課題に接する際の感受性を高められるようにするとともに、社会で生じている問題を「自分のこと」として捉えて、考察できる態度を養うこと。
授業の概要・計画
「クリエイティブ産業(Creative Industries)」という言葉は、英国の文化・メディア・スポーツ省(以下、「DCMS」という)が1998年に発表したレポートにおいて初めて用いられたと言われる。そこでは、クリエイティブ産業とは、「個人の創造性、技能、才能に由来し、知的財産の生成や活用を通じて富や雇用を創出する潜在力を持つ産業」を指すとされていた。

この説明からも分かるように、「クリエイティブ産業」は、「ものづくり」、「まちづくり」、「コトづくり」といった現代的事象に深く関係する。さらに、「ソフト化」や「スマート化」が急速に進みつつある現代社会(いわゆる「Society 5.0」)においては、より多くの産業と、その営みに関わるアクターの活動に「クリエイティブ」の要素が関わることは避けられない。

その一方で、多岐に渡る「クリエイティブ産業」について、個々の産業を支援する際に用いるべき政策手段は自ずと異なっており、ある政策制度(例えば、知的財産権制度)に関する問題だけを取り上げて分析するのでは、当該「クリエイティブ産業」に関わるクリエイターやメディアに対する包括的な支援に結びつかない懸念がある。したがって、私たちが望ましいと考える「クリエイティブ産業」に関する文化産業政策を実現するためには、個々の政策手段の機能や特質(言い換えれば、個々の政策手段の「強み」と「弱み」)を理解した上で、それらを適切に組み合わせることが求められる。

その検討作業を行なうためには、「クリエイティブ産業」の現場で起きていることを知ることが必要不可欠である。本授業では、「クリエイティブ産業」に関係する実務の最前線で活躍している方々を招へいしてお話を伺い、それらの方々の活動に、法がいかにして寄り添いつつ、支援することができるのかということについて、受講者全員で考えていきたい。

本授業の内容と登壇者(敬称略)は以下のとおりである。

1. クリエイティブ産業と現代社会(11/17)
場所:九州大学大橋キャンパス5号館525講義室
小島立(九州大学大学院法学研究院准教授)
萩平勉(一般財団法人ファッション産業人材育成機構理事長)
木村誠(はかた伝統工芸館館長)

2. クリエイティブ産業を分析する現代的視座――「社会デザイン」としての文化政策(11/24)【日本文化政策学会第12回年次研究大会と共催】
場所:九州大学大橋キャンパス多次元デザイン実験棟およびデザインコモン
水野祐(弁護士・シティライツ法律事務所)
ほか
※日本文化政策学会第12回年次研究大会のプログラムの詳細については、http://www.jacpr.jp/に掲げられている情報を参照されたい。

3. 「Society 5.0」におけるクリエイティブ産業の役割(1)――「プラットフォーマー」に関する諸課題を中心に(12/8)
場所:九州大学大橋キャンパス5号館525講義室
伊澤一雅(一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)常任理事)
渡部友一郎(弁護士・Airbnbシニアリーガルカウンセル)
田上嘉一(弁護士・弁護士ドットコム株式会社ゼネラル・マネージャー)

4. 「Society 5.0」におけるクリエイティブ産業の役割(2)――「ものづくり」「まちづくり」に関する諸課題を中心に(12/15)
場所:九州大学大橋キャンパス5号館525講義室
田中浩也(慶應義塾大学環境情報学部教授・ファブラボジャパン発起人)
園原吉光(株式会社安川電機技術部技術企画部長)
江村克己(NEC取締役執行役員常務兼CTO(チーフテクノロジーオフィサー))
授業の進め方
本授業では、「クリエイティブ産業」に関連する諸問題について、原則として毎回3名の登壇者が、多面的な観点から講演を行なう(11月24日(土)は、日本文化政策学会の年次研究大会との共催であるため、進め方が異なる)。1コマ90分の授業時間のうち、講演に約60分、質疑応答に約30分の時間を充てることを考えている。

90分×3コマの講演の後に、授業担当者(小島)が、法的な観点を踏まえながら、その日の「まとめ」を行なうとともに、登壇者および出席者を交えて質疑応答を行う。この「まとめ」のセッションに、45分程度の時間を取る予定である。
教科書・参考書等
特になし。「クリエイティブ産業」について概観する場合には、国連貿易開発会議(UNCTAD) (明石芳彦=中本悟=小長谷一之=久末弥生 (訳))『クリエイティブ経済』(ナカニシヤ出版、2014年)、リチャード・フロリダ(井口典夫(訳))『新クリエイティブ資本論――才能が経済と都市の主役となる』(ダイヤモンド社、2014年)、などを参照されたい。

本授業の内容は、「ものづくり」、「まちづくり」、「コトづくり」、文化芸術、デザインなどの諸問題に深く関わっている。これらの分野に幅広く関心を持ち、関係する文献を読むことに加えて、それらの活動がなされている現場に実際に足を運んで実態を観察したり、それらの活動の従事者から話を聞いたりすること(いわゆる「巡検」や「フィールドワーク」)をお勧めする。
成績評価の方法・基準
成績評価は、授業への出席と、授業終了後に提出していただくレポートによって行う。

1. 授業への出席
毎回、授業終了後に、出席カードの提出を求める。出席カードの記載内容も成績評価の際に考慮する。

2. 11月24日(土)の出席について
11月24日(土)は、日本文化政策学会の年次研究大会と共催のため、10:30-17:45に研究大会、18:00-20:00に懇親会(要事前申込)、20:00-21:30に屋台大学を開催する。本授業の履修者は、10:30-17:45のセッションには必ず出席すること。当日は出席確認を行うことが難しいため、この日の内容についての学びや感想等を記したミニレポート(A4で1枚)を、12月8日(土)の授業において提出すること。このミニレポートの提出をもって、11月24日(土)の授業への出席とみなす。

3. 授業終了後のレポートの提出
本授業が全て終了した後にレポート(A4で5枚〜10枚)を提出していただく。レポートの提出期限は、2019年1月21日(月)の午後5時とする(提出場所は、伊都キャンパスイーストゾーンの教務第二係)。

4. レポート執筆の要領について
本授業の内容、本授業に関係する書籍や論文の知識などをまとめるだけではなく、「クリエイティブ産業」の実態について、受講者自らが「体を使って」調査(いわゆる「フィールドワーク」)を行い、その調査から得られた内容を盛り込んでいるレポートに高い評価を与える。

レポート執筆の要領については、授業の中で説明するが、日本文化政策学会の下記ウェブサイトに掲げられている「投稿論文の書き方」を必ず参照すること。
http://www.jacpr.jp/?p=846
その他(質問・相談方法等)
本授業は、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の寄附科目として、2018年11月17日(土)、24日(土)、12月8日(土)、15日(土)の10:30-17:30(12:00-13:00は昼休み)に、九州大学大橋キャンパスにおいて、集中講義の形式で開講する(11月24日(土)については、日本文化政策学会の年次研究大会との共催のため、進め方が異なる。当日は、10:30-17:45に研究大会、18:00-20:00に懇親会(要事前申込)、20:00-21:30に屋台大学を開催する。本授業の履修者は、10:30-17:45のセッションには必ず出席すること)。

本授業で単位取得を目指さないものの、聴講したいという場合には、教材準備等のため、下記のURLから事前登録を必ず行うこと。
https://kyushu-law-creative2018.jimdofree.com/

質問や相談等がある場合には、小島(メールアドレスは、kojima[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp)にメールで連絡を取り、面談の日時を予約されたい。
事前/事後学修