知的財産法【国際知的財産法】

最終更新日:2019年4月6日

授業科目名
知的財産法【国際知的財産法】
標準年次
3・4
講義題目
特許法・著作権法
開講学期
前 期
担当教員
小島 立(KOJIMA R.)
単位数
4単位
教  室
E109
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Intellectual Property Law
Course Overview
This class deals with fundamental issues on intellectual property law, especially patent law and copyright law.
履修条件
2012年度から2014年度に開講された知的財産法特殊講義T、または、知的財産法特殊講義Uを履修した者には単位を認定しない。

本授業を受講するに当たっては、民法(民法T、民法Uおよび民法V)、民事訴訟法、行政法(行政法Tおよび行政法U)、国際私法、国際取引法、情報法、経済法などの科目を履修済みか、あるいは、並行して履修することが望ましい。

どの学部に所属しているかにかかわらず、「ものづくり」、「まちづくり」、文化芸術、クリエイティブ産業、スタートアップなどに関心がある学生諸君の参加を歓迎する。
授業の目的
本授業の目的は、受講者と一緒に、知的財産法に関連する問題を検討することを通して、現代社会の諸課題について、受講者自らが批判的に考察する力を高めることにある。本授業が目指す具体的な到達目標は、以下のとおりである。

1. 知識・理解
知的財産法が社会において果たすべき役割について、受講者が自ら考えることができる力を養うこと。

2. 専門的技能
知的財産法に関係する紛争が想定される事例において、原告と被告の双方の立場からどのような主張を行うべきか、そして、裁判所は当該事案についてどのような判断を下すべきか、ということについて、受講者が論じられる能力を養うこと。

3. 汎用的技能
現代社会における諸課題について考えるに当たり、受講者が可能な限り正確に社会を観察して、その観察結果を記述できること、そして、それらの作業を踏まえて客観的な分析を行える能力を養うこと。

4. 態度・指向性
受講者が、国内外で生じている様々な現代的課題に接する際の感受性を高められるようにするとともに、社会で生じている問題を「自分のこと」として捉えて、考察できる態度を養うこと。
授業の概要・計画
本授業では、知的財産法の中で、「創作物を保護する法」である特許法と著作権法を中心に検討する。授業の初めに、「創作物を保護する法」の全体像について概観した後、著作権法、特許法の順に検討を行う。

具体的な授業計画としては、知的財産法総論(6回)、著作権法(10回)、特許法(10回)を予定している(教場試験となる可能性に鑑み、全26回で予定を立てている)。
授業の進め方
1. 授業の進め方について
担当教員による講義に加えて、受講者と問答を行う形で授業を進める。

2. 授業で用いる資料について
本授業で用いる資料は、可能な限り、九州大学e-ラーニングシステムMoodle(https://moodle.s.kyushu-u.ac.jp/)にアップするので、受講者は本授業の「コース登録(自己登録)」を行うこと。もっとも、著作権の関係上、授業において紙媒体で資料を配布する場合もある。

3. 予習について
受講者は、上記のMoodleにアクセスし、事前に予習課題の検討を行うことが期待される。

4. 教科書について
Moodleに掲げた授業スケジュールにおいて、教科書の予習箇所を予め指定するので、その部分に予め目を通してから授業に出席すること。授業に出席する際には、指定した教科書を携帯されたい。

5. 条文について
授業中には、特許法および著作権法に加えて、民法や民事訴訟法などの関連する法律の条文をすぐに参照できるようにすること。授業においては、総務省e-Gov(イーガブ)が提供する「法令データ提供システム」で検索した法律の条文を、教室のスクリーンに投射する。

6. 裁判例について
本授業では、「加工された裁判例」が収められている、いわゆる「判例集」や「判例百選」などの教材は用いず、「生の裁判例」を適宜取り上げ、受講者と問答を行いながら分析を行う。この作業をとおして、知的財産法に関係する紛争が想定される事例において、原告と被告の双方の立場からどのような主張を行うべきか、そして、裁判所は当該事案についてどのような判断を下すべきか、ということについて、受講者が自ら論じることができる力を養いたい。受講者がこの能力を身につけたかどうかを、期末試験で出題する事例問題で試すことになる。

授業の中で、検討する裁判例を予め指定するので、裁判所ウェブサイトの「裁判例情報」から当該裁判例を検索した上で、事前に読んできてほしい。また、特許法の裁判例を分析する際には、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」のウェブサイトから特許公報を出力し、目を通すことが求められる。これらの情報へのアクセスの仕方については授業の中で説明する。
教科書・参考書等
●教科書(授業において予習範囲を指定する)
愛知靖之=前田健=金子敏哉=青木大也『知的財産法』(有斐閣、2018年)

●教科書に準ずるもの(授業の中で適宜参照する)
文化庁長官官房著作権課『著作権テキスト〜初めて学ぶ人のために〜 平成30年5月版』(2018年)〔http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/pdf/r1392388_01.pdf〕
特許庁『知的財産権制度入門 平成30年度』(2018年)〔https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/text/document/h30_syosinsya/all.pdf〕

●参考書(必ずしも購入する必要はない)
中山信弘『マルチメディアと著作権』(岩波新書(赤426)、1996年)(この本は残念ながら絶版となっているが、中央図書館に複数冊が配置されている)
中山信弘『特許法〔第3版〕』(弘文堂、2016年)
中山信弘『著作権法〔第2版〕』(有斐閣、2014年)
高部眞規子『実務詳説特許関係訴訟〔第3版〕』(金融財政事情研究会、2016年)
高部眞規子『実務詳説著作権関係訴訟』(金融財政事情研究会、2012年)
大渕哲也ほか『知的財産法判例集〔第2版〕』(有斐閣、2015年)
小泉直樹ほか『ケースブック知的財産法〔第3版〕』(弘文堂、2012年)
成績評価の方法・基準
1. 成績評価の方法および基準について
期末試験により成績評価を行う(書き込みのない六法(判例付き可)の持ち込みを許し、書き込みがある場合は不正行為とする)。

期末試験では、知的財産法に関係する紛争が予想される事例問題を出題し、原告と被告の双方の立場からどのような主張を行うべきか、そして、裁判所は当該事案についてどのような判断を下すべきか、ということを問う。

授業への積極的な参加および授業における問答の内容については、平常点として、期末試験への加点事由とする。

2. 事例問題の「試験対策」について
事例問題で答えるべきことは、原告が提出すべき訴状、被告が提出すべき答弁書、そして、判決文における「当裁判所の判断」の記述にほぼ尽きている。したがって、事例問題の「試験対策」としては、授業で取り上げる裁判例、教科書に掲載されている裁判例等の「生の裁判例」について、可能な限り第一審判決からさかのぼり、原告、被告および裁判所が論じるべき事柄を整理する作業を地道に繰り返すことをお勧めする(これは知的財産法に限らず、他の法律科目についても当てはまることである)。友人とグループを作って共同作業を行いながら議論を重ねると、より「試験対策」の効果が高まるであろう。
その他(質問・相談方法等)
質問や相談等がある場合には、担当教員にメールで連絡を取り、面談の日時を予約されたい(担当教員のメールアドレスは、kojima[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp)。授業終了後にも質問や相談等を受け付ける。

本授業について不明な点があれば、担当教員まで尋ねられたい。
事前/事後学修