政治史演習

最終更新日:2019年11月22日

授業科目名
政治史演習
標準年次
3・4
講義題目
ファシズムの再来はあるのか?
開講学期
通 年
担当教員
熊野 直樹 (KUMANO N.)
単位数
4単位
教  室
2号館2階 第3演習室
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Will fascism come soon here?
Course Overview
This course focuses on the past and the present of fascism which has been discussed lately in Germany and Japan. This seminar will compare fascistization in Germany and Japan. Mainly will be discussed the second coming of fascism an advanced country.
履修条件
ファシズムの再来について、1年間議論していけるほどの熱意と関心のある方。
授業の目的
本演習の目的は、以下の4点です。
1.政治史関係の学術論文の読み方を習得する。
2.政治史を解釈する際に必要な用語や概念を十分に理解し、把握する。
3.自分の考えを的確にかつ論理的に相手に伝えるようになる。
4.ゼミ論文の執筆を通じて、調査能力と論文作成能力を育成・発展させる。
本演習では、特に4.のゼミ論文の作成に力を入れています。
授業の概要・計画
本演習では、ファシズムの再来はあるのか、について内外の政治状況を考察しながら、検討していきます。
ヨーロッパ、とくに東欧において自由民主主義体制から権威主義的体制への移行が問題になっています。またドイツにおいても近年、「ドイツのための選択」(AfD)といった極右政党が台頭し、ドイツのジャーナリズムや政治学者は、その急進派(B・ヘッケ)をファシストないしはナチと明確に規定しています。2019年11月現在、このAfDの州政府への参加が争点になっています。ナチ党は、そもそも1930年1月のラント政府への参加によって経験を積み、3年後ライヒ中央政府の権力を握りました。同じ現象がまさに今ドイツで起ころうとしています。
日本でも1933年3月にナチ政権下で成立した全権委任法の内容を盛り込んだ緊急事態事項が改憲案として提起されています。これは「ナチスの手口」として一部の研究者によって問題視されています。
こうした現象を踏まえて、内外でナチズムないしはファシズムの再来の有無について議論されるようになっています。そこで本演習では、内外の事例を踏まえて、上記の問いについて考えていく予定です。

【授業計画】
1.ファシズム概念をめぐる理論的検討。
2.ファシズムの再来をめぐる内外の現代的問題についての検討。
3.ファシズムをめぐる歴史的検討。
4.ゼミ論文の構想発表会(後期2回開催予定)。
  ゼミ論文合評会を兼ねたゼミ旅行(年度末)。
授業の進め方
毎回、報告者1名とコメンテーター1名を決めて、テキストに関する報告者のコメントを中心に、参加者全員が議論していきます。
教科書・参考書等
・アンドレアス・ヴィルシング他、板橋拓己・小野寺拓也監訳『ナチズムは再来するのか?―民主主義をめぐるヴァイマル共和国の教訓』慶応義塾大学出版会、2019年。
・長谷部恭男・石田勇治『ナチスの手口と緊急事態事項』集英社、2017年。
・山口二郎他『「開戦前夜」のファシズムに抗して』かもがわ出版、2015年。
・H・A・ターナー・ジュニア、関口宏道訳『独裁者は30日で生まれた―ヒトラー政権誕生の真相』白水社、2015年。
・想田和弘『日本人は民主主義を捨てたがっているのか?』岩波書店、2013年。
・山口定『ファシズム』岩波書店、2006年。
成績評価の方法・基準
平素並びにゼミ論文。
夏休みに3年生には、E・H・カー『歴史とは何か』の書評を課します。
その他(質問・相談方法等)
本演習は少人数をモットーとしており、定員は8名です。
後期では、ゼミ論文の作成に力を入れて取り組むために、ゼミ論文構想発表会を2回予定しています。
年度末には、ゼミ旅行を行います。年度末のゼミ旅行では、秘湯や温泉地でゼミ論文の合評会を行います(2018年度、福岡県:原鶴温泉)。
事前/事後学修