刑事訴訟法演習

最終更新日:2017年12月1日

授業科目名
刑事訴訟法演習
標準年次
3・4
講義題目
刑事訴訟法の現代的課題
開講学期
通 年
担当教員
豊崎 七絵(TOYOSAKI N.)
単位数
4単位
教  室
D109
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Seminar in Criminal Procedure
Course Overview
This seminar will discuss and examine various issues in Japanese criminal procedure.
履修条件
 刑事訴訟法についての予備知識は問いません。
 ゼミは学生が主体となって創り上げるものなので、毎回の出席はもちろん、ゼミ仲間との議論やゼミ運営に主体的・積極的に参加することが履修条件です。

※勉強したことがないのに「訴訟法は難しそう」と思う人もいるようですが、それは予断偏見です。
 裁判官、検察官、被疑者・被告人、弁護人、捜査機関といった、さまざまな人・機関の具体的な動きによって展開してゆく「生きている刑事訴訟法」は、大変興味深い学問対象です。
 また、刑事訴訟法は刑法や刑事政策・少年法の隣接科目(刑事法)というだけではありません。
 刑事手続きのあり方は憲法31条以下に規定されている点で、刑事訴訟法と憲法とは切っても切れないつながりがあります。時の刑事判例・刑事立法が意味するものを探っていけば、現代日本の社会・統治のあり様を考えずにはいられません。
 また証拠評価の場面では、鑑定などを通して、医学・工学などの応用化学や心理学とも関連するのであり、実際「法と心理学会」という学際的な学会もあります。
 九大法学部生には、表面的な印象論ではなく、刑事訴訟法を取り巻く広い世界を知ってもらいたいと思います。
 
※このゼミには、毎年、多様な人が参加しています。法科大学院進学者(その後、裁判官、検察官、弁護士になった人もいます。2017年は3名の卒業生が司法試験に合格しました)もいますが、公務員や民間企業、大学院(研究者志望)に進む人もいます。政治学系のゼミとかけもちしている人もいます。21世紀プログラム生、転学部生、留学生もいます。多様な人の参加を得て、ゼミでの議論も多角的になり、深まります。

※サブゼミ生、オブザーバーも歓迎です。ただし(サブゼミ生はもちろん)オブザーバーもゼミ生と同様の活動をしてもらいます。
授業の目的
 解釈論上の基本的問題を学習しながら、実際の刑事事件にも触れることによって「生きている刑事訴訟法」をつかむ。また、現代の刑事手続が直面している立法ラッシュが何を意味するか、理解を深める。
授業の概要・計画
【前期】
 刑事訴訟法の重要な判例を取り上げて、議論する。この作業を通して、自分の頭で考える力、人と議論する力を身に付けながら、刑事訴訟法の基本・応用を学ぶ。以下の判例は現時点での候補であり、変更する可能性もある。

 @強制処分と任意処分の限界(最三小決昭和51・3・16刑集30巻2号187頁)
 AGPS捜査(最大判平成29・3・15裁判所Web)
 B接見交通(最大判平成11・3・24民集53巻3号514頁)
 C秘密交通権(福岡高判平成23・7・1判時2127号9頁)
 D公訴権の濫用(最一小決昭和55・12・17刑集34巻7号672頁)
 E訴因の特定・明示(最一小決平成26・3・17刑集68巻3号368頁)
 F情況証拠による事実認定(最三小判平成22・4・27刑集64巻3号233頁)
 G取調べ手続の違法と自白(東京高判平成14・9・4判時1808号144頁)
 H犯行状況等の再現結果を記録した実況見分調書(最二小決平成17・9・27刑集59巻7号753頁)
 I違法収集証拠排除法則(最二小判平成15・2・14刑集57巻2号121頁)
 J量刑判断の方法(最一小判平成26・7・24刑集68巻6号925頁)
 K袴田事件再審開始決定(静岡地決平成26・3・27判時2235号113頁)

【後期】
 2016年刑事訴訟法改正の内容と運用について検討する予定であるが、参加者と教員とで協議の上、内容を決定する。

※刑事訴訟法講義の講師をゲストに招き、特別ゼミを行うことがある。
※前期・後期を通して、学生の希望により、施設見学、他大学との合同ゼミ、ゼミ合宿等を行うことがある。
※夏休みに論文を執筆し、後期にブラッシュアップし、ゼミ論文集に掲載する。
 
授業の進め方
 検討対象となったテーマについてのグループ報告ないし個人報告を踏まえた、ゼミ参加者全員による議論。
 報告者は事前にレジュメを用意すること。報告者以外の者もレジュメを参考にして、疑問点や自分の意見を整理して議論にのぞむこと。
教科書・参考書等
 教科書等については第一回目の講義で指示する。検討対象となったテーマに関連する参考文献については適宜紹介する。
成績評価の方法・基準
 平常点(出席状況、報告内容、議論への参加態度等)とゼミ論との総合評価とする。
 無断欠席・正当な理由のない欠席は一切認めない(無断遅刻・正当な理由のない遅刻ももちろん同様)。
その他(質問・相談方法等)
 質問等については、豊崎にメールで連絡して下さい(アドレスは @law.kyushu-u.ac.jp の前に nanae を付加)。
事前/事後学修