Course Title |
Chinese legal history |
Course Overview |
Basic knowledge on Chinese legal history |
履修条件 |
特にありません。講義は日本語で行いますので、中国語はできなくても問題ありません。逆に中国語を母語とされる方で参加を希望される場合は、十分な日本語能力を身につけた上でのご参加をお願いします。 なお、2021年度後期は開講しますが、2022年度後期はお休みさせていただく予定です。履修計画を立てる上で注意してください。 |
授業の目的 |
知識・理解の観点からは、「伝統中国」という、日本とは決定的に異なる社会のあり方について、主として清朝時期を取り上げながら、その特質について検討を行います。またこうした秩序が変動を迎える清朝末期から中華民国時期にかけての近代法史、日本の植民地統治時期の台湾についても概観し、それらを通じて日本人が中国の「法」と「社会」というものについてどのようにかかわってきたのか、という我々の中国認識の前提となる諸問題についても考察します。さらには、中国以外の東アジア諸地域へも目を向け、「アジア」について考える際の諸問題についても考察の端緒をつかむことを目指します。 専門的技能の観点からは、中国を含む東アジア地域において、古代から現代にかけて展開した様々な様相を歴史学及び法学の双方に軸足を置きながら検討するための手法への入門的要素について取り上げることとします。 汎用的技能の観点からは、中国法制史を一つの軸として日本法を振り返り、それらを一度突き放し相対化して捉えることを意識的に行うとともに、他の分野の学習にも応用可能な方法について、紹介していきたいと思います。 態度・志向性の面では、とにかく対象を短絡的に捉えず、複雑なものを複雑に、粘り強くしぶとく考えるメンタリティーを身につけることを目指したいと思います。これは全ての学問において基本的な態度と言うことができます。 |
授業の概要・計画 |
毎回講義形式により、清朝時期を中心とする中国社会の様相について、具体的に検討していきたいと思います。もちろん、清朝だけではなく通史的な紹介も行います。 近代法史、植民地法制についても概観し、日本人の中国へのかかわり方の諸相を主に「法」に関する領域において考察します。また、「中国」という地域を相対的に捉えるために、その周辺地域へも広く目を向けた紹介を行います。 概要は基本的に以下の通りですが、最新の内容を追加したり、参加者の希望に応じて特別テーマを扱う回を入れたりして変更する可能性があります。
はじめに 中国における法と法典編纂 法哲学史 儒家と法家 法典編纂の歴史 春秋戦国〜清朝 「伝統中国」の法と社会 家族 宗とその効果(同姓不婚/異姓不養/分形同気) 「家」のあり方(同居共財・家産分割) 財産 売・典・押・租 活と絶 科挙/官僚機構論 裁判 「裁き」の過程/聴訟と断獄/必要的覆審制/律例と成案 中国近代法史 近代中国と国際法/清末・民国期における近代的法典編纂/礼法論争 植民地と法 植民地時期台湾の法と社会/慣習調査の展開/満洲国 東アジア諸地域と中国 おわりに |
授業の進め方 |
担当教員による解説を主とした講義形態をとります。新型コロナウイルス対策のため、リモート形式とします。履修希望者はmoodleにて登録の上、Teamsが利用できる環境を整えておいてください。基本的に音声のみの同時配信(オンデマンドは実施しません)ですのでお聞き逃しのないようにお願いします。一度聞いただけではわからない単語が頻出すると思いますので、下記の参考図書や講義で紹介する参考文献等を自身で調べて予習・復習していただけるようお願いいたします。 また講義終了の際に課題としてアンケートを実施し、皆さんからの質問・意見を出していただき、なるべく双方向的な講義となるようにしたいと思います。特にこの分野の話を詳しく聞きたいという希望のある方は、早めに申し出て頂ければ幸いです。 |
教科書・参考書等 |
教科書は特に指定しませんが、興味のある方は以下の書籍を参考に掲げておきますので、図書館などで適宜参照してください。これ以外の参考文献については授業中に紹介します。 滋賀秀三『中国家族法の原理』(創文社・1967) 滋賀秀三『清代中国の法と裁判』(創文社・1984) 滋賀秀三『中国法制史論集 法典と刑罰』(創文社・2003) 滋賀秀三『続・清代中国の法と裁判』(創文社・2009) 滋賀秀三編『中国法制史 基本資料の研究』(東京大学出版会・1993) 寺田浩明『中国法制史』(東京大学出版会・2018) 島田正郎『清末における近代的法典の編纂』(創文社・1980) 西英昭『『臺灣私法』の成立過程』(九州大学出版会・2009) 西英昭『近代中華民国法制の構築』(九州大学出版会・2018) |
成績評価の方法・基準 |
基本的に試験により評価しますが、感染状況如何によってはレポート等へ変更する可能性もあります。講義の終盤でお知らせします。 |
その他(質問・相談方法等) |
質問は歓迎します。講義終了後に受け付けます。メールでもお受けします。メールアドレスはh-nishiのあとに@law.kyushu-u.ac.jpです。感染防止のため研究室へのアポイントなしのご訪問はお控えください。よろしくお願いします。 |
事前/事後学修 |
関連文献(講義内で指定します)の該当箇所の読み込みと授業後の復習。各回4時間相当。 |