少年法

最終更新日:2019年3月8日

授業科目名
少年法
標準年次
3・4
講義題目
少年法の最前線
開講学期
前 期
担当教員
武内 謙治(TAKEUCHI K.)
単位数
2単位
教  室
E109
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Juvenile Law
Course Overview
This lecture examine the key problems about juvenile delinquency and the juvenile law in Japan. This course focus on criminological theories, historical fact, international standards and the legal system about juvenile delinquency.
履修条件
 特別な履修条件はありません。
 必須というわけではありませんが、刑法(総論・各論)、刑事訴訟法、刑事政策といった刑事法科目に関する基本的知識または関心があるに越したことはありません。これらの科目に関する(超)基本的な知識や思考方法は、少年法を講じるにあたり必要となる範囲で、この授業でも説明を行います。

*注意*
 少年法(および刑事政策)は、隔年開講科目です。2020年度に少年法は開講されません。
授業の目的
 この授業の到達目標は、次の通りです。

(1)少年非行・少年司法制度・少年法にかかわる下記の基本的知識の修得
 (a)少年非行現象およびそれへの(司法的)対応にかかわる、科学的な(エビデンスのある)犯罪学上の知見
 (b)少年司法制度の基本的な仕組み
 (c)少年司法制度をめぐる国際人権法の仕組み
 (d)少年法上の諸制度の歴史

(2)基本的知識を用いて、少年法にかかわる応用的な問題に関して筋道をつけて思考し、説得力のある法的・政策的な問題解決方法を提示できる能力の獲得(それを口頭または文章で表現し、他者に伝えることができる能力も含む)
授業の概要・計画
(授業の概要)
 まず、刑事司法制度と対比する形で少年司法制度の全体像を確かめます。次いで、少年法の「基礎の基礎」となる事項(少年非行の性質と少年司法を用いた非行対応の効果、法の歴史、国際人権法の基本的な仕組み)について基本知識を修得してもらいます。その上で、手続の流れに沿って、重要な解釈論上・立法論上の問題を個別的かつ具体的に、検討して行きます。問題の検討にあたっては、上記の「基礎の基礎」とどのように関連しているか、他の問題と体系的にどのようにかかわるかを、明確にして行きます。

(授業計画)
 現時点での計画は次の通りです。

[少年法の基礎の基礎]
第01講 ガイダンス・少年司法制度の概観
第02講 「改正」少年法の概観
第03講 少年司法制度の理念と機能
第04講 国際条約と国連準則
第05講 少年保護のディメンション
第06講 少年非行と少年保護の現況
第07講 少年司法制度における「保護」の基礎

[少年司法制度を用いた少年の保護]
第08講 補導と環境浄化
第09講 少年事件の捜査と調査
第10講 事件の送致
第11講 調査
第12講 観護措置
第13講 試験観察
第14講 処遇の種類とその内容
第15講 処遇の選択
第16講 審判手続
第17講 修正された審判手続
第18講 適正な事実の認定
第19講 一事不再理
第20講 不服の申立て

[刑事司法制度を用いた少年の保護]
第21講 検察官送致と再移送
第22講 少年に対する刑事処分と刑事手続

[少年保護のあらたな課題]
第23講 犯罪報道と少年保護
第24講 犯罪被害者と少年保護
第25講 付添人の役割と機能
授業の進め方
(講義案の配布方法)
 M2B学習支援システム(Moodle)を使って、講義案と事前に考えてきてもらう問題を配布します。受講者の方はM2B学習支援システム(Moodle)に登録するようにしてください。

(授業の方法)
 双方向性をもつ授業にします。
 参加者には、具体的事例を交えながら、質問を行います。
 どのような回答でも授業につなげますので、参加者のみなさんは恥ずかしがらずに安心して自分の考えを述べてください。

 授業は、基礎的な知識や思考枠組みがいかに重要か、反対に、現実に生起する問題に対処するためにどのような事項が身に付けるべき基礎的知識・思考枠組みとして求められるのか、理解してもらえるように進めていきます。
教科書・参考書等
(教科書)
 武内謙治『少年法講義』(日本評論社、2015年)
 4644円(税込み。Kindle版でも可)
 http://www.nippyo.co.jp/book/6694.html
成績評価の方法・基準
A. 成績評価の方法
 試験または/およびレボートを中心に評価します。もっとも、双方向性をもつ授業とするため、授業への出席も相応に成績評価に反映させます。詳細は、第1回目の授業の際に説明します。

B. 成績評価の基準
 成績評価は、「授業の目的」の欄に記している到達目標を達成できているか否かを基準として行います。すなわち、(1)基本知識が身に付いているか否か、そして(2)それを用いて説得的な法的・政策的な筋道をつけて思考し、説得力のある問題解決方法を提示できる能力が(どれくらい)修得できているか(それを口頭または文章で表現し、他者に伝えることができる能力も含む)を指標として、成績評価を行います。
その他(質問・相談方法等)
 質問は、授業中も含めて、いつでも受け付けます。
 講義は、毎回、「その日、その場所でしか生まれない」やりとりを通して進めていきます。みなさんと一緒に思考し、考えていく講義を目指します。みなさんも、是非積極的に講義に参加して下さい。
事前/事後学修