法政基礎演習

最終更新日:2020年3月8日

授業科目名
法政基礎演習
標準年次
2
講義題目
ドイツにおける民衆による抗議運動の歴史
開講学期
前 期
担当教員
村上 悠 (MURAKAMI Y.)
単位数
2単位
教  室
科目区分
入門科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Introductory Seminar on Legal and Political Studies
Course Overview
This course provides an general overview of a history of protest by the citizen in Germany
履修条件
特にありません。
授業の目的
【法政基礎演習の共通目標】
 この授業科目はゼミ形式により、2年次から始まる高度な学習に向けての橋渡しの教育を行うことを目的としています。具体的には以下の三点を目的としています。
@リサーチ・分析能力、
Aディスカッション・プレゼンテーション能力、
Bレポート・論文作成能力、
これらの能力は、受講者が将来いかなる進路に進んだとしても必ず要求される能力です。これらの能力を身につけ、伸長することを目指します。

【本演習の到達目標】
 本演習ではドイツにおける民衆の抗議運動に関する研究書を扱います。上記の共通目標を踏まえたうえで本演習では以下の内容ついての習熟を目標とします。
1)民衆運動の歴史を読み解く【知識】
 戦後のドイツはヨーロッパのなかでも学生運動が活発に展開された国の一つであり、特に「68年世代」と呼ばれる1968年の学生運動を展開した世代は、ドイツの政治社会に大きな影響を与えています。東西ドイツの学生を中心とする抗議運動がどのような動機や時代背景の下で展開されたのかを学び、運動の歴史に対する知識のみならず、戦後の政治や今日の社会に対する多様な視点の獲得を目指します。
2)論文における適切な引用について学ぶ【専門的知識・技能】
 取り扱う文献の出典にあたることで、資料を調査・収集する訓練を行うとともに、論文を書く上で厳守しなければならない資料の引用方法と、文献の批判的な読解について学びます。また、実際に文章を書き、その添削を通じて、論理的な文章の書き方を身に着けます。
3)文献の要約能力、議論の方法を身に着ける【汎用的技能・態度】
 ゼミ形式の演習を通じて、難解な内容をできる限り簡潔に要約する能力の習熟を目指します。同時に、報告者の主張を理解したうえで適切な批判を行い、建設的な議論の方法を学びます。
授業の概要・計画
【授業の概要】
 近年、香港の学生を中心とする大規模なデモ活動や、日本においても、既に解散したものの、2015年の安保法案改正に反対する学生グループ、シールズの活動が展開されるなど、若者による既存の政治に対する批判運動に対する関心が高まっています。
 こうした近年展開されている若者の運動について知るうえで、ドイツの事例は大いに参考になるといえます。西ドイツは第二次世界大戦後最も活発な学生運動が展開された国の一つであり、「68年世代」と呼ばれる政治世代を形成し、ドイツの政治社会に影響を及ぼしています。東ドイツにおいても1968年には学生運動が活発化し、89年の転換期における国内の運動へと至る要因になっています。こうしたドイツにおける抗議活動の歴史について学ぶことで、当時の政治状況や、現代社会の様々な事象に対して批判的な視点を獲得してもらいたいと思います。
 教科書として、井関正久『戦後ドイツの抗議運動―「成熟した市民社会」への模索』(岩波書店、2016年)を使用し、輪読します。また、授業の進行に合わせて、適宜関連文献を配布し輪読します。文献の読解にあたって、著者が引用する文献を参照し、資料の引用の適切さや評価の妥当性についても検討することで、批判的に文献を読み解くことにも挑戦していきます。また、実際に文章を作成してもらい、エッセイ等とは異なる「型」のある文章の書き方について学んでもらいます。本演習を通じて参加者の皆さんが学術研究に触れることの「楽しさ」を知るきっかけを得ることができることを期待します。
 最後に政治・社会的な問題について参加者各自にテーマを設定してもらい、そのテーマに沿ったレポートを3000字程度で書いてもらい提出してもらいます。

【授業の計画】
第1回 オリエンテーション
第2回 教員による、模擬ゼミとレジュメの作成についてのレクチャー
第3回〜第8回 『戦後ドイツの抗議運動』の輪読
第9回 レポートの書き方、資料の探し方
第10回〜第13回 今日の民衆の運動
第14回・第15回 レポートの構想発表
※授業計画は実際の進行に合わせて適宜変更する可能性があります
授業の進め方
【授業の進め方】
 演習を進めるにあたり、初回のオリエンテーションの際に各回の報告者2名とコメンテーター1名を選出したいと思います(参加者の人数次第では、教員がコメンテーターを務めます)。報告者は自分の担当個所について簡潔なレジュメを用意してもらい、報告してもらいます。加えて、報告者には担当個所の内容についてのコメント・疑問点を提示してもらいます。コメンテーターは報告者が提示した論点について意見を述べてもらい、その後参加者全員で内容についての議論を行いたいと思います。
 演習は基本的に@報告者による内容の報告(20分程度)A内容についての質疑応答(15分程度)Bコメンテーターと報告者の質疑応答(15分程度)C報告者のコメントに対する参加者全員での質疑応答、という流れで行う予定です。
 第2回の演習では、『戦後ドイツの抗議運動』の序章と第1章の内容を教員がレジュメにまとめ報告し、ゼミにおけるレジュメの作成方法と注意事項についてレクチャーを行います。
 第3回から第8回までは『戦後ドイツの抗議運動』の各章を、担当する報告者に報告してもらいます。
 第9回の演習においては全演習終了後に提出してもらうレポートの作成方法についてレクチャーを行います。レポート作成にあたっての、文章構成、書式などの注意事項について学習します。
 第10回から第13回の演習では、近年展開されている民衆の運動に関する文献を通常の演習形式に沿って報告してもらいます。使用する文献については第8回の演習の際に配布し、担当者は第9回の演習の際に決定します。
 第14回、第15回の演習では提出するレポートについて参加者各自から、何について書くかを発表してもらい、その内容について、お互いにコメントを出し合います。
教科書・参考書等
【教科書】
井関正久『戦後ドイツの抗議運動―「成熟した市民社会」への模索―』岩波書店、2016年。

【参考図書】
井関正久著・石田勇治監修『ドイツを変えた68年運動』白水社、2005年。
植村邦彦『市民社会とは何か―基本概念の系譜―』平凡社新書、2010年。
A・O・ハーシュマン著、矢野修一訳『離脱・発言・忠誠―企業・組織・国家における衰退への反応―』ミネルヴァ書房、2005年。
ユルゲン・ハーバーマス著、三島憲一編訳『近代未完のプロジェクト』岩波書店、2000年。
フリッツ・フィルマー編著、木戸衛一訳『岐路に立つ統一ドイツ―果てしなき「東」の植民地化―』青木書店、2001年。
星乃治彦『台頭するドイツ左翼―共同と自己変革の力で―』かもがわ出版、2014年。
成績評価の方法・基準
 試験は実施しませんが、全演習終了後に3000字程度のレポートを課します。テーマは演習において取り扱った内容に関連するものであれば自由とします。
成績評価は以下の点を踏まえて総合的に判断します。
@平常点(参加態度・議論での発言内容)(40%)
A報告(報告準備・内容・応答の技能)(30%)
Bレポート(演習で獲得した知識の反映・文献の引用方法)(30%)
なお、遅刻、無断での欠席は厳禁です。4回以上の欠席の場合は除籍となり単位認定を行いません。
その他(質問・相談方法等)
講義内容に関する質問は授業中、授業後いつでも受け付けます。また研究室(法学部第3研究室)に直接来ていただいてもかまいません。研究室に来る場合には事前に下記のメールアドレスにご連絡をお願いします。
la2myu[アットマーク]gmail.com
事前/事後学修