政治学演習

最終更新日:2021年5月16日

授業科目名
政治学演習
標準年次
3・4
講義題目
「現場」から考え、取り組むSDGs:貧困・ジェンダー・環境を中心に
開講学期
通 年
担当教員
出水 薫(Izumi K.)
単位数
4単位
教  室
演習室5
科目区分
展開科目
使用言語
Japanese
科目コード
Course Title
Seminar on Municipal Governance about Local SDGs Policies
Course Overview
Through reading books and social field surveys, this class aims to discuss variety of phenomena from point of view with political studies. Especially we focus on them related to local SDGs policies of municipals.
履修条件
※以下のシラバス全体を、よく読んで、参加申込書の「志望理由」を書いてください。

※選択の参考として、卒業生の進路を列挙します(一部例です)
自治体:福岡県、福岡市、久留米市、直方市、那珂川市、佐賀市、対馬市、大分県、大分市、宮崎県、霧島市、倉敷市、愛媛県、高知県
省庁:内閣府、財務省、外務省、会計検査院
民間:九州電力、東京電力、伊藤忠商事、住友商事、福岡銀行、三菱UFJ銀行
マスメディア:読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞、共同通信、大阪朝日放送
その他に、弁護士、自治体議員、小泉純一郎秘書、映画監督、ラジオパーソナリティ、NPO職員、高校教諭など、幅広く活躍しています。

(1)上記のように多様な卒業生が巣立ったのは、「言葉の力」によって「問題」を適切に「かたち」にできるようになりたいという意欲をもち、かつ、問題の「現場」を「楽し」める知的好奇心の旺盛なみなさんが、毎年参加してくれたからです。

(2)また、法学部におけるサブ・ゼミや他ゼミとのかけもちのみなさん、大学院や他学部・他大学のみなさん、「社会人」のみなさんなど、多種多様なみなさんが、常に参加してくれたおかげでもあります。

(3)過去と同様に、弁護士のみなさんと定期的に学習会をおこない、講演会などを企画・実施します。上記のように、われわれのゼミの卒業生には弁護士がいます。法曹志望の方、大歓迎です。

(4)単位はいらないけれど、参加したいというみなさん、大歓迎です。
授業の目的
(1)私たちのゼミは、2020年度で20年目を迎えました。
 昨年度までは、貧困、ジェンダー平等などの問題を、自治体の活動を通じて学ぶことを続けてきました。具体的には、例えば、過去6年、長崎県の対馬市の補助金を受けて、現地調査をおこない、政策の実現に協力したりしてきました。
 上記のように長らく協力してきた対馬市が、国のSDGs(持続可能な開発目標)推進のためのモデル自治体に選定されたことを受け、2021年度からはSDGs実現のための政策を、問題解決の現場で、自治体を含む多様な利害当事者との共同作業を通じて学ぶことを目的にします。
 ご存知のように、SDGsは、貧困の克服やジェンダーの平等など、これまでも、われわれのゼミが主に取り組んできた課題だけでなく、気候変動の克服や生物多様性の保全など、より多様な課題を包括的にまとめたものであり、これまで以上に多様な政策課題と向き合うことになります。

(2)上記(1)から分かるように、われわれのゼミの目的は、各種の社会問題を、地域政府としての自治体の活動に、具体的に参加しながら、検討するということです。
 そのような活動を通じて、政府の機能、行政の活動、社会問題の具体的なあり方など、政治学(ないしは行政学・政策分析)を包括的に学ぶことになります。

(3)また、より広く捉えると、さらに私たちのゼミの目的は、「世界は広く複雑で、そこには面白い人たちがいる」ということを学ぶことでもあります。
 九大法学部のみなさんは、現在の学校・受験制度のために、相対的に同質性の高い集団になっています。とても狭い「世界」しか知らない状態に陥っている可能性が高いのです。ゼミの活動を通じて、それを相対化できるようになります。

(4)さらに、私たちのゼミは、この間一貫して「書をもって街に出る」を、合言葉にしてきました。
 「街に出る」とは、現場に出向き、「当事者」に出会うということです。現場に行かなければ分からないことがあります。しかし現場に行けば、すべてが分かるわけではありません。むしろ「現実」の複雑さに困惑し、情報に溺れてしまいがちです。だからこそ「書をもって」出かける必要があります。複雑な現場を適切に理解するための枠組みや観点、知識を得ることが重要です。
 結果として、それなりに手応えのある書籍を、正確に読み取る読解力を身につけることになります。また、現場と書物、具体的事象と抽象的な知識の間を往復できる技量も身につけることになります。

(5)しかも、私たちのゼミは、上記のように「座学」だけではなく、学外の多様な主体と共同作業をおこなうため、コミュニケーション、企画、運営などの能力も、結果として身につけることになります。
授業の概要・計画
(1)活動の柱のひとつは、国のモデル自治体に選ばれた、対馬市において、「グローカル大学事業」や、その他のSDGs関連の政策形成・実行に協力していくことです。

(2)また対馬市という個別の事例を相対化するために、教員が審議会の委員を長らく務めている福岡県の柳川市も、調査などの対象とします。

(3)座学としてのテキストの輪読は、上記の研究調査に必要な文献などからテキストを選定しておこないます。

(4)卒業生を交えての同窓会ゼミや、弁護士や他大学の教員・学生と交流する機会も例年に引き続きおこないます。
授業の進め方
(1)授業の内容はテキストの輪読と討論、現地調査の実施と討論の二つに大きく分けられます。なお調査の前には、それと関連した文献を読んで討論することになります。

(2)ゼミでは、あらかじめフェイスブックで共有しておいたレジュメをもとに討議します。

(3)現地調査・合宿は、その都度に幹事を決定し、幹事を中心に約束のとりつけ、宿所の確保などをおこない実施します。

(4)以上の活動に織り交ぜて、毎月5冊以上の本を読み続けるためのガイドとして、月例の書評会をおこないます。

(5)毎回のゼミは以下のように進めます。
@全体の事務連絡
A各自の観点の確認と感想(全員一巡)
B報告
C討議
※おおむね1時間延長を目処に毎回おこなっています。できるだけ金曜日はバイトなどを入れないようにしてください。
教科書・参考書等
2020年度前期の最初の数冊のテキストについては、春合宿などで話し合って決めます。
成績評価の方法・基準
講義の目的として示している観点から、自他ともに、ゼミへの参加により「変わる」ということが採点の基準です。

 具体的には、(1)ゼミでの報告と質疑への参加、(2)ゼミおよび諸行事への参加状況(※無断欠席と無断遅刻は、大幅に減点します。欠席や遅刻は、原則として前日までに届けなければなりません)などにも着目しつつ、評価します。

 以上を踏まえ以下の様な基準で採点します。
A:想定された水準を超えて、きわめて優秀
B:想定された水準を超えて、優秀
C:想定された水準を達成
D:想定された水準に満たない部分もあるが、単位は認定
F:単位を認定できない
その他(質問・相談方法等)
ゼミの相談は基本的にフェイスブックなどでもおこないます。
参加者は携帯以外のメールアドレスとフェイスブックのアカウントを持ってもらう必要があります。
事前/事後学修 教科書の該当箇所の読み込みと授業後の復習。各回4時間相当。