憲法演習

最終更新日:2017年11月26日

授業科目名
憲法演習
標準年次
3・4
講義題目
憲法学の現代的課題
開講学期
通 年
担当教員
井上(武 史)(INOUE T.)
単位数
4単位
教  室
E103
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Seminar on Constitutional Law
Course Overview
This seminar will analyse and discuss various issues of Japanese constitutional law.
履修条件
履修条件は、とくにありません。憲法に興味がある、憲法をより深く勉強したい、あるいは憲法問題について議論したいという学生の応募を期待しています。
また、条件というわけではありませんが、授業だけに限らず、ゼミ活動全般に積極的に参加してもらえればありがたいです。
授業の目的
本演習は、憲法判例や憲法論文の読解を通じて、憲法に関する基本的な知識を修得し、憲法的な思考や見方を訓練するとともに、発表・報告の際のレジュメの作成、プレゼンテーションの仕方、ディスカッションの作法など法学の基本的技能の獲得も目的としています。
授業の概要・計画
<前期>
◆前期は、憲法T・Uの授業で学修した憲法基本判例を取り上げて、最高裁の判例法理の分析やその射程の考察を行います。
◆担当教員があらかじめ判例をリストアップして、その中から希望するものを選んでもらいます。リスト以外でも取り上げたい判例があれば、それについて報告していただいても構いません。
(2018年度前期は、文系合同図書室が利用できないため、文献入手が容易でないことを考慮しています。)

<後期>
◆後期は<家族と憲法>をテーマに、様々な問題や論点を検討します。国際的にみて、日本は<家族関係><刑事手続><労働関係>の分野での人権保障が不十分で、国際機関からもたびたび是正勧告を受けています。本演習ではこのうち、<家族関係>の問題を取り上げて、憲法の観点から分析・検討を行います。
◆とくに、子ども、女性、LGBTの問題に焦点をあてて、関連する法制度や判例、場合によっては外国の制度についての検討を行います。上記の諸問題は本来、民法の家族法で学修するものですが、それらを憲法の視点から検討することを通じて、憲法とともに家族法の理解も深まることを目指しています。
◆また、夫婦や親子などの家族に関する法制度は、従来憲法からの分析・検討が少ない分野であり、法制度や判例を憲法の観点から見ることで、新たな論点や問題の抽出・発見を目指します。
◆家族に関する問題は、皆さんが将来直面するかもしれない身近な問題です。また、近年では科学技術の進歩や国民意識の変化などによって、従来の考え方や価値観に基づいた法制度の合理性に揺らぎが見られるところであり、いまの段階で勉強し議論をするには格好のテーマだと思います。
◆取り上げる問題として考えられるのは、以下の通りです(あくまで例示です)。もちろん、これ以外の問題を取り上げてもらっても構いません。
 夫婦同姓制度
 女性の再婚禁止期間
 DV防止法の意義と課題
 同性カップルの法的地位(同性婚、里親の可否など)
 性同一性障害特例法における性別変更要件
 嫡出子と非嫡出子の区別(民法、国籍法、戸籍法)
 生殖補助医療と親子関係(代理母、AIDなど)
 子どもの自己決定権
 子どもの出自を知る権利
 母からの嫡出否認の訴え
 子どもの連れ去り・子の奪い合い紛争(人身保護法、ハーグ条約)
 単独親権制の問題(離婚後の親子関係、非嫡出子)
 面会交流権の制限と親・子どもの権利
 障害をもって生まれない権利
授業の進め方
◆担当者がテーマについて報告を行った後、参加者全員でディスカッションを行います。前期は2〜3人でのグループ報告を、後期は個人報告を予定しています。
◆前期は、報告前週に担当教員と報告担当者で打ち合わせを実施し、レジュメの作成やプレゼンテーションの仕方の指導を行います。その際、卒業後の進路の指導・相談もあわせて行っています。
◆学生の希望に応じて、合同ゼミ、ゼミ旅行、研修旅行(関係機関の見学や調査)などの企画も考えています(2016年度、2017年度には東京研修旅行を行い、また、2017年度には西南学院大学および佐賀大学と合同ゼミを行いました)。
教科書・参考書等
具体的な文献はゼミにおいて指示しますが、さしあたり、下記の文献にて、取り上げる判例やテーマを見つけていただければと思います。
1)野坂泰司『憲法基本判例を読み直す』(有斐閣、2011年)
2)谷口洋幸ほか編『セクシュアリティと法』(法律文化社、2017年)
3)道垣内弘人・松原正明編『家事法の理論・実務・判例1』(勁草書房、2017年)
4)大村敦志『新基本民法7家族編:女性と子どもの法』(有斐閣、2014年)
5)辻村みよ子『人権をめぐる十五講:現代の難問に挑む』(岩波書店、2013年)
成績評価の方法・基準
◆授業への出席、報告の内容、ディスカッションでの発言を総合して評価します。
◆無断欠席は一切認めませんので、必ず事前に連絡してください。
その他(質問・相談方法等)
◆担当教員への連絡・質問があるときは、遠慮なくメールで連絡してください(アドレスは、inoue◎law.kyushu-u.ac.jp です。ただし、◎を@に変えてください)。
◆また、担当教員と直接相談したいことがあるときも、事前にメールで連絡してください(十分な時間を確保できるように予定を調整したうえで、こちらから日時を通知します)。
事前/事後学修