社会保障法演習

最終更新日:2018年11月13日

授業科目名
社会保障法演習
標準年次
3・4
講義題目
ライフステージと社会保障法
開講学期
通 年
担当教員
丸谷 浩介(MARUTANI K.)
単位数
4単位
教  室
E103
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Seminar on social security law.
Course Overview
We discuss about case law and policy about social security law.
履修条件
特にありませんが、社会保障制度に詳しくなくとも関心があり、憲法・行政法・民法を履修していることが望ましいです。
授業の目的
 社会保障法という法分野は生活に密着している一方で、政治的・財政的にも非常に重要なテーマです。それなのに私たちは社会保障法(制度)について正確に理解していることは少ないのではないでしょうか。その原因には、社会保障制度は多様な利害が対立する複雑な構造をもっているからです。それ故に、現在の社会保障制度がどのような構造であって、なぜそのような構造を持っているのかを知ることは非常に重要です。
 また、裁判例は社会保障制度の「歪み」を象徴する出来事であり、これを裁判所がどのように解決してきたかを検討することはとても重要です。さらに、この「歪み」を乗り越えて、望ましい社会保障制度をデザインするためには、法的思考を深めることが不可欠です。
そこで、このゼミでは(1)ライフステージごとにどのような社会保障制度があるのかを知り、(2)それらの制度がなぜそのような形で存在しているのかを検討します。その上で(3)その制度の歪みともいえる法的紛争を検討することで、(4)これからの社会保障法のあり方を検討します。
 学修の観点からは、(1)報告とその準備の作法を習得すること、(2)ディスカッションの方法を習得すること、(3)一つの物事を深く、且つ、多面的に考えることを目的としています。
授業の概要・計画
 社会保障制度に精通している受講生は少ないでしょうから、前期はさしあたって現代の社会保障制度全般について共通理解を得ることを第一の目的にします。それから現行制度がどのような問題点を抱えているのかを検討し、解決策を探ります。
 後期は(1)現代的課題のなかからいくつかを取り上げ、裁判例を軸に将来の社会保障法のあり方を検討すること、(2)具体的な事例を通して当事者が幸せになるためにはどのような法的支援が必要か、ということを検討します。
授業の進め方
◆前期はライフステージと社会保障に関するテキストを配布し、そのテキストの奥にある法的現象を検討してもらいます(括弧内はキーワードです)。
(1)貧困と生活困窮
  (生活保護、就労支援、自立支援、最低保障年金)
(2)出産・育児と就労支援
  (不妊治療、労働基準法、出産費用、健診と個人情報)
(3)病気や怪我の治療と所得保障、働きながらの治療
  (医療保険、予防、傷病手当、難病)
(4)高齢者の介護、介護者の生活と労働、介護の費用
  (介護保険、介護離職、地域包括ケア)
(5)ひとり親の労働、所得保障、死別と離別
  (遺族年金、児童扶養手当、社会福祉協議会、学び直し)
(6)障害者の教育・就労・介護・所得・差別・合理的配慮
  (特別支援(学校・学級)、更生施設、就労支援、差別解消法)
(7)老齢年金
  (国民年金、賦課方式、年金未納、世代間格差)
◆後期は報告グループを作り、(1)裁判例の検討と(2)事例の検討をします。
(1)裁判例の検討
 ○生活保護行政
 ○公的年金の公平性
 ○障害者の24時間介護保障
 ○外国人と社会保障法…など
(2)事例の検討
事前に提示する事例について、3〜4人程度のグループを作って解決策を検討します。
 これらとは別途、福祉施設や行政機関などの見学を行うことがあります(これまでは元ホームレスの自立支援施設、大阪市西成区のホームレス支援団体、児童養護施設など)。また、懇親会などを行っても参加は任意です。
教科書・参考書等
労働調査会『社会保障法令便覧2019(2018)』を持参してください。
他に必要な資料は配付します。
成績評価の方法・基準
平常の受講態度、報告内容等を総合的に考慮します。欠席する場合には必ず事前に連絡してください。
その他(質問・相談方法等)
講義の内容やゼミの報告準備などについて質問等がある場合には、個別に連絡してください。連絡方法はゼミ内でお伝えします。
事前/事後学修