刑事政策演習

最終更新日:2019年11月23日

授業科目名
刑事政策演習
標準年次
3・4
講義題目
年齢(少年、若年者、高齢者)と刑事政策
開講学期
通 年
担当教員
武内 謙治 (TAKEUCHI K.)
単位数
4単位
教  室
2号館2階 第4演習室
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Seminar on Criminology and Criminal Policy
Course Overview
This seminar discuss and examine various theoretical and "real" issues in Japanese criminal policy
履修条件
 現時点での刑事政策や刑事法に関する知識の多寡は全く問いません。
 刑事法科目がどちらかというと苦手という方でも問題ありません。
 新4年生は、武内担当の授業(刑事政策、少年法、刑事政策演習)を受講した経験がある人に限ります。
 演習参加志望書はやる気が読み手に伝わるようにしっかりと書いてください!
授業の目的
 このゼミの目標は、次の通りです。
(1)自分で問題を発見する能力を獲得する
(2)文献調査・社会調査を通して「第一次情報」にアクセスする能力(「事実」にアクセスするための能力)を向上させる
(3)犯罪学・刑事政策学・刑事法学に関する基本的な知識を獲得する
(4)自己表現能力(口頭発表、文章作成を論理的・説得的に行う技術と能力)を向上させる

 とりわけ、できるだけナマの社会的な事実に触れながら、(2)文献調査・社会調査を行い、(4)「論証」を行う能力をつけてもらうことを、このゼミでは重視します。

 「刑事政策」として扱われる代表的なテーマには、総論として「犯罪」とは何か、犯罪はなぜ起こるのか(犯罪原因)、犯罪にはどのように対応すればよいかの(犯罪対応)といったものがあります。各論としては、例えば、薬物の自己使用を処罰することに(どのような)意味があるのか、若年者や高齢者に刑罰を科すことにはどのような効果を見込めるのか、といった問題があります。【教科書・参考書等】の欄に掲げた文献を手にとってみると、概要はつかめるのではないかと思います。
授業の概要・計画
(1)授業のテーマ
 ゼミのテーマは参加者全員による話し合いで決定します。夏学期の間は、どちらかといえば「座学」中心で授業を進めます。冬学期は、どちらかといえばフィールドワークなど「実技」中心で、テーマの設定や活動方法は参加者の自主性に委ねます。
 扱うテーマは、「犯罪」現象に関連する問題であれば「なんでもあり」です。「刑事政策」自体の守備範囲が元々広いので、幅広い問題関心をもっている方に参加頂ければ、お互い実りが多くなるでしょう。

(2)検討の方法
 このゼミでは、文献調査だけでなくフィールドワーク(≒「街に出る」「人に会う」こと)を重視します。裁判傍聴、施設参観、当事者の方への聴き取り調査を行う他、刑事法や刑事政策に関係しそうな学外の催し物・活動・勉強会の情報も積極的に提供します。
 こうした活動を正規の授業時間外で行うことも多くあります。特に水曜日の午後は課外活動に充てることが多くあります。これらの活動にも参加する意欲のある方の参加を求めます。

(3)年間計画
 詳細については、第1回目の講義の際に受講者と相談して決定します。
 例年、夏休みは、調査旅行に出かけます。これまでの主要な調査結果は、ゼミ論集にまとめられていますので、学生情報サロンで読んでください。
授業の進め方
 <調査→報告→議論>を繰り返しながら問題の発見と調査を発展させていくというのが、このゼミの基本的な進め方です。
 報告担当者には、文献・社会調査に基づいて(グルーピングを行った場合には、さらにサブ・ゼミを行った上で)、予め簡潔なハンドアウトを作成して頂き、プレゼンテーションを行ってもらいます。それを軸に、参加者全員で議論を行います。議論の中で新しく出てきた疑問や関連する問題については、さらに調査を進めてもらい、報告してもらいます。
 詳細については、第1回目の授業の際に、受講者の方と相談して決定します。
教科書・参考書等
【ゼミの内容に直接かかわるもの】
(1)武内謙治=本庄武『刑事政策学』(日本評論社、2019年)
(2)本庄武=武内謙治『刑罰制度改革の前に考えておくべきこと』(日本評論社、2017年)
(3)武内謙治『少年法講義』(日本評論社、2015年)
(4)法務総合研究所『令和元年版 犯罪白書』
*(1)は必ず購入してください。

【ゼミ開始前までに必ず読んでおくもの】
(1)野矢茂樹『大人のための国語ゼミ[増補版]』(筑摩書房、2018年)
(2)大島弥生ほか『ピアで学ぶ大学生の日本語表現[第2版]』(ひつじ書房、2014年)
*1冊以上を春休み中に必ず読んでおいてください。
*時間がある人は、春休みに、NHK高校講座「ロンリのちから」[http://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/ronri/]も観ておいてください。

【フィールドワーク・質的調査に役立つ本】
(1)岸政彦=石原丈昇=丸山里美『質的社会調査の方法』(有斐閣、2016年)
(2)前田拓也=秋谷直矩=朴沙羅=木下衆『最強の社会調査入門』(ナカニシヤ出版、2016年)
*1冊以上を春休み中に必ず読んでおいてください。

【ゼミ論文を書く能力をつけるために必ず役立つ本】
(1)戸田山和久『新版 論文の教室―レポートから卒論まで』(NHK出版、2012年)
(2)石黒圭『この1冊できちんと書ける!論文・レポートの基本』(日本実業出版社、2012年)
成績評価の方法・基準
(要件)
・授業への参加(無断・正当な理由のない欠席があった場合には単位認定を行いません)

(基準)
・報告(調査活動も含む)(40%)
・授業への参加(授業の準備、議論での発言など)(40%)
・ゼミ論文(20%)
その他(質問・相談方法等)
(1)演習授業(ゼミ)についての武内の考え方は、法学教室454号(2018年)2-3頁(「学外活動(フィールドワーク)は、ほろ苦いコーヒーの味――書をもって街にも出よう」)にも書いていますので、これも併せて読まれてみると、ミスマッチが少なくなるかもしれません。
(2)これまでこのゼミに参加してくれた学生さんの進路は、だいたい半分ほどが刑事政策とかかわり深いもの(国内外の大学院進学[→研究者]、法科大学院進学[→弁護士、裁判官]、国家公務員[法務省矯正局、法務省保護局、保護観察官、地方更生保護委員会、入国管理局、検察事務官、裁判所職員、法務局]など)、半分ほどがその他の国家公務員(会計検査院)、地方公務員(福岡県、熊本県、大分県、福岡市、北九州市、宮崎市、大分市、福津市、佐世保市など)、民間企業(金融業、製造業、報道機関など)です。
 この演習授業(ゼミ)に参加したこと自体が何か就職に役立つことはありませんが、OGとOBは人格者揃いなので親切に各種アドバイスをしてくれます。
(3)サブゼミでの履修や新4年生の新規受講も歓迎します(が、上記の通り、新4年生については、武内担当の授業(刑事政策、少年法、刑事政策演習)を受講した経験がある人に限ります)。「メインゼミ」として参加を希望する方でも、他のゼミへのサブゼミ参加を推奨します。
(4)講義担当者から選考期間中・春休み期間中に連絡をとることがあります。「志望理由書」には、「携帯メールではない」メールアドレスも記入しておいてください(はっきりと、明瞭な文字で)。
事前/事後学修