外国法律書講読(英語)

最終更新日:2019年10月9日

授業科目名
外国法律書講読(英語)
標準年次
2・3・4
講義題目
文化政策関連英語文献講読
開講学期
後 期
担当教員
小島 立(KOJIMA R.)
単位数
2単位
教  室
E101
科目区分
基盤科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
English Reading Seminar on Cultural Policy
Course Overview
In this class, we will read English articles on cultural policy.
履修条件
履修条件は特になし。「授業の進め方」および「成績評価の方法・基準」をよく読んだ上で履修登録を行っていただきたい。本授業で用いる資料は、可能な限り、九州大学e-ラーニングシステムMoodle(https://moodle.s.kyushu-u.ac.jp/)にアップするので、受講者は本授業の「コース登録(自己登録)」を行うこと。

どの学部に属しているかにかかわらず、「ものづくり」、「まちづくり」、文化芸術、クリエイティブ産業などに関心がある学生諸君の参加を歓迎する。なお、本授業は、大学院法学府修士課程の「国際関係法学外国書講読第二」との共同開講である。
授業の目的
本授業の目的は、受講者と一緒に、文化政策に関連する問題を検討することを通して、現代社会の諸課題について、受講者自らが批判的に考察する力を高めることにある。本授業が目指す具体的な到達目標は、以下のとおりである。

1. 知識・理解
受講者が、英語文献を正確に読む力、および、文化政策に関する諸問題について自ら考えることができる力を養うこと。

2. 専門的技能
受講者が、文化政策に関する諸問題について、自ら考えることができる力を養うこと。

3. 汎用的技能
受講者の英語運用能力を高めること。また、受講者が、現代社会における諸課題について考えるに当たり、可能な限り正確に社会を観察し、それを踏まえて客観的な分析を行える能力を養うこと。

4. 態度・指向性
受講者が、外国語と日本語の両方についての感度を高められるようにすること。また、受講者が、国内外で生じている様々な現代的課題に接する際の感受性を高められるようにするとともに、社会で生じている問題を「自分のこと」として捉えて考察できる態度を養うこと。
授業の概要・計画
「文化政策」とは、文化や芸術に関する政策のあり方を論じる学問領域であり、学際的かつ複合的な色彩を強く帯びている。論じられるテーマも多様であり、一例としては、「クリエイティブ産業」、「創造都市」、公立文化施設における指定管理者制度、文化芸術施設や文化芸術関係者への補助金のあり方、アートNPO、企業メセナ、著作権政策などが挙げられる。文化政策の現状について知りたい場合には、「文化芸術推進基本計画(第1期)」(2018年3月6日閣議決定)を参照されたい〔http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/1402067.html〕。

本授業では、2018年度に引き続き、近時の文化政策において議論の高まりが見られる「社会(的)包摂(social inclusion)」について、受講者とともに考えていきたい。「社会(的)包摂」とは、「国民一人ひとりが社会のメンバーとして『居場所と出番』を持って社会に参加し、それぞれの持つ潜在的な能力をできる限り発揮できる」ような「社会の実現に向けて、社会的排除の構造と要因を克服する一連の政策的な対応」のことをいう(「一人ひとりを包摂する社会」特命チーム『社会的包摂政策を進めるための基本的考え方』(2011年5月31日)〔https://www.kantei.go.jp/jp/singi/housetusyakai/〕)。

文化政策の領域においても、2018年6月には、いわゆる「障害者アート」に関連する支援の一環として「障害者文化芸術活動推進法」(平成30年法律第47号)が施行された。この法律の基本理念(同法3条1号)には、「文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、国民が障害の有無にかかわらず、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるよう、障害者による文化芸術活動を幅広く促進すること」と書かれており、同法が「社会(的)包摂」の理念を具現化しようと考えていることが伺える。

本授業では、「社会(的)包摂」について、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)が幅広く検討しているレポートである、An indicative review of UNESCO’s work on social inclusion: A UNESCO-ODI study of promising practices in the field of social inclusion (2015)を講読する。
授業の進め方
本授業では、An indicative review of UNESCO’s work on social inclusion: A UNESCO-ODI study of promising practices in the field of social inclusion (2015)を下記の予定で読み進める。このレポートについては、https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000243129
から出力してほしい。

授業スケジュールは以下の通りであるが、授業担当者の出張等の関係で、休講および補講のスケジュールが変更になる可能性がある。
10/2:休講
10/9:@ 本授業のオリエンテーション&pp.1-6
10/16:A pp.7-10
10/23:休講
11/6:B pp.11-16
11/13:C pp.16-21
11/20:D pp.22-25
11/20・4限:E pp.26-29
11/27:F pp.30-35
11/27・4限:G pp.35-40
12/4:H pp.40-43
12/11:I pp.47-50
12/18:J pp.51-57
1/22:K 予備日
日程未定:L 予備日

授業で講読を行う際には、特に担当者は決めない。また、文章の全訳を求めることはないものの、文章のまとまり(意味の固まり)を自分で把握し、その要約を行なってほしい。授業には、英和辞書(電子辞書も可。ウェブ上で検索できるオンライン辞書でも構わない)を必ず携帯されたい。

予習を行う際には、何が文章の主題として取り上げられているのか、何と何が対比(比較)して書かれているのか、従前の問題状況はどういった内容で、筆者はそれに対してどのような分析を加え、従来の考え方とどのように違った意見を持っているのか、といった点について、意識的に注意を払っていただきたい。

担当教員のこれまでの教育経験に照らすと、学生諸君は、個々の単語および熟語の意味を辞書で調べることに意を用いすぎ、一定の長さの文章が固まりとして何を言っているのか、ということを把握するのが苦手であるように見受けられる。そのような「木を見て森を見ない」状況に陥らないように気をつけながら、予習を行なってほしい。

また、重要な法的概念や社会科学上の概念について、担当教員が受講者に質問を行なうこともある。法的概念や社会科学上の概念の中には、日本が「近代化」した後に、西洋から「翻訳」の形で取り入れられたものも少なくない。翻訳という営みについて意識的かつ自覚的に考えることは、私たちが外国の社会や文化をいかに把握するのかという試みを行う際の感覚を鋭敏にしてくれるだろうし、私たちに日本社会や日本文化を相対化する契機を与えてくれるだろう。さらには、私たちが外国語を学ぶ際の「心構え」にも大きな示唆を与えてくれるはずである。
教科書・参考書等
本授業で取り上げる文献については、ウェブサイトから検索および出力した上で授業に持参すること。授業には、英和辞書(電子辞書も可。ウェブ上で検索できるオンライン辞書でも構わない)を必ず携帯されたい。

1. 文化政策について
文化政策についての基本的知識を得たい場合には、野田邦弘『文化政策の展開――アーツ・マネジメントと創造都市』(学芸出版社、2014年)、後藤和子編『文化政策学――法・経済・マネジメント』(有斐閣、2001年)、小林真理=片山泰輔監修『アーツ・マネジメント概論〔3訂版〕』(水曜社、2009年)、池上惇=植木浩=福原義春編『文化経済学』(有斐閣、1998年)などを参照されたい。

担当教員の文化政策についての考え方の一端を示したものとしては、小島立「現代アートと法――知的財産法及び文化政策の観点から」知的財産法政策学研究36号(2011年)1頁がある(この論文については、インターネット上で検索すれば見つけることができる)。

2. 翻訳の意義や外国語学習のあり方について
翻訳の意義については、柳父章『翻訳語成立事情』(岩波新書、1982年)、丸山眞男=加藤周一『翻訳と日本の近代』(岩波新書、1998年)などを参照のこと。私たちが外国語を学ぶ際の「心構え」については、斎藤兆史『英語達人列伝――あっぱれ、日本人の英語』(中公新書、2000年)、斎藤兆史『英語達人塾――極めるための独習法指南』(中公新書、2003年)、鳥飼玖美子『本物の英語力』(講談社現代新書、2016年)などを参照されたい。
成績評価の方法・基準
成績評価は、学期中4回の課題提出、授業への出席、および、授業終了後に提出していただくレポートによって行う。

課題の提出を求めるのは、受講者の英文読解力および背景知識への習熟度を授業担当者が把握することにより、回答の内容を授業に反映させたいからである。また、レポートの提出を求めるのは、本授業の受講者に「感想文」ではなく、ある物事について、一定の作法に則って分析する「報告書(レポート)」の書き方を、大学在学中に身に着けてほしいと願うからである。レポートの書き方を習得することは、就職活動や社会に出てからも必ず役に立つはずである。

1. 課題の提出
学期中に4回、講読文献の一部についての英訳を、授業前に提出していただく。授業担当者として受講者の英文読解力および背景知識への習熟度を把握するとともに、回答の内容を授業に反映させたい。課題の提出状況は成績評価の際に考慮する。

2. 授業への出席
毎回、授業終了後に、出席カードの提出を求める。出席カードの記載内容も成績評価の際に考慮する。

受講者から自発的な発言がない場合には、こちらから適宜指名し、発言を求める(その際に、発言者の氏名を尋ねる)。授業中の発言回数や発言内容などが成績評価に反映されることになるため、欠席の多い受講者、授業中に積極的な発言がない受講者については、単位認定がなされないか、自ずと低い成績評価しか与えられない。

また、公務等による休講のため、やむを得ず、水曜4限に補講を行うことがある(「授業の進め方」を確認すること)。同じ時間帯に開講されている法学部または他学部の授業等に出席するために補講に出席できない受講者は、補講の時間帯にどのような学びを行なったのかということについて、その次回の授業の際にレポート(様式や分量等は問わない)を提出することをもって、補講への出席に代えることができる。このレポートの提出がなされない場合には、補講を欠席したものとみなす。

3. 授業終了後のレポートの提出
本授業が全て終了した後にレポート(A4で5枚程度。それより長くても構わない)を提出していただく。レポートの提出がなされない場合には単位を認定しない。レポートの提出期限は、2020年1月29日(水)の午後5時とする(提出場所は教務第二係)。

レポートで取り上げるテーマは、本授業で検討する「社会(的)包摂」に関係する内容であれば何でも構わない。レポート執筆の要領については、授業の中で説明するが、日本文化政策学会の下記ウェブサイトに掲げられている「投稿論文の書き方」を必ず参照すること。ここに示されている注意事項を守っていないレポートについては、自ずと低い評価しか与えられない。
http://www.jacpr.jp/?p=846
その他(質問・相談方法等)
質問や相談等がある場合には、担当教員にメールで連絡を取り、面談の日時を予約されたい(担当教員のメールアドレスは、kojima[アットマーク]law.kyushu-u.ac.jp)。授業終了後にも質問や相談等を受け付ける。

本授業について不明な点があれば、担当教員まで尋ねられたい。
事前/事後学修