民事訴訟法実務特殊講義T

最終更新日:2019年3月19日

授業科目名
民事訴訟法実務特殊講義T
標準年次
3・4
講義題目
民事訴訟法実務
開講学期
前 期
担当教員
春田久美子  (HARUTA K.)
単位数
2単位
教  室
D108
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Special Lecture on Civil Procedure Law in Practice T
Course Overview
Special Lecture on Civil Procedure Law in Practice T
履修条件
2年生でも可(大学院生もOK!)。この講義は、双方向型・参加型ですので積極的に参加していただける方を歓迎します。民事訴訟法を履修していることは要件ではありませんが、民法の基本的な履修(履修中を含む)をしていることが望ましいです。
授業の目的
A.専門知識・理解の観点から
  弁護士の立場から、民事訴訟が始まる場面から終わる場面までを俯瞰し、民事裁判を起こす・起こされるというのはどういうことなのか、実務の現状と課題について具体的ケースに基づいてダイナミックに理解できることを目指します。
B.専門的技能の観点から
  民事訴訟で実際に用いる書式や証拠のホンモノ、判決書を含む実務で用いられている実際の書類などを素材・教材に、教科書では学べない専門的技能を分かりやすく自然に体得できることを目指します。民事訴訟法をとりまく関連法令(保全や執行など)の領域についても併せて学びます。
C.汎用的技能の観点から
  “言い分”を具体的に自らの頭で考え、発表してもらうこと、また、他方当事者やジャッジする立場の裁判所の三面構造を意識した思考方法を学ぶこと、さらには法的三段論法に基づいた思考方法を学ぶことは、他教科にも必要なリーガルマインドの基礎を自然と身につけることが出来ます。
D.態度・志向性の観点から
  自ら考える、正解にとらわれずに意見を発表してみる、立場の違う者の意見にも耳を傾け、客観的かつ多角的に物事をとらえられる力(チカラ)を養うことにつながります。
 
授業の概要・計画
 できる限りタイムリーで具体的なケース(裁判になった事件)を素材に、その裁判の背景を考え、関連する法令・判例にも触れながら、「これって、具体的にどういう意味だろう?」「あなたなら、どう考える?」などと講師が問い掛け、受講生と対話しながら授業を進めます。このプロセスを繰り返すうちに、自然と自分自身の言葉でかみくだいて説明できるところまでの実力が身に着きます。
〈民事訴訟法〉という手続法ならではの考え方や特徴を学び、かつ、実体法との違いも意識しながら、教科書だけでは学べない“民事裁判の実態”を把握できます。
 講義のうち一コマは、福岡市中央区六本松にある福岡地方・高等裁判所に赴き、民事ないし刑事事件の裁判傍聴(裁判ウォッチング)も行います(事件の解説付き。また、適宜、司法修習生や裁判所職員などとの質疑応答の機会も設けます。)
また、人数的に可能であれば一コマは模擬裁判も行います。
 
1 “民事裁判”ってどういうもの?〜のぞいてみよう、民事裁判の世界〜
2 “判決書”で掴んでみよう!民事裁判の全体像〜ある実際のケースを素材に〜
3 “訴状”を見て考えよう!〜事件が〈裁判〉になるとき…〜
4 いよいよ今日は第1回口頭弁論期日!〜訴状と答弁書のサンプルを見ながら考えよう〜
5 “証明する”ということ〜証拠について(概観)〜
6 事実認定の実際Part1〜証拠の実際(当事者の立場から)〜
7 事実認定の実際Part2〜証明する、ということの意味(裁判所の事実認定のプロセスとは)〜
8 書証から、ある事実を認定していくプロセス〜書証について〜
9 民事裁判における幾つかのルール・約束事〜適用になる場面を意識して考えよう!〜
10 判決の効力について〜既判力の具体的作用の場面を中心に〜
11 民事保全・民事執行、和解について〜民事訴訟以外の紛争解決手続き〜
12 総仕上げ!みんなでやってみよう模擬裁判〜あなたの結論は?理由は?〜
13 裁判ウォッチング

授業の進め方
授業形態:演習と講義のMIX型
 毎回、講師が用意するレジメとワークシートを用いながら、個別あるいはグループ活動でワークシートの課題を解き、かつ、発表してもらいます(アクティブ・ラーニング)。教員は、それらの発表内容を踏まえて、用意した資料に基づき解説を加えていきます。
(以下、具体的な進め方‐原則的なスタイル)

1 冒頭 学生自身による法律クイズの出題及び解説
2 本日の講義の目標を提示(レジメと資料は教員が準備)
3 ワークシート(教員が準備)等の課題を解く(個別・班別)→発表
4 教員による解説(実務家としての視点から)

実際に用いるワークシートは、なるべく学生の皆さんにとって身近で、かつ、興味の持てそうなリアルなケースを用います。教科書には書かれていない実務家ならではの体験談もお伝えします。
 ほぼ毎回の授業で全員に発言していただきますし、グループごとのワークショップもたくさん取り入れ、“議論”をしながら考えを深めていくアクティブ・ラーニング形式で進めていきます。徹底的に自分の頭で考えてもらう!を信条としています。
教科書・参考書等
 特に指定はしませんが、概説的なものでも構わないので、最低一冊は〈民事訴訟法〉の教科書を用意して下さい。また、授業の際は、ポケット六法の類は持参されるようにお願いします。原則として、授業中は調べ物をするためのスマートフォンなどの使用は控えていただいています。正解を調べることが目標ではないからです。
成績評価の方法・基準
◆試験は行いません。また、前期と後期は、ほぼ同じ内容を行いますので前期か後期のいずれか一つを選んで受講して下さい。
◆毎回、出席カードに、当日の感想等を書いて提出してもらいます。
◆上記出席カードの提出状況や、講義中の参加態度、日頃の発言状況などから、「知識や理解」が増したか、「自ら考えようとしているか」「自らの言葉で発表しようと努めているか」「積極的に課題に取り組もうとしたか」などを総合的に勘案して評価をします(平素の授業に臨む態度等を評価の中心とします)。
その他(質問・相談方法等)
講師は、弁護士14年目ですが、元裁判官として10年の経験があります。Judgeをしていた立場からのお話しも適宜交えてお伝えします。たくさんの学生諸君と授業にて出会えることを楽しみにしています!
事前/事後学修